798 名前: ◆AjotIQkrmw 投稿日:2009/06/28(日) 00:08:56 Qss2JhE9

風越女子麻雀部の部活動終了時間は7時と、かなり遅い。
それ故に後片付けなどの雑務は寮生活を送る部員がすることになっている。

キャプテンである美穂子も例外ではなく、率先して後片付けをこなしていた。
その日も後片付けを手早く終わらせ、部室の鍵を閉めようとした時だった。

「あら?…華菜、また体操着を忘れて帰ったのね…」

軽食を取るテーブルの足もとにある、子猫の刺繍が入った袋を見て美穂子が苦笑する。
3時間目、音楽室の窓から華菜の走っている姿を見ていた事を思い出す。
――秘かに想っている華菜の事を。

「……この体操着を着て走っていたのよね…」

いけない、と思いつつも、手が袋に伸びていく。
体操着を取り出し、恐る恐る顔に近づけ――華菜の匂いを求めていた。

「…華菜の匂い……やだ、クセになりそ…」

右手が体操着から自分の胸へと――

「あっ…華菜っ!…んっ…そこ、いい…」

華菜の匂いに包まれ、華菜に愛撫してもらってる事を妄想しながら
美穂子の右手はスカートの中へ、そして下着の中へと滑って行く。

「あんっ!…そん、なっ!…摘んじゃ駄目ぇ…あんっ…あっ…あんっ」

強い快感に立ってられず、その場にへたり込む。
クリトリスを弄んでいた指が、止め処なく蜜を流す秘所に――静かに、ゆっくりと潜り込んで行く。

「くうっ!…華菜そこ、いいっ!」

入れた時とは真逆の激しさで、美穂子は自分自身を攻め立てて行った。

「ハァ…ハァ…華菜…華菜ぁ…い、っしょにぃっ!」

秘所から抜けそうになるまで引き抜いた指を一気に突き入れ、華菜の匂いを深く、深く吸い込んだ。

「…っ!!」

身体が電気ショックを与えられたように硬直し、操り人形の糸が切れたように力が消え去った。

カシャッ

――妄想の中でとはいえ、華菜と一緒に果てることができた美穂子に、シャッターを切る音は聞こえなかった。


話は少しばかり遡る――


「うわ、もう8時だよ…流石にキャプテンも帰っちゃったかなぁ…」

左腕のアニエスを見ながら美春が部室へと歩く。

「久保コーチに牌譜の集計さえ押し付けられなかったらなぁ…キャプテンと二人きりになれるのって帰り道だけなのに…」

はぁ、と溜息をついて部室棟を見ると、部室に明かりが灯っていた。

「え?…もしかしてキャプテン、まだ居るの!?」

まさか、私を待っててくれた――?
そんな馬鹿な、自分に呆れつつ部室のドアを開けようとすると――

「あっ…ん…くふっ…」

「!?」

美春とて木石で出来てる訳ではない。その声が何を表してるのか、容易に想像がついた。
恐る恐るドアを少しだけ開き、中を除くと――美穂子が自慰行為に耽っていた。

「…キャプテン、あんな激しくするんだ……ん?あの体操着って…」

ふとした疑念が悪い予感に変わる瞬間だった。

「くうっ!…華菜そこ、いいっ!」

やっぱり、華菜ちゃんの――

美春の中で、何かが音を立てて――崩れ落ちるような、事切れる音のような。
そして携帯を取り出して動画撮影を開始した。


ナンデ、カナチャンナノ?

アンナヤツヨリ、ワタシノホウガズット、ズットアナタヲアイシテイルノニ――


美穂子の喘ぎ声の大きさが増し、呼吸が荒く、速くなっていくのが分かる。
絶頂の瞬間がすぐそこまで来ているのだろう。
動画から静止画モードにカメラを切り替える。

「ハァ…ハァ…華菜…華菜ぁ…い、っしょにぃっ!・・・ッ!!」


シャッターを切る美春の瞳に、暗い炎が揺らめいていた――


次の日、いつもと同じように美穂子以下の寮生部員が後片付けをしていた。
ちらちらと美穂子を見ながら、いつカードを切るべきか、美春が思案していた。

「ふぅ・・・こんなとこかしら。後は私が鍵を閉めるから、皆は帰っていいわよ」

練習とは言え、それなりに真剣勝負をして疲れきった部員達である。
挨拶もそこそこに一人、また一人と部室を出て行った。

今しかない――!

