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マ:「ただいま~。」
   マスターがお仕事から帰ってきた!
   僕は急いで玄関に駆けつけて、マスターを出迎える。
蒼:「おかえりなさい。」
   マスターが凄いニコニコしてる。何かいいことあったのかな?
マ:「蒼星石、今日はいいものを買ってきたぞ。」
蒼:「え、なに?」
マ:「ジャ~ン!」
   マスターが僕に見せてくれたのは、銀色の小さいゲームの機械だった。
マ:「いや~、欲しかったんだよ。これ。」
   マスターはゲームの機械を眼を細めながら見つめ、そう言った。
蒼:「へぇ~、そうなんだ。」
   マスターはそう言うと着替えもせずゲームの機械を持ったままソファに寝っ転がった。
蒼:「マスター着替えないの?」
マ:「あとで・・・・。」
   そう言うとマスターは、そのままゲームを始めてしまった。
蒼:「もう・・・。」
   どうしたんだろう。いつもなら帰ってきたらすぐ着替えて、うがいと手洗いと済ませて
   「今日の夕食はなにかな~?」とか言いながら食卓の方にやってくるのに。
蒼:「あの、夕食できてるよ?」
マ:「もう外で食ってきたよ。」
   とマスターがゲームの画面を見つめながらそう言った。
蒼:「え・・・?」
   その言葉に僕は耳を疑う。
蒼:「あ、そうなんだ・・・。でも一言ぐらい連絡欲しいな。」
マ:「ああ、すまんね。忘れてたよ。」
蒼:「・・・・。」
   別に、マスターが外で食べてくることは何回かあったけど・・・
   その時は必ず連絡をくれていた。
   で、でも一回ぐらいは忘れることもあるよね。
蒼:「じゃ、じゃあ夕食はいらない・・・?」
マ:「ああ。」
   なぜだろう、マスターが僕に眼を合わせてくれない。
   ・・・そんなにゲームが面白いのかな?
蒼:「夕食、一人で食べるね。」
マ:「・・・・・。」
   マスターは相変わらずゲームに没頭している。
蒼:「・・・・。」
   僕は食卓に着くと一人で夕食を食べ始めた。
   せっかく、マスターの好きな料理を作ったのに・・・。
マ:「だー!ちくしょうめが!」
   マスターの悔しそうな声が聞こえた。
   どうしたんだろう。僕はマスターの元に行く。
蒼:「どうかしたの?マスター。」
マ:「これ難しいわ。」
   なんだ、ゲームの話か・・・。
蒼:「あの、マスター。ゲームもほどほどにね?」
マ:「・・・・・。」
   マスターは黙ったままで返事をしてくれなかった。
蒼:「・・・・。」
   僕も黙って食卓に戻った。   
   ・・・なんか食欲が出ないや・・。
   僕はいそいそと後片付けを始める。
   今日のマスターは何かおかしい感じがする。
   なんだか、いつものマスターじゃない。
   僕の知ってるマスターは、もっと・・・。
   もっと・・・。
   いや、それは僕の勝手な思い込みだ。マスターはマスターだ。   
   僕は片付けを終えると再びマスターのところに行く。
   マスターは変わらずソファに寝っ転がりながらゲームを続けていた。
   僕はマスターの傍らに立って話しかけた。
蒼:「マスター、そのゲーム面白い?」
マ:「ああ。」
   ピコピコピコ・・・
   さっきからゲームの音だけが、この空間を支配している感じだった・・・。
蒼:「・・・・。」
   会話が続かない・・・。
蒼:「・・・あの、僕もやってみたいな・・・。」
   本当はゲームにはそんなに興味は無かったんだけど・・・その・・・
   あまりにマスターが僕に無関心だったから・・・。
マ:「あとでな。」
   ピコピコピコ・・・
蒼:「・・・・。」
   なんか、今日のマスター・・・。
蒼:「どんなゲームなの?」
   マスターが夢中になるゲーム。僕は次第に興味が沸いてきた。
マ:「さっきからうるせぇよ。気が散る。」
蒼:「え・・・?」
   ・・・ぼ、僕そんなにうるさかったかな?
   なんだか、やっぱり・・・今日のマスターはいつもと違う・・・。
   あ、・・・ひょっとして僕、知らない間に何かマスターを怒らせるようなことしたんじゃ・・・?
蒼:「あの、マスター、僕、何かマスターを、怒らせるようなこと・・・」
マ:「おい、黙ってろってのがわかんねぇのか?」
蒼:「ごめんなさい・・・。」
   僕はしばらく呆然とその場に立ち尽くした。
   ピコピコピコ・・・
   そして・・・・僕はだんだんその場にいることが耐え切れなくなった。
蒼:「あ、あの僕、もう寝るね・・・。」
   また怒られるかもしれないけど、僕は勇気を振り絞って言った。
マ:「・・・・。」
   マスターは怒らなかったけど、相変わらず僕の方を見ず、そして無言だった・・。
蒼:「おやすみなさい・・・。」


