【陸路で水路でアンコールを目指せ!!】
第2話)復活! カンボジア鉄道に乗る?

《カンボジア旅行記|ポイペト|バッタンバン|シェムリアップ|プレアヴィヒア|》

昨年2018年、カンボジア鉄道北線が復活した。内戦やその後の混乱で荒廃しきった鉄路が再整備され、これによりバンコクから国境の街ポイペトを通ってプノンペンまで鉄道で行くことも夢ではなくなった。

しかし復活したこの路線、驚くことなかれ、ポイペト=プノンペン間の運行は週1便である。1日1便ではなく、週1便だ!! 多分に国の復興をアピールしたいカンボジア政府の意向が見てとれるが、こんな運営で大丈夫か? それはともかく、カンボジア鉄道職員は週休6日をエンジョイするという働き方改革の最先端にいることだけは確かなようだ。

カンボジア旅行記|列車1つ分の時刻が書かれた時刻表。次の列車はその一週間後
列車1つ分の時刻が書かれた時刻表。次の列車はその一週間後

そんな週1回しか使われていない社会インフラを有効活用している民間人たちがいた。ノーリーもしくはバンブー・トレインと呼ばれる手作りトロッコ運行業者である。彼らは線路の上で勝手にトロッコを走らせ、客から代金を徴収している。世界中でこのような業態はここカンボジアとフィリピンにしかないそうだ。

カンボジアのトロッコ列車はバッタンバン近郊で営業しており、最近は庶民の足としてよりもすっかり観光用として運行されている。本当は復活した本物のカンボジア鉄道に乗ってみたかったのだが、さすがに週1便の列車に合わせた休暇スケジュールは組めなかった。だが、このバンブー・トレインも面白そうだ。

バッタンバンの宿でトロッコ乗場までの行き方を尋ねると、宿に出入りしているスタッフのトゥクトゥクで往復5ドルで連れていってもらえた。バンブートレインの方の料金は1人なら10ドル、2人以上なら1人当たり5ドルだ。ならば現地で相乗り客を見つけよう。

赤土の田舎道をトゥクトゥクで進むこと約20分、線路脇のこじんまりとした建物が私設鉄道業者たちのオフィスであった。少し待つとすぐに西洋人カップルが来たので同乗させてもらうことにした。

カンボジア旅行記|これが噂のバンブー・トレイン
これが噂のバンブー・トレイン

そして目の前にあったのは噂のバンブー・トレイン。その作りは、車輪の上に台車を乗せ、台車枠の間を竹で床を葺いたという世界一シンプルなもの。そこに発動機を付けてイザ出発進行!

カンボジアの大地を颯爽とトロッコは疾走する、と言いたいところだが、線路の保線状態が悪く直線区間なのに線路がうねっているのがわかる。加えて台車にはショックを和らげるスプリングは付いてない。そのため振動がモロに伝わり、乗り心地は相当に悪い。

そのかわり、実際の速度は大して出ていないのだが、目線が低いためかなりのスピード感が楽しめる。それに何より周りの景色が良い。牛が草を食む長閑なカンボジアの大地をトロッコは疾走する。 

やがてトロッコはスピードを落とし止まってしまった。対向車と鉢合わせだ。この場合乗客の少ない方が線路を譲る。こちらと向こうの運転手が協力して片方の台車を持ち上げる。すると車輪だけが線路に残った。なんと、台車には車輪が付いているのではなく、単に車軸の上に台車が乗っかっているだけであった。

2つの車輪を線路脇に避け、一方の台車を通過させる。そして車輪を再び線路に乗せ台車を被せると列車交換完了だ。

カンボジア旅行記|車輪に台車を被せると列車交換完了!!
車輪に台車を被せると列車交換完了!!

長閑で楽しいバンブートレインを楽しんだ後、本物のバッタンバン駅に行ってみた。小さな駅舎の黒板には昨日の日付で列車1つ分の時刻が書かれているのみ。次の列車はその一週間後という事だ。

カンボジア旅行記|本物の貨車が子供たちの遊び場
本物の貨車が子供たちの遊び場

駅構内には一台の貨車が放置されており、それは子供たちの格好の遊び場であった。日本の子供はプラレールなど鉄道おもちゃで遊ぶが、カンボジアの子供たちは本物の鉄道で遊んでいる。本物を知るカンボジアの子供たちの方が将来より凄い人物になるのではないか。

たくましく育て! カンボジアの子供たちよ。

(続く)


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最終更新:2019年09月08日 23:40