【バルカン三国縦断記】
第4話)ヴィシェグラードの奇跡

《バルカン三国旅行記|セルビア|ボスニア・ヘルツェゴビナ|クロアチア|》

早朝にセルビアのウジツェを出発しボスニアの首都サラエヴォに向かった僕だが、サラエヴォまで直行5時間をぶっ通しでバスに揺られ続けるのはちと辛い。そこで国境を超えた最初のボスニアの街・ヴィシェグラードに立ち寄ることにした。

いい加減な国境審査を経て、9時半過ぎにヴィシェグラードの街に着く。観光案内所に荷物を預けさせてもらい、お昼過ぎのサラエヴォ行きのバスが来るまで、2~3時間この街を散策することにした。

ヴィシェグラードは小さな街であるが世界遺産の橋 - メフメト・パシャ・ソコロヴィッチ橋というのだが、名前が長いので以下” メフメト橋”と勝手に略す - があることで知られている。

バルカン三国旅行記|ヴィシェグラードにある世界遺産 - メフメト・パシャ・ソコロヴィッチ橋
ヴィシェグラードにある世界遺産 - メフメト・パシャ・ソコロヴィッチ橋

観光案内所の前には青々とした水面のドリナ川がとうとうと流れ、その上に石造りのアーチを連ねたメフメト橋が優美な姿を見せていた。橋の前の駐車場には観光バスが続々と集まり、たくさんのツーリストを運んでくる。世界遺産の集客力は絶大である。

この街にはメフメト橋の他にもう1つ知られたものがある。アンドリッチ・グラードと名付けられた街区である。ノーベル賞作家のイヴォ・アンドリッチ(この作家について僕は何も知らない) は旧ユーゴでは大変著名な作家で、この作家の世界観を具現化したのがアンドリッチ・グラードだそうだ。

バルカン三国旅行記|アンドリッチ・グラード
アンドリッチ・グラード
バルカン三国旅行記|アンドリッチ・グラード

プチ・テーマパーク状の街の一角は、観光・文化そして教育施設を兼ね備えているという。そのため、ボスニアの修学旅行生といった風の若い世代の団体客が続々とバスから吐き出されていく。

 ハロー ハロー

突然背後から声がした。ちょっと待て。ハローなんて言葉はボスニアやセルビアの現地語にはないはず。明らかに外国人を呼び止める声だ。そして今この辺りをうろついてる外国人はただ1人。

 オレじゃん。

つまりオイラを呼んでいるってことだが、一体誰だろうと振り返ってみてビックリ。

 すっごい美少女じゃないか、それもまとめて三人も。

海外に出ると何故か外国人のおばちゃんから好かれることでは定評の高いオイラだが、今回は誰がどうみても若い娘だ。

美女から声をかけられるなんて!!  これはもうヴィシェグラードの奇跡としか言いようがない。しかし一体どんな用事があると言うのだ 、このオレに。すると、

 フォト プリーズ!!

そうか一緒に写真が撮りたいのか、よしよし。なんか芸能人になった気分だな。モテてるじゃん、オレ。

3人の美少女達とスマホでツーショット写真を撮る。すると、彼女たちはすぐさまそれをSNSにアップしだした。そしてさっきまでのオイラに対する熱気は何処といった感じで、自分たちだけではしゃぎ始めた。

 そうか、オイラは彼女たちの「いいね!」ネタに過ぎなかったのだ。

今日、珍しい動物を見つけましたぁ、なんてノリのコメントつけてアップしているに違いない。一生で一番モテてると勘違いした自分が情けない。そして彼女たちと撮った写真を見返して、ある事実に気づいてしまった。東欧の美少女たちと比べると余計実感してまうのだろうか。

 俺って結構、顔デカい!!

という大変ショッキングな事実に気づいてしまったのだった。

バルカン三国旅行記|東欧の美少女たちと比べると、 俺って結構、顔デカい!!
東欧の美少女たちと比べると、 俺って結構、顔デカい!!

(続く)


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最終更新:2016年11月06日 20:27