   鞄の中に横になりながら、僕は考える。
   今日のマスターは、僕にとても冷たかったと思う。
   やっぱり僕は何かマスターを怒らせるようなことしたのかな・・・。
   僕は何をしちゃったんだろう・・・?
   振り返ってみたけど何も思い当たることはなかった。
   いや、ひょっとして・・元々マスターにはああいう面があった・・・?
   今まで無理して、僕に合わせていてくれたのかな・・・?
   あれが本当のマスター?
   今までのマスターは?
   これからマスターはずっとあのまま・・・?
   なんだか涙が出そうになったけど、僕は頑張ってそれに耐えた。
   だって泣いたって、しょうがないじゃないか・・・。


   とりとめのない思いが僕の思考を駆け巡り、眠気は一向に訪れる気配はなさそうだった。
   いったいどれぐらいの時間が経ったんだろう。
   マスターは、まだゲームしてるのかな・・・?
   鞄を開けてマスターのベッドを見た。ベッドは空だった。
   マスターはまだ起きてるみたいだ。
   僕はなんだか心配になって、マスターの様子を見に行った。


   リビングの扉を開けると、
   ピコピコピコ・・・
   マスターは、まだやっていた。
蒼:「マスター、もう遅いからそろそろ止めた方が・・・。」
   僕がそう声を掛けると、マスターが僕の方を向いてくれた!
   マスターがソファから立ち上がる。
   そして僕の方へ歩いてくる。
   マスターが目の前に立ち、僕を見下ろす。
蒼:「マスター・・・。」
マ:「うるせぇええええ!人形の分際で人間様に意見してんじゃねぇ!」
   !
   マスターはそう叫ぶと僕を持ち上げて、そして・・・
蒼:「うわぁあああああああああ!!」




蒼:「うわぁあああああああああ!!」
   僕は飛び起きた。そして
蒼:「いた!」
   鞄に頭をぶつけてしまった。
マ:「なんだ? どうした!?」
   ここは・・・鞄の中?
   ガチャリ・・・!
   鞄が開いた。見上げるとマスターが僕を驚愕の表情で覗き込んでいる。
マ:「おい、蒼星石。大丈夫か!?」
   マスターがひどく慌ててる・・・・?
マ:「何があった!?」
   ・・・夢?
   今は・・・深夜?
   マスターが僕を真剣な眼で見つめてくれている・・・。
   いつものマスターの優しい目・・・。
蒼:「ますたぁ・・・・」
マ:「おい、大丈夫か?」
   僕はマスターに飛びついた。
   マスターは僕を抱き締めててくれる。
マ:「・・・怖い夢を見たのか?」
蒼:「うん、とっても怖い夢を見たんだ・・・・。」
   思い出したくもない、怖い、とても怖い夢・・・。
マ:「そうか・・・。よしよし、もう大丈夫だからな。」
   マスターが僕の背中を擦ってくれる・・・。
マ:「大丈夫だ。だからもう泣かないで。」
蒼:「え・・?」
   僕は、自分の知らない間に泣いてたみたいだ。
マ:「落ち着いたかい?」
蒼:「うん・・・。」
マ:「一人で寝れる?」
蒼:「あの・・・。」
マ:「もし、まだ怖いんなら、一緒に寝ようか?」
   マスターの方から、一緒に・・・?
   マスターと一緒に寝たことはあるけど、それはいつも僕の方からお願いして・・・。
蒼:「うん、一緒に、寝たいな・・・・。」
マ:「わかった。」
   マスターは僕を抱きかかえてベッドまで運んだ。
   二人並んでベッドに入る。
   なんであんな夢見ちゃったんだろう。
   マスターはいつでも優しいのに・・・。
マ:「見守っててあげるから、安心して寝なされ。」
   マスターが横からそう言ってくれた。でも
蒼:「見られてたら、その、恥ずかしくて余計寝れないよ。」
マ:「そうか。それもそうだな。」
蒼:「ふふ・・。」
マ:「はは。」
蒼:「あの、マスター。」
マ:「なんだい?」
蒼:「くっついていいかな・・?」
マ:「あ・・・・ああ、うん。いいよ。」
蒼:「ありがとう。」
   僕はマスターにピッタリくっついた。
マ:「・・・・。」
   マスターとこんなに密着して寝るのは初めてだけど、凄く、安心する・・・・。


   翌日の夕刻。

マ:「ただいま~。」   
蒼:「おかえりなさい。」
   蒼星石がいつものように出迎えてくれる。
マ:「蒼星石、今日はいいものを買ってきたぞ。」
蒼:「え、なに・・・?」
マ:「ジャ~ン!」
蒼:「!」
   俺が蒼星石の目の前に出したのは最新型のデジカメだ。
マ:「いや~、欲しかったんだよ。これ。」
   これで蒼星石をパシャッパシャッと。いや、別にみっちゃんに感化されたわけじゃないけどね。
マ:「ん・・・?」
   蒼星石の様子がおかしい。
   蒼星石、なんでデジカメをそんな悲しい目で見るの?
マ:「どうかしたの?」
蒼:「あの、マスター、ゲームもいいかもしれないけど、できれば僕も、なるべくかまって欲しいんだ・・・。」
マ:「ゲーム?」
   蒼星石・・・泣きそう・・・?
   んんんん? ん~?
   なんかよくわからんがくらえ!
   パシャッ!
蒼:「!?」
   蒼星石さんの涙目で上目遣い、確かに頂きました。



                                             終わり