588 :名無しさん@秘密の花園:2009/08/02(日) 23:33:09 ID:em64UK4n
モモかじゅ風かじゅモモ。

>>461~>>463の天才的な流れを採用して
ヘタレでライトMなかじゅと、策士でドSなモモ。
自慰ネタあり。
先輩が変態さんくさいがしかしエロ描写はほぼカットな貧弱ぶり。
かじゅの三人称を「加治木」にするか「ゆみ」にするか小一時間迷った末「加治木」を採用したけど、どっちが良いんだこれ。

夕暮れに染まる鶴賀学園麻雀部部室。
優しい橙色が、一人佇む加治木の影を細く長くしていた。
うっかり忘れ物をしたことを思い出し部室に戻った加治木だったが、目の前にはもっと堂々とした忘れ物が鎮座していた。

「これは…」

学校指定の体操服。
胸元には小さく『東横』とある。
こんな珍しい名字、いや麻雀部にある時点で持ち主ははっきりしているが、後輩の東横桃子しかありえない。

「忘れた、のか…?そそっかしい奴だな」

自分も忘れ物をしていたことを棚にあげるが、そう言いつつも口元には笑みが浮かんでいる。
鞄からもれたのか、くてんとなった体操服をせめて畳んでやろうと手に取ろうとして、一瞬ためらった。


加治木の中では、東横桃子は『可愛い後輩』をとっくに越えていた。

「君が欲しい」と叫んだあの日。
あの日からしばらくは確かに可愛い後輩だったはずなのに、いつの間にか桃子はそれを飛び越え、かつて経験したことのない感情の波を加治木に味あわせた。

これは恋だ。
少なくとも、加治木はそう自覚している。
そんな自分が好きな相手の体操服を邪な気持ちなしで触れるだろうか。


加治木は頭を振って、自問を一蹴した。

馬鹿げている。
好きな子のリコーダーを舐める小学生でもあるまいに、そんなことは断じてない。
高校の、しかも三年にもなって犯す過ちではないだろう。
自分を律することには自信があったし、ここで止めたら煩悩に負けたような気がして悔しい。
加治木は桃子の体操服を手に取った。
一度広げて机の上に置き、皺を伸ばしてきちんと畳む。

ほら、出来たじゃないか。

それを左手に抱え、さてどこに置こうと周囲を見渡したとき、ふわりと何か香った。
発生源は辿るまでもない、左手だ。
桃子の匂いが、まるで傍にいるかのように加治木の鼻腔をつく。
無意識にそこに惹かれそうになり慌てて制して遠ざけるという理性と本能の脳内大戦争を三度繰り広げ、四度目にはついに理性が敗北してしまった。

緊張で喉が鳴る。
周囲に誰もいないことを改めて確認すると、体操服を近づけすんと軽く嗅いでみた。

ステルスと呼ばれるくらいだから、桃子には目立った体臭はない。
そんなものがあれば踊り出す前に存在が認知される。
だが加治木には、薄い桃子の匂いをはっきり嗅ぎわけられた。


一度が二度、二度が三度と、煩悩が加治木の背中を押した。
遠くから緩やかに感じていたのが至近距離になり、ついにはゼロとなる。

いけない、止めなければ。

そうは思うものの、戦に負け白旗を掲げて瀕死になった理性はなかなか復活してくれない。
普段完璧に押さえ込んでいたのがかえって仇となり、加治木を止めるものは何もなかった。


「モモ、モモッ…」

名前を呼ぶのと慰め出すのはほぼ同時だった。
自分ではどうすることも出来ない感情、欲望が渦巻く。
膝から落ち、だらしなく正座を崩したようなあひる座りをして中心を触る。
慣れていない加治木にとって、拙い手つきでも絶頂はすぐそこだった。

「ふ、あ…モモ…!」
「はいっす」

突然聞こえた声に、驚きの悲鳴も上げられないほど驚いた。
一瞬止まった心臓が口から出るかと思ったほどだ。
びくっと手が止まり、声の方を振り向くと、東横桃子が立っていた。

「モ、モモ…?」
「はい」
「…一体いつからそこに?」
「最初からっす。
先輩が私の体操服を前に悶々とするところから」

いつも通りの笑顔で淡々と答える。
声は特に怒っても驚いてもいなかった。

「それで?先輩は私の体操服で何してたっすか?」
「い、いや、これはその…!」
咄嗟に右手を隠すも、近づいてしゃがんだ桃子に取られ眼前に晒される。
指先は濡れて夕日を反射していた。

「これ、どうしたんすか?」

『君をオカズに自慰をしていた』なんて言えるはずもない。
羞恥と自己嫌悪で目を合わせられず俯いて唇を噛みしめると、ふいに指先に生温かい感触がした。
驚いて顔を上げると、加治木の右手を両手で抱えた桃子が罪の証を舐めとっていた。

「モモ!?何してるんだ、汚いから離せ!」
「汚いんすか?これ、何なんですか?」
またも答えられない質問だった。
躊躇っている間に、加治木の指を濡らした液体は別物に変わっていく。

「ねえ、先輩。
先輩は私のこと、どう思ってます?」
「どうって…」
「『加治木先輩はただの後輩の体操服にまで欲情する変態さんなんですか?』って聞いたんです」
「そんなわけないだろう」
「じゃあ、どう思ってるっすか?」

