751 :カツ衣?1/2:2009/08/05(水) 23:03:59 ID:I8lwKEoP
>>747-748
ありがとw

前に小ネタ書いたのだけど…やっぱ難しいよカツ衣(苦笑
おかしいけど気にしないでくれると嬉しい
ケータイから

***

かたりと、何かの動く音に視線を送れば。

「お、衣…」

見覚えのある少女が一人、廊下の端に所在なさげに佇んでいた。頭の上の耳が、どこかしなびているようだ。
ピンクの四角い箱を両手で持って、つまらなそうな顔をしながらストローに口を寄せている。

初めてあったその日から、何故か目が離せないでいる少女。
もちろんそれは、この少女の稀代の才もあるのだろうが。

それよりも…――

「む、何だ藤田、居たのか」

『天江衣』という存在自体が、私の興味をかき立てる。
まるで好物を目の前にして、それを眺めているときのようだ。
他の何かと同時に出されても、好物にしか目がいかないのと同じように。
衣と誰かが共にいても、彼女以外に興味を抱くことはほとんどない。
まぁそれは、私の性格も関係しているのだろうが。

「何してるんだ、こんな所で。他の奴らは?」
「……ハギヨシがいないのだ」
「あ?」

衣の口にしたのは、確か彼女の執事だったか。
しかし『いない』ということは、もしかして……

「お前、まよっ――」
「ち、違うぞ!?ころもは迷子になどなっていない!!」

キッと眦を吊り上げて、しかし頬はどこか朱を帯びていて。

……あぁ、やっぱり。

「……可愛いなぁお前。子供にしたい…!」

唸りながら睨み付けてくる様は、まるで子犬が見当違いのモノを精一杯威嚇している時のよう。
こういう所があるから、私は彼女から目が離せないのだ。

あまり子供というモノに興味のなかった私でさえ、この少女をほしいと思う。
2-才にしてやっと、私にも母性というものが生まれたのだろう、うむ。



「子ども扱いするなっ、ころもは子どもじゃない!」
「あーはいはい、わかってるって」

キャンキャン吠える子犬は、撫でてあげれば落ち着くもので。
少女も多分に漏れず、きゅうと瞳を閉じて押し黙った。
手のひらに伝わる絹の手触りと暖かさ、そして仄かに香る、甘い香りに。
何処か酔いしれてしまいそうなのは、一体何故だろう。

「…っ、ふじたぁ…!」

ふるふると体を戦慄かせ、目尻には薄く涙の色を滲ませ。
私の名前を呼ぶ声は、耳に絡みつくように、甘く、甘く。

「…なんだぁ、衣?言いたいことがあるなら、ちゃんと言わないと」

こくりと鳴ったのは、どちらの喉か。

「ぅ、ゃ…っかみ、なでるなぁ…っ」

耳元で囁いた言葉に、返す衣のその声が。
私の耳を刺激して、止まない。

「……はっ…、ふじ、た…?」
「甘い、匂いがする……」
「あぁ、いちごミルクだな。貴様も飲むか?」

つい、と差し出されたのは細身のストロー。
そこから香る匂いはなるほど、確かに甘い。だが。

「こっちの方……」
「ぇ、……!?」

柔らかくて暖かくて甘い、それは――


「……あれ?」

目の前には、少女の驚愕の表情。
そして己の唇には、甘美な感触の余韻が。

おかしい、私は。

「母性持ち始めた訳じゃ、なかったのか…?」
「ふっ、ふじたぁぁ!?」



おわる。




以上。
好きだけどやっぱ書きにくいわこの二人(苦笑

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最終更新:2009年08月08日 14:18