952 :841:2009/08/10(月) 01:41:02 ID:iCGHm4MT

翌日の朝。

ホームルームまでの時間、ゆみは自分の席で過ごしていた。
今日の帰りは一緒に下校をして、モモはそのままゆみの家に泊まる予定だ。
にぎやかにおしゃべりを続けるクラスメイトの声であふれる教室の中、ゆみは雑誌を広げていた。
クッキングレシピのたくさん載っている雑誌だ。

すでに今夜のメニューは、ナスときのこのパスタとキャベツのスープをつくることにしていたが、
他にも何か良さそうなものがあればつくろうと考えていた。

何気なくぱらぱらとページをめくった瞬間、ある文字にゆみの目は釘付けになった。

『お泊りデートってやっぱりHが前提ですよね?』

それは読者の恋のお悩み相談ページだった。
彼氏との初めてのお泊りが近づき、戸惑う女子高校生の相談がつづられていた。
だが、相談内容などすでにゆみの眼中にない。

ぜ、ぜんてい・・・・なのか??



『お泊りデートっすね!!』

そう言っていたモモの笑顔が浮かぶ。

あのときのモモには、そういったことを意識する素振りはなかった・・・はずだし、いやいや、それ以前にわ

たしたちは「そういう関係」ではない・・・と思う。
モモはよく「デート」と口にするが、女子同士で遊ぶとき冗談めかしてそういった言い方をするのは別段おか

しくもないことじゃないか。
ああ、しかし・・・・。


近頃は、自分が「デート」という言葉にひっかかりを覚えているということ。
「そういう関係」でないという事実にせつなさを覚えている自分がいるということ。
今日の「お泊りデート」はモモにとってどういう位置づけになるのかということ。


このモモに対する感情をなんて呼べばいいんだ??

いまさら過ぎる・・・。

小さくつぶやいて机の上で頭を抱える。
この自分のただならぬもやもやした感情と、モモの真意がどこにあるのかについて、ゆみは途方もなく悩み始

めたのだった。




        ◆

・・まったく授業に身が入らなかった。


授業を終え、いまだにあれこれと思い悩みながらも、待ち合わせ場所である昇降口へと重い足取りで向かった



明日が休日のせいか、生徒たちはどこかうきうきした雰囲気を漂わせながら足早にゆみを追い抜いていく。

下駄箱の横にモモの姿を捉えた。

「モモ」

ゆみの声に振り向き、ぱっと顔を輝かせるモモ。

やっぱりモモは可愛いな。
一日の悩み疲れが一瞬にして吹き飛ぶ。

「せんぱいっ。おつかれさまっす!!お泊りセットちゃんと持ってきたっすよ~」

「あ、ああ」

「どうしたっすか、先輩。顔赤いっすよ??」

下から覗き込むようにゆみを見上げるモモの視線に、ゆみはさらに熱くなった。

「あ、いや、ちょっと暑くてな。気にするな」

「そうっすか。ならいいっすけど、体調悪かったら無理しちゃだめっすよ??」

「ああ、ありがとう。だいじょうぶだ」

今日は「お泊り」にやられっぱなしだな。
やれやれだ。
あれこれ一人で悩んでいても埒が明かない。
頃合をみて、モモに直接話をするのが一番か。

今日はモモへの「ごほうび」の日だ。
もちろんわたしにとっても。
今は深く考えずモモとの時間を楽しもう。

ゆみはモモに笑顔を返し、二人はゆっくりと歩き始めた。





おしまいです。
艶っぽくない話ですが、楽しんでもらえたらうれしいです。

毎日かじゅモモのことでばっかり考えてしまいます。

かじゅモモ好きすぎるーーーーー。

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最終更新:2009年08月11日 16:37