「マスター、あれ使わないの?」
「うん、そうだな……何か見たいのあるか?」
「マスターが見たいのが僕の見たいのだから何でもいいよ」
「じゃあ月でも見るか」
最近は使ってなくてすっかり埃の被ったレンズを拭いて空に向かせる
思い出しながらピントを月に合わせて覗く
「多分見えるよ」
教えたら蒼はそっぽを向いた
見たくなくなったのか?
「マスターのいじわる……」
「何もしてないだろ」
「……その高さじゃ僕は届かないんだ」
「あ、ごめん。これでいいよな?」
蒼を俺の膝の上に乗せてあげる
「うん、ありがとう。マスター」
蒼は覗きながら言う
やっぱり興味はあったらしい
「よく見える?」
「見えるよ、綺麗だね……僕なんかより……ずっと綺麗だね」
「蒼のがずっと綺麗だよ……そんな蒼が俺は好き」
「マスター……」
俺は無意識に抱き締めていた
アリスゲームからも何からもこの愛する人を守ろうと思った
2つの星を見つめて……

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最終更新:2006年04月26日 01:20