(17)拘束

・手首には強く縛られた跡が残っていた。・・・粘着テープのようなもので縛られたとみられる  産経05-12-6

・手足にすりむき傷のように表皮がはがれていた部分があることがわかっている。  朝日05-12-6

・女児の口の周囲と両手首には、粘着テープをした際の付着物が残っていた。  下野05-12-7

・両手首と口に粘着テープが張られた跡・・・両手首に粘着テープに使われる成分が残っていた  読売05-0-12-7

・遺体には両手だけでなく両足にも粘着テープなどで縛ったあとがあり、口も粘着テープでふさがれた痕跡があった   共同05-12-7

・一方、女児は今市市で拉致された後、粘着テープで両手足を縛られていたとみられる。合同捜査本部は、犯人は女児を動けなくした状態で、車で運んだ可能性があるとみている。  朝日05-12-7

・遺体の両手首付近には、粘着テープに使われる接着剤の成分が付着していた。また、足首にもテープをはがすなどした際に付いたと見られる擦り傷があった。   朝日05-12-7

・拉致された後、粘着テープで両手足を縛られていたとみられる。  朝日05-12-7

・(1)両手首を粘着テープのようなもので縛られた跡があった(2)鼻の下にも赤い線状の跡が残っており、口にも粘着テープを張られたとみられる   産経05-12-7

・遺体が縛られたのは粘着テープのようなものだったことが、・・・遺体の両手両足にテープによるものとみられる痕跡があった。口にもテープでふさがれたとみられる皮膚変色のあとがあったという。捜査本部は、犯人が有希ちゃんを連れ去った後、暴れないように身体を拘束、無抵抗な状態にした上で刺殺したとみている。   茨城05-12-8

・遺体の口と両手には、粘着テープで縛られるなどした形跡  下野05-12-9

・遺体には、両手だけでなく両足にも粘着テープなどで縛ったあとがあり、口も粘着テープでふさがれた痕跡があった。  日刊スポーツ05-12-9

・口の周辺や手からテープの成分が検出された    毎日栃木版08-11-29


■(コメント)
手足にテープ痕ありとしたものは、朝日、共同系。足の報道をしていないのは下野、毎日、産経、読売。

一連の報道の流れを見ると、まず初期に、遺体が林道から斜面に投げ落とされたとする段階があり、遺体に斜面を転がったあるいは滑り落ちた時にできた「すり傷」があるとされていた。((10)刺し傷以外の外傷も参照)
朝日05-12-6などから、その「すりむき傷」は「手足」にあったことがわかる。しかし実際は、遺体は斜面に「置かれた」のだから、「すりむき傷」はできない。

結局、後の報道全体を見れば、手足の「すり傷」は、実はテープで拘束された痕だったと判明する。
「足首のテープ痕」(朝日05-12-7)は、殺害時の着衣のあるなしに見通しをつける一つのヒントだろう。



(18)殺害行動

・傷口の形にばらつきがあることがわかった。衣服の上から刺したときの特徴といい、   朝日05-12-5

・女児の死因は失血死で、刺し傷は胸に集中していた。こうした状況から捜査本部は、犯人が女児を鈍器などで殴打し、動かなくなったところを刃物で刺した可能性があるとみている。   朝日05-12-6

・犯人が有希ちゃんの手首を縛り、抵抗できなくしたうえで、床や地面など安定した場所に押さえつけ殺害した可能性が高いとみて調べている。  産経05-12-6

・有希ちゃんは頭部を激しく殴られて気絶したところを、胸を何度も刺されて死亡した可能性がある。  日経05-12-7

・犯人が女児を連れ去った後、暴れないように拘束、無抵抗な状態にして刃物で刺し、殺害したとみている。  共同 05-12-7

・犯人は有希ちゃんが抵抗できないように拘束した上で殺害   毎日05-12-7

・犯行状況がある程度推察できる。遺体には(1)両手首を粘着テープのようなもので縛られた跡があった(2)鼻の下にも赤い線状の跡が残っており、口にも粘着テープを張られたとみられる(3)抵抗した際にできる防御創がなかった(4)薬物を使った形跡や、いたずらされた跡はない(5)安定した状態で刺されている。これらの点から、犯人は両手の自由を奪ったうえで床などに押さえつけ、何度も刃物を突き刺したとみられる。  産経05-12-7

