お菓子作り


「じゃあマスターお芋潰して。」
そう頼まれて俺は麺棒でサツマイモを潰し始めた。
蒼星石が一緒にお菓子を作ろうということで、
今日はスイートポテト作りに挑戦していた。
「よし、そのぐらいでいいよマスター。」
俺を止めると蒼星石は牛乳やらなんやらをボウルに入れた。
「今度は手で混ぜるよ、一緒にやろうね。」
そう言って混ぜ始めた蒼星石に応じて俺もボウルに手を伸ばした。
「あ、マスターほっぺに生地付いてるよ。」
さっき顔を掻いた時に付いたのだろう、それに気付いて蒼星石が声を掛ける。
「僕が取ってあげるよ、マスターちょっとしゃがんで。」
俺が少し腰を落とすと蒼星石は
「・・・ぺろっ・・・・」
俺の頬を一舐めした。
「手じゃまた付いちゃうからね、ふふっ・・・甘い。」
そんな蒼星石の様子を見つめていると
「ほら手が止まってるよマスター、続けなきゃ。」
視線に気付いた蒼星石に注意され、俺は思い出したように作業を再開した。

「そろそろいいかな、じゃあ丸めて焼こうね。」
そして混ぜ終えた生地を小さく丸め、卵を塗り、
オーブンで焼いて完成を待った。

「よし、出来たよマスター。」
しばらくすると焼きあがったようで、蒼星石が声を掛ける。
「うん、良くできてるね。」
そして並んだ物の中で、一個目に付くものがあった。
「蒼星石、これお前がやったのか?」
「あっ、ハート型だね、僕じゃないよ。」
気になったのは卵の焦げ方がハート型になっていた物で、
蒼星石がやったものかと思ったが、そうではなく偶然のようだ。
「マスター・・・これ一緒に食べない?」
そう言うと蒼星石はそのハート型を口に咥えた、俺は無言で顔を近づける。
「ん・・・ちゅ・・・・くちゃ・・・・にちゃ・・・・・」
一つのスイートポテトを二人の口の中で転がして味わった。
「ふぅ・・・美味しかった?」
「あぁ、蒼星石、顔に付いてるぞ。」
「えっ、うそ?どこについてるの?」
「大丈夫、俺が取ってやるから。」
蒼星石の口を俺は手で拭い、そしてその手を蒼星石の前に出した。
「はい、これ食べて。」
「食べるの・・・?しょうがないなぁ・・・・」
嫌そうな顔をしながらも蒼星石は俺の指を握り、
「あーん・・・・はむ・・・・ぴちゃ・・・ふぅ、これで満足した?」
舐め終えてそういった。
「あぁ、充分、そろそろ普通に食べるか。」
「そうだね、じゃあ僕は紅茶淹れてくるね」
と言って蒼星石は台所へ行ったので、戻ってくるまで食べずに待っていた。