「あら?吉留さん。貴女も帰っていいのよ?」

「……キャプテン、ちょっと見て頂きたいものがあるんですけど」

「何かしら?」

「これなんですけど」

携帯からPCに転送して、プリントアウトした紙――もちろん、美穂子の痴態である。

「っ!?吉留さん!?」

「安心して下さい。誰にも見せませんし、言うつもりもありません」

明らかにホッとした顔をした美穂子に、美春から交換条件が持ちかけられた。

「その代わり……私を、抱いて下さい」

セーラー服を脱ぎ、ホックを外したスカートがストンと下に落ち。

「キャプテンが華菜ちゃんを好きなのは分かりました。華菜ちゃんもキャプテンが好きです。絶対」

涙がポロポロと零れ落ちる。

「だったら私の気持ちは!?この想いは!?入部したその日から貴女を見つめてきた想いが、あまりにも惨めじゃないですか!」

「吉留さん…」

「弱みに付け込むなんて卑怯ですよね?軽蔑しますよね?……あ、はは…私、最低だ…ゴミクズだ…」

「吉留さんっ!」

自分を自分で切り刻む美春を、美穂子が力の限り抱きしめた。

「ごめんね……ごめんね…貴女の気持ちに気が付かなくて…」

美穂子も泣いていた。
自分に憧れる部員が多数いるのは知っていた。しかし、ここまで強い想いを抱いてる子がいるとは思ってもいなかった。

美春を見つめて微笑むと、そのまま顔を近づけてキスをした。
二度、三度と啄ばむようなキス。
少し驚いていた美春だったが、やがて自分からも美穂子の唇に惹かれて行った。
そして、お互いを求め合うように舌を絡ませていく。

暫くの間のキスしていた二人。
やがてどちらからともなく離れ、美穂子が服を脱ぎ、下着に手をかけた時。

「キャプテン…私が…」

「それじゃ、貴女のは私が、ね?」

お互いにブラを脱がせ合い、その手は下へ――

「ふふっ…もうこんなに濡れて…」

「やっ…キャ、キャプテンだって…」

少し触っただけで分かるほどに、二人の秘所はお互いの指に湿り気を与えていた。
そのまま二人はクリトリスを擦り、指をくにくにと押し付け更なる快感を高めていく。

勿論、空いている手を使うことも忘れていない。
美春の手は、美穂子の豊かな乳房を優しく、しかし大胆に揉みしだき。
美穂子の手は、美春の小ぶりだけど形のいいお尻を、最高級のシルクを触っているような感覚で撫で回している。


先に音を上げたのは美春だった。

「キャプテン、私、もう…もう…」

潤んだ瞳が美穂子に切なく助けを求める。

「ええ…私も…」

名残惜しく身体を離す。
その先にある、美春の、美穂子の全てを感じるためだから。

美春が淡いピンクの下着を脱がし、美穂子がモスグリーンの下着を脱がす。
床に美春を寝かせ、美穂子がゆっくりと美春の唇を塞ぐ。
しっかりと抱き合い、絡ませた足は小刻みに動き、美春の一番敏感な箇所をピンポイントに刺激する。

「んっ!…んーっ!…はぁ……はぁ…」

「はぁ…はぁ…可愛いわ、美春……もっと、もっと感じて…」

「はうっー!……」

キャプテンが、私を名前で呼んでくれた――!!

名前を呼ばれた嬉しさ、美穂子が軽く乳首を摘んだ快感が美春の心も、身体も軽い絶頂に導いた。
美穂子もそれが分かっていたが、あえてスルーして攻めを継続させていく。

「や、やだ…キャプテン待ってぇ」

「だぁめ……美穂子って呼んでくれたら、考えてもいいわ」

「あぁ…みほ、こ…さん…」

「なぁに?」

ニコリと笑う美穂子の顔は――聖母マリアの慈愛の微笑みのような、メフィストフェレスの残酷な笑いのような。

「ひぃっ…あ…あっ……少し、休ませ、てぇ」

息も絶え絶えに美春が懇願する。
無理もない。イきそうになると止められ、休めると思えば攻められ、である。

「そうね……ちゃんと名前で呼んでくれた事だし…ご褒美をあげなきゃいけないわね」

「ふぇ!?」

美春の唇を塞ぎ、左手は胸を弄び、右手の親指がクリトリスを転がし
中指が蜜を垂れ流しっ放し状態の秘所に栓をするように潜りこませて、中で指をくにくにと動かす。

「さぁ…イきなさい」

「うああああっ!!だめだめだめぇぇ!!!!イっちゃう!イっちゃうのぉぉ!!!!」

美春の身体が弓なりに硬直し、秘所から少しばかりの潮が吹き出す。

「ふふっ…可愛いわ、美春……ん、おいし…」

わずかな時間、放心していた美春が我を取り戻す。
美穂子が美春を軽く抱き締め、頬に、首に、鎖骨にキスの雨を降らせていた。

「あ……」

「気が付いた?」

「あ…はい……ごめんなさい、私一人勝手にイっちゃって…」

「いいのよ……次は一緒に…あら!?」

美穂子が急に頓狂な声を上げる。
その視線は壁の時計に向けられていた。

「もうこんな時間!早く帰らないと閉め出されちゃう!」

「あ…ほんとだ…」

時計の針は8時49分。寮の門限は麻雀部員に限り9時までとなっている。
門限破りの罰則は反省文5枚と、かなりの厳罰が待っている。
慌てて身支度を整えた二人が部室の鍵を閉め、寮の玄関を潜った瞬間9時の鐘が柱時計から鳴らされた。

