アリクイヘビクイアリクイヘビ

 体長5mほど。ボンタス地域の一部に生息。
 原則的にアリクイヘビしか食べないことで知られるヘビ。
 子どものころは別のものを食べるとかも一切なく、生まれた瞬間からアリクイヘビクイアリクイヘビはアリクイヘビを求めてさまよい歩く。アリクイヘビとの体格差は卵の時点で歴然としており、子どものアリクイヘビにとって同じく子どものアリクイヘビクイアリクイヘビは、脅威となる捕食者である。
 もちろんアリは食べない。食べないというかむしろ積極的に嫌いであるらしく、近くに寄って耳を澄ましてみると、鼻息とも鳴き声とも取れる音で、「アリクウトカマジアリエナンダケドー」と言っているほどである(英語圏の人は、「I cannot accept eating ant」と言っている、と言っている)。もちろん人間が恣意的にそう聞こうとしているだけだ、という意見もある(そして空耳アワーみたいな英語の文法はあやしい)。
 彼らがなぜそれほどアリを食べることを忌避するのかと言うと、名前を見れば分かるとおり、アリクイヘビクイアリクイヘビは、種類としてはアリクイヘビの仲間であり、元々はアリクイヘビであったからだと考えられている。
 つまり元はアリクイヘビしかいなかった。その中から、「アリクウトカマジアリエナンダケドー」という意識を持ったニューウェーブが現われ、彼らはアリ食いではなく、あろうことか共食いをはじめ、アリクイヘビクイアリクイヘビへと分化したのである。現在の学会ではそのように考えられている。アリクイヘビクイアリクイヘビの歯は、そのため今でも微妙に格子状になっていなくもない。
 しかし最近になってアリクイヘビクイアリクイヘビの中に、「ッテイウカアリビミョウニウマインダケドイヤマジデー」と唱え、たまにアリもたしなむ個体が現われはじめたという動物学者の報告もあり、これから数百年後にはアリクイアリクイヘビクイアリクイヘビという種類ができている可能性もある。
 もうそうなると結局なにを食べているのかよく分からない。うちにあるもんなんでも食べればいいよ。


最終更新:2009年07月07日 16:05