ちらと上目遣いに覗いた瞳はどことなく潤んでいて、何か期待しているように見えた。


そこで加治木はぴんときた。
多分桃子は怒っていない。
最初から全て見ていたと言っていた。
嫌なら、止める手段はいくらでもあったはずだ。
わざわざステルスしてまで見ていた理由。

羞恥で焼き切れそうになりながらも、加治木は桃子と視線を合わせて解答した。

「モモ」
「はいっす」
「その…好き、だから、ただの後輩じゃないから…あの…」
やはり口にするのは恥ずかしい。
けれど桃子は小首を傾げて「何すか?」と続きを促す。
「…ょ…、欲、情…した」
「体操服に?」
「モモの、体操服に」

最終的に恥ずかしすぎてやはり俯いてしまったが、髪を優しく撫でられた。
及第点は確保したらしい。

「じゃあ、良い子の先輩に第二問っす。
先輩は体操服と私、どっちが好きですか?」
「そんなもの、モモに決まってるだろう」
比べるまでもない、と言い切ると桃子はますます嬉しそうな顔をして一つ大きく頷き、自分のネクタイを緩めた。
「モモ?」
突然の行動に目を丸くした加治木をよそに、桃子は身に纏った物をしゅるしゅると落とし半裸になっていく。
自分が下着姿になったかと思うと、今度は加治木を脱がせにかかった。
「ちょっ、モモ」
ネクタイを抜かれボタンもいくつか外された状態で形ばかりの抗議をすると、うるさいと言わんばかりに唇を塞がれた。
軽いキスはすぐに離れたが、抱き付かれ露出した肌が触れ合う感触に、かっと頬が熱を帯びる。
加治木は本能的に、この先の展開を察した。

「では良い子の先輩にご褒美っす。
体操服なんかオカズにしないで、私をご自由にどうぞ」

つまりは―――





「モモッ…」
甘く掠れた声が桃子を呼んだ。
瞼を開けると、大好きな加治木の向こうに天井が見える。
目が合うと凜としたいつもとは違いふにゃんと微笑んで、それが嬉しくて可愛くてついキスをねだる。

完璧に桃子の作戦勝ちだった。

加治木が忘れ物に気付いたとき、桃子は気配を消して―消すほどもないが―一歩先に部室に戻った。
体操服は故意に置いた。
悶々とする加治木が可愛くてしばらく見ていたのだが、まさかあそこまで行くとは。
欲情した加治木にこっそり欲情していたのは内緒だ。

「先輩」
「どうした?」
「サカってる先輩、可愛かったっす」

瞬時に耳まで色を変えた加治木に「すぐ赤くなる先輩も可愛いっす」と囁くと、声にならない声で唸りを上げた。

「先輩可愛いー…」

普段言われ慣れていないからか、先輩としての尊厳が壊滅的になったからか、真っ赤になって嫌がる加治木の反応は桃子を楽しませた。



拙いなりに加治木は細やかな気遣いを見せ、桃子を絶頂まで運んだ。
しなやかな指先が生み出した快楽の波は引き、桃子はゆるやかな多幸感に包まれる。
過程はどうあれ、最高の結果を手にしていた。

「先輩、大好きっす」
「私もだよ、モモ」

見つめあって口付けを交わす。
舌を探った瞬間、加治木が膝を擦り合わせたのを桃子は見逃さなかった。

「そういえば先輩」
「ん?」
「さっきイってないっすよね?
辛くないっすか?」

むしろあのタイミングを狙って出たくらいだ、辛くないわけがない。
けれど加治木は残ったわずかな自尊心にしがみつき、曖昧に言葉を濁して中々首を縦に振れない。
意外とうぶな加治木には、いささかハードルが高いようだった。

飛べないハードルなら、飛べるまで下げるか、飛びたくなるまで追い込めば良い。
短時間で加治木をいじる快感を知った桃子は
「私は、先輩が求めてくれさえすれば何でもしますけど」
と囁き、耳朶をくわえた。
腰骨を指で辿り、膝を的確に押し当て、求めたくなるよう仕向ける。
初めは抵抗し、むずがっていた加治木も、慣れていないものだから段々と与えられるざわめきに堪えられなくなっていった。

「んっ」
「気持ちいっすか。
もっと欲しくないっすか?」



「……ほしい」
とうとう、消え入りそうな加治木の声が聞こえた。
桃子は良い子良い子と頭を撫で、しかしここで折れるほど甘くはない。

「じゃあ、ちゃんと言えますよね?」




「…私は、君が欲しい」

よくできました。

桃子は満面の笑みを浮かべると軽くキスをし、体勢を入れ替えた。
普段は堅い加治木が自分の下で性的な欲望を持て余し、あまつさえその続きを求めている。
背筋が震えた。

「モモ…」
「先輩…可愛いっす」

可愛い過ぎていじめないようにしないとなーなどと割と酷いことを考えつつも、深く深く口付ける。
第二ラウンドのゴングが鳴り響いた。



お目汚し失礼しました。
モモの口調が意外と難しい…。

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最終更新:2009年08月03日 19:27