「何とか、間に合ったわね」

「ええ、よかったです……走ってきたのと、冷や汗とで気持ち悪いなぁ…」

「…私の部屋に来ない?どうせお風呂使えないし、シャワーならあるわ」

「え?」

シャワーなら寮の全室に完備されている。それを知らないはずはないのにと、美春が疑問を投げると
恥ずかしそうに俯いて美穂子が言う。

「……それに、このままじゃ欲求不満で眠れないわ。私」

美春が苦笑しながら、未来を予想する。

「私がお邪魔しても、貴女は寝られませんよ?」

「構わないわ…美春と一緒なら」


次の日――

「みはるん、おっはよー」

校舎の入り口で待っていた美春に、華菜が元気よく声をかけてきた。

「おはよう、華菜ちゃん。ちょっといいかな?」


一週間後――

学食へと向かう美春の目に見えるのは――美穂子と華菜。

あの日華菜を無理矢理に美穂子の所へ連れて行き、告白させてからというもの
二人は一気に学内公認カップルになる勢いで、所構わずベタベタしていた。
今日も昼食は美穂子が作ったお弁当を持って、中庭に向かうのだろう。
中庭は二人と同じように、学内公認の番いが落ち着いてベタベタできる数少ない場所である。

寂しそうに二人を見送り、溜息を一つ吐いて学食に向かうその背に――

「みはるーん!」

呼ばないでよ。二人で仲良くご飯食べればいいじゃない。
無視してやろうか、そう思って歩き出そうとした時、肩に手が置かれる。
舌打ちをなんとか堪え、後ろを振り返る――大丈夫、私は笑って振り向ける。

「何?華菜ちゃん?」

「ちょっといいかな?」

言葉は許可を求めるのに、その手は無理矢理に美春を近くのトイレに引っ張っていく。
――その行動力は美春も嫌いではないし、華菜を尊敬する理由でもある。
引っ張られるがままに、トイレの個室に三人が入る。

「聞いたよ。みはるんと美穂子さんの事」

「え!?」

驚愕をもって美穂子に振り向く。

「ごめんなさい…でも、華菜に隠し事はしたくなかったの…」

「それで、みはるんに聞きたいんだけど」

真剣な眼差しに、美春の視線が吸い込まれていく。

「みはるん、私の事、どう思ってる?」

「どう、って言われても…」

「好き?嫌い?それとも、どうでもいい?」

「待って…!待ってよ…」

二人に見つめられて、美春の心が揺れ動く。

「華菜ちゃんの事は…好きだよ。でも、likeとしての好きだと思う…」

「よかったぁ~!!」

え?と呆けた美春に華菜が理由を述べる。

「だって、嫌いとか、どーでもいいとか言われたらどうしようかと思ったよ」

「あの、話が見えないんだけど…」

ごめんごめんと、頭をかいて謝る華菜をフォローするように美穂子が言葉を継いだ。

「あのね?…私達と付き合う気はないかしら?」

理解できない。何を言ってるのこの人?
しかし、二人の目は冗談を言ってる目ではない――

「はぁ!?」

「だってさー、美穂子さんは私もみはるんも同じぐらい好きだし?
 私もみはるんは美穂子さんと同じぐらい好きだし?
 みはるんも美穂子さんが好きで、私の事も嫌いじゃないっぽいし?
 だったら、三人で愛し合ったら誰もしょっぱい思いをしなくて済むし!」

無茶苦茶だ。
呆れ果てて言葉も出てこない。
美春が口を熱帯魚のようにパクパクさせていると、美穂子の唇が勢いよく塞ぎにかかった。

「んっー!?」

「あー!美穂子さんずるいー!」

「……ぷはっ」

華菜の抗議を受けて、やっと離れた美穂子が美春と華菜を抱きしめた。
愛する人に、尊敬する人と一緒に抱かれながら美春が呟く。

「いいのかなぁ…こんなので…」

「いいに決まってるじゃん!」

「そうよ、誰にも文句は言わせない――今まで隠してきたけど」

華菜と美春に向けて、天使の囁きを。

「私、欲張りなの」

ニコリと笑うその顔は――聖母マリアの慈愛の微笑みか、はたまた――

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最終更新:2009年07月11日 16:18