「あぁーっ!!」
突如として俺の耳に届いた蒼星石の声。
読んでいたハリーポッターを放り出して声の元へ駆けつける。

外では大きな雨音を立てて夕立が降っている。
「ひどいっ!マスターっ・・・乾いたら入れてくれるって言ったのにぃっ!」
軒先には雨に濡れながら必死に洗濯物を入れようとしている蒼星石がいた。
「アッー!!と、取り敢えず蒼は家に戻れ!俺がやっとくから!」
物干し竿に引っ付いている蒼星石を家に戻して一人ですべてを取り込む俺。
何とか回収したものの、どうみても再び洗濯の必要がある。
びしょ濡れになって、びしょ濡れの布共を抱え、泣きそうな顔で俺を睨む蒼星石の元へ戻るのは惨めな気分だった。




二時間後

怒りのオーラを纏った蒼星石と食卓を共にする俺。
濡れてまで洗濯物を取り込もうと奮闘していた蒼星石、
今はいつもの服も洗濯中なのか、俺のTシャツを一枚着ているだけだ。
下着は辛うじて無事だったようだが。
「蒼、薄着じゃ風邪引いちゃうよ?」
「・・・・・・・・・」
「き、今日の晩飯のオカズはやけに美味いけど?」
「・・・・・レバニラ」
「聞いたところによると、今度近くで祭りがあるって!」
「・・・・・・」
「雨に濡れちゃったし、一緒にお風呂入ろうか!」
「・・・・・・」

今日は梅雨の晴れ間。
ここぞと言わんばかりに一気に洗濯をした蒼星石。
それが全て台無しになったのだからショックはでかいに決まってる。
というか取り込むのを頼まれたのを忘れ、いい歳して児童書を読みふけっていた俺は何だろうか。

「ごちそうさま」
あ、いつの間にか食べ終わってる。
「マスター、お皿は流し台に置いといて。後で僕が洗う」
「ん・・ん?どこに行くんだ?」
「・・・・僕の勝手だよ」
「はい」

そう言って自分の鞄のある部屋へ引き篭もっていった蒼星石。
大きくバタン、と閉められたドアの音が耳に痛い。
今回ばかりは簡単に許してもらえそうにない。
「やっちまったなぁ・・」
まだ半分残っているレバニラを見ながら、俺の口からは溜息がこぼれた。


         △▼


バタン、とドアを意味有り気に閉めてみた。
「・・・ふふっ」
少し笑いが込み上げる。
「もう、マスターってば・・ちょっと僕が怒った振りするとすぐシュンてなるんだぁ・・・」
溜まりに溜まったお洗濯物。
それが全部やり直しになるのは結構つらいけど、
「えへへ・・マスターが・・マスターが悪いんだからね・・・」
大人しくなっているマスターを虐める方が面白そうだ。
せめていつもの僕の服が乾くまでは、
「たまには僕が攻める側というのもいいかな」



少し時間をおいて台所に行くと、マスターがお皿を流し台に置いた所に出くわした。
「あ、蒼、s」
「マスターそこどいてくれないかな。お皿、洗えない」
「す、すまん」
スッと体を除けるマスター。

僕は一つイジワルを閃いた。

「ねぇマスター、さっきのこと気にしてる?」
「そりゃあ、蒼に悪いことしたな、って・・・」
「じゃあさ、抱っこしてよ」
「? それだけでいいのか?」
「うん、僕がお皿洗う間ずっとね?」
う、マスターは言葉に詰まってしまった。
追い討ちとしてマスターを背に、両腕をあげる僕。
「ほらぁ、ちゃんと脇持って?許してあげないよ?」
「・・・わかりました」
観念したのか、マスターは両手で僕を持ち上げる。
いつもの抱っことは違って僕の体を支えるのは腕だけだから負担も大きいだろう。
「はい、マスター、しばらくそのままでいてね」
当然の如く皿を洗い始める僕。
きっとすぐに・・・


五分もすると疲れてきたのか、何回も脇の下で手の位置を変えるマスター。
そろそろ実行かな。
「・・・・ますたぁ・・・」
「ど、どした?どこか痛いのか?」
「へんたい・・・・さっきから・・僕の胸をいじくってさ・・・・あぅ」
「!!違う、断じて違う!そんなやらしい気持ちはn」
「嘘だぁ・・・現に今だってさ・・・」
食器洗いを止めてマスターの手に僕の手を重ねる。
「折角許してあげようと思ったのに、ここぞばかりに僕にえっちなこと・・・・」
「頼むよ、信じてくれ・・・俺にそんな気は」
「ならコレは何なの?」
コツン、と後ろ足でマスターの下腹部を軽く蹴る。
「うっ!」
予想通り硬い何かの感触があった。
「下劣だなぁ、口ではまともな事言っておいて、体はこれなんだから」
「ち、ちが・・やめ・・・そぅ・」
僕を支える手が震えてきたけど、足でマスターを刺激し続ける僕。
その時、

ピーッピーッピーッ!

と、家中に洗濯機が乾燥を終えたという電子音が響き渡る。
「・・・・あーあ、もう終わりかぁ」
マスターの手から床に下りる僕。
「え?」
「だから、もう終わり。マスター、からかってごめんね」
一瞬、何のことだかわからない、という表情をするマスター。
「今回はマスターも反省しているようだし、洗濯物のことは許してあげる」



数分後。

「ふふ、マスターったら恥ずかしがって可愛かったなぁ」
上機嫌で脱衣所の洗濯機からいつもの服を取り出す僕。
着替えようと着ている服に手を掛ける。
「んしょっ・・・・ってマスター、そこで何見てるの?」
「ふぇっ?」
入り口から気の抜けた返事を返してきた。
何時の間にここに来たのかな?
「いや、ちょっと、あの・・・・」
ふと、マスターの下腹部に目をやる。
そこには、
「へぇ・・さっきは冗談だったけど、まさか本当にマスターが変態さんなんて・・・幻滅だよ」
下着姿のまま、収まりのつかないマスターをズボンの上から愛撫する。
それに力が抜けたのか背後の壁にもたれるマスター。
どうやら抵抗する気はないみたいだ。
「ねぇ、変態さん、自分のドールにこんなことされて、恥ずかしくないの?」
マスターのズボンをずらして、言葉と手で直に刺激する僕。
少しづつ手の動きを強くしていくにつれてマスターの呼吸も荒くなる。
「恥ずかしいよねぇ?こんな、小さい女の子のドールの手なんかで感じちゃってさ」
何となく気分が高揚してくる。
容赦なしにマスターを虐める僕。
そしてそれを甘んじて受けているマスター。
今まで、こんな愉快なことがあっただろうか。


しばらく互いが無言の間も、僕は手を休めはしない。
徐々にマスターから溢れるいやらしい水で、動かす手の音が水っぽく大きくなっていく。
「黙ってないで何か答えたらどう?気持ちがいいんでしょ、マスター?」
「だって・・・こんな事されたら・・・・・」
マスターは床を見つめてぐっと下唇を噛む。
図星である事を言うのが恥ずかしいのか、頬が朱に染まっている。

僕の絶対優位。

その姿に思わずゾクゾクしてしまった。
「もう、本当に仕方がないなぁ」
僕は動きを止め、くいっとその手を引いた。


「おいで変態さんマスター。お望みなら、次はお風呂で虐めてあげる」



END