・遺棄場所に残された血痕の新しさや刺し傷の角度などから、捜査本部は犯人は遺棄現場近くに止めた車内で座った状態の女児を殺害して、直後に抱えるなどして運び、山林の斜面に遺棄した可能性が高い  下野05-12-7

・犯人が遺棄現場近くに止めた車内で、隣のシートに座った状態の有希ちゃんの頭を抑え付けるなどして抵抗できない状態にし、鋭利な刃物で犯行に及んだ可能性が高いと判断。  下野05-12-8

・・・・着衣の上から刺されたとみられる。  下野05-12-8

・傷口の形や血の飛ひ沫まつの広がり方からみて、着衣の上から刺されたとみられる。   茨城新聞・共同05-12-8

・犯人が有希ちゃんを連れ去った後、暴れないように身体を拘束、無抵抗な状態にした上で刺殺したとみている。  茨城05-12-8

・両手などを縛って抵抗できないようにしたうえで殺害した   毎日05-12-9

・手足を粘着テープで縛り、身体を床や壁に強く押しつけて、自由を奪って犯行に及んだとみられている。  共同05-12-13

・創縁(傷口の縁の部分)はきれいな形で揃っている。メッタ刺しの状態であれば創縁はギザギザになるが、今回の犯人は一ヵ所ずつ慎重に刺していった。刃物を振りかざして刺したのではなく、刃先を胸に突き立てて押し込んでいったのだろう。  週刊文春05-12-22

・女児の遺体が遺棄前に水で洗われた形跡があることなどから、屋内で殺害されたとの見方を強めている。  下野06-6-1

・傷口から衣服の繊維片はまったく見つからず、服を脱がせてから刺した可能性が高いことが分かった。 読売06-6-1

・一方、有希ちゃんは、衣服を身につけない状態で刺された可能性の高いことがわかった。捜査本部は、犯人の異常な性向を示すものとして注目している。 (2006年6月1日3時2分  読売新聞)

・動けない状態で何度も刺す  下野06-8-1

・「パニック状態で力任せに刺し続けた犯行ではない。有希ちゃんを抵抗できないように押さえつけた上で、あらかじめ用意した刃物を使って計画的に行われたのではないか」。刺し傷について、ある捜査幹部はこう指摘する。産経06-11-30


■(コメント)
着衣のままでの犯行だったのか、それとも衣服を取った上で殺害したのか、そんなことでさえも確定できない酷い報道合戦となっている。

下野はなぜか05-12-7、8で林道上にも遺棄地点でも新鮮な大量の血が流れていたとしたので、その遺棄地点付近の林道上での車内殺害という、およそばかげた空想を記事にしてしまった。そうだとすればいろんな点で矛盾を来たす。論外のガセ記事だ。1点だけ挙げれば、もしそうなら、遺体はかなり血まみれであったはずだ。事実は違う。

産経05-12-6、日経05-12-7、毎日05-12-7、その他では、犯人は有希ちゃんを「動けないように拘束」した上で刺した、となっている。これは、連れ去った時の拘束のままでのことだろうか。そうなら着衣の上からの犯行ということになりそうだ。これらに見通しをつけるヒントとなる事実が、「足首のテープ痕」だ。

手のテープ痕は着衣のままでもできるが、足首のテープ痕はそうはいかない。少なくともジーンズをたくし上げ、ソックスを引き下ろした状態でなければ、足首にテープ痕はできない。これは、拉致時のものではないのではないか。とにかく急いでいるはずの拉致時なら、ジーンズの上からでもでもソックスの上からぐるぐる巻きそうなものだ。したがって、足首の拘束は、拉致後殺害前に、ジーンズもソックスも取ってしまって行ったものである可能性がある。その流れならば、そのとき上半身の衣服だけを残しているということはむしろ不自然になる。

手足口をテープで拘束されていた。それは非着衣の状態であった。そう考えると、遺体の傷口にまったく繊維片がみつからなかったという、TBSニュース05-12-12、読売06-6-1(「刺し傷の性状・着衣の有無」参照)の報道と簡単にかみ合う。
だが傷口に繊維がないことは、遺体が洗われたとしても説明できるかも知れない。

手(足)のテープ痕の詳しい報道などはないが、もちろん警察にはその詳細な状態が把握されているわけで、拘束が拉致時のものか、殺害時のものかなどは判明していると思われる。
自分としては、拉致時にすでに少なくとも手は拘束されていたような気がするが、すると殺害時、衣服をとった後で、再び拘束し直したのだろうか?などという疑問が残る。

非着衣での犯行説を採れば、「着衣の上から刺された」とするいくつかの報道が誤りである理由が何か必要になる。

裸の状態で手足を拘束するということは、図式としてはそうとう異常だ。もっとも、7歳の少女の胸をおかしな凶器で刺して殺害する、ということからしてすでに極度に異常だが。



(19)胃の内容物など

・胃の中からは、行方不明になった1日の学校給食メニュー以外の食べ物が検出された。捜査本部は、犯人が有希ちゃんを連れ去った後、途中で食べ物を買うなどして食べさせたとみて  読売05-12-4

・解剖の結果、女児の胃の中には食べ物が何も残っていなかったことが、・・・わかった。女児は行方不明になる前、学校で給食を食べていたが、それらはすでに消化されていたという。・・・胃の中は空の状態だったという。人の胃の内容物がすっかり消化されるまでにかかる時間は、約2時間とされる。  朝日05-12-5

・胃の内容物の消化状況などから、有希ちゃんは行方不明になった1日のうちに殺害された可能性が高い。・・・ 
最後に取った食事は1日昼の小学校の給食。胃から確認されたのは給食の一部だった。完全に消化されていないものも含まれていた。    毎日05-12-5

・胃の内容物はほぼ消化され、液状化していた。食事の量にもよるが、胃の内容物は通常、食後三時間前後で消化されるという。このため捜査本部では、有希ちゃんは行方不明になった当日の午後四時-八時ごろまでの間に殺害されたか、もしくは犯人に連れ回されたか、監禁されたとしても、その間、食べ物は口にしていなかったとみられる。  産経05-12-6

・有希ちゃんは給食を食べた後に下校し被害に遭ったが、司法解剖の結果、胃の内容物の状況などから、拉致後少なくとも三時間は生存していたことが裏付けられた。   茨城新聞05-12-6

・関係者によると有希ちゃんのような女児の場合、胃の中で食べ物を消化するにはおおむね6~10時間を要する   茨城05-12-6

・有希ちゃんは当日の給食以降、何も食べなかった可能性の高いことが胃の内容物などから分かっている。  下野06-1-31

・司法解剖で、昼の給食は、腸に残っていたことがわかった。事件発生直後は、連れ去られたという極度の緊張感で消化が遅れる場合もあるとみて、殺害時間は、「2日朝までの間」と幅をもってみていたが、消化状態などから、約1時間と推定した。  読売07-12-2

・捜査本部は、有希ちゃんの胃の内容物の消化具合から殺害までの時間は早くて約1時間と推定。犯人が車で移動した場合、連れ去り現場から半径30キロ圏内に殺害場所があるとみている。   産経・年末年始総力特集07-12-29


■(コメント)
例によって報道のベクトルは定まらない。たとえば読売は、07-12-2の記事以前は、事件の初めから、06年末の特集においてさえ、「二日朝殺害」説にこだわっていた。胃の内容物の消化状況もその根拠とされた。なのに、07-12-2の体たらく…

読売07-12-2 のように拉致後1時間で殺害とした場合、遺棄はその時点、PM4時から数時間以内に行わなければならないので、((20)殺害時刻・ 朝日06-9-30 参照)PM8時~9時頃までには遺棄したことになるだろう。
また、3日の夜9時の検視では「死後半日程度」とされた、とかいうのは何だったのか。PM4時死亡では検視まで死後1日以上も経っているではないか。その程度の判断もできないほど、茨城県警の検視官は無能なのか?無能なら無能なりに、何故現場で昼3時に検視ができないのか。

・・・上の一連の記事からわかるのは、この事件では胃の内容物などから殺害時刻など軽々しく推定できない、ということだろう。



(20)殺害時刻

・大宮署で2日午後9時ごろ行われた有希ちゃんの遺体の検視の結果、「死後半日程度」経過していることが分かった。・・・有希ちゃんは2日朝ごろまで生存していた可能性が高いとみられることから、  読売05-12-3

・有希ちゃんが殺害されたのは2日朝以降とみられ、  読売05-12-4

・司法解剖の結果、・・・殺害されたのは失跡直後の一日午後から遺体で見つかった翌二日の午前九時半ごろまでの間   茨城新聞05-12-4

・死亡推定時刻は、行方不明になった一日午後から二日朝までの間としている。   産経05-12-4

・3日、遺体を司法解剖した。同日午前9時40分の解剖開始を起点とし死後1~2日であることも判明した。  時事05-12‐4

・1日のうちに殺害し、常陸大宮市三美の雑木林まで車で遺体を運んで2日朝以降に遺棄  毎日05-12-5

・胃の内容物の消化状況などから、有希ちゃんは行方不明になった1日のうちに殺害された可能性が高い。   毎日05-12-5

・一日夕方から二日未明にかけて殺害されたとみられることが、五日までの栃木・茨城両県警の合同捜査本部の調べで分かった。・・・胃の内容物の状況などから、拉致後少なくとも三時間は生存していたことが裏付けられた。   茨城新聞05-12-6

・関係者によると有希ちゃんのような女児の場合、胃の中で食べ物を消化するにはおおむね6~10時間を要する  茨城05-12-6

・捜査本部は、犯人が有希ちゃんの殺害に及んだのは一日夜以降との見方を固めた。   茨城05-12-6

・(胃の内容物は通常、食後三時間前後で消化されるという。) このため捜査本部では、有希ちゃんは行方不明になった当日の午後四時-八時ごろまでの間に殺害されたか  産経05-12-06

・遺体は失血がひどいことなどから、司法解剖を終えても犯行時間も絞り込めていない。  朝日2005年12月07日

・血液が凝固する前の、殺害からあまり時間がたっていない状態で遺体を遺棄したとみており、殺害現場もヒノキ林付近だったとの見方を強めている。  下野05-12-7

・遺棄場所に残された血痕の新しさや刺し傷の角度などから、捜査本部は犯人は遺棄現場近くに止めた車内で座った状態の女児を殺害して、直後に抱えるなどして運び、山林の斜面に遺棄した  下野05-12-8

・同日夜から遺体の状況を詳しく調べた。・・・全身に強い死後硬直がみられ、殺害後十数時間が経過していると推定された。死亡推定時刻は2日午前3時前後とみられる。  毎日05-12-9
(★この時点では、読売は夜9時頃の同じ検視結果を、死後半日経過とみなし、朝に殺害という見方をしている)

・同日夜に屋内で殺害後、翌二日未明までに茨城県内の山林に遺棄された可能性の高いことが、  下野06-6-1

・12月2日夜の検視結果は「死後半日程度」とされ、「2日朝まで生きていた」との見方が広がった。筑波大付属病院(茨城県つくば市)で行われた司法解剖では胃などの内容物も調べたが、1日の昼に給食で食べたわかめご飯などが腸から見つかった以外は何もなく、「2日朝」説を裏付けた   読売・追跡 今市事件(06年11月30日~12月29日)(11)殺害・遺棄時刻
(★どう考えればわかめご飯が腸から見つかれば「2日朝」になるのか?)

・有希さんは連れ去られて約10時間以内に殺害された疑いが強いことが・・・遺体は、遺棄現場の山林の斜面の形に沿うように死後硬直した跡が残っていた。殺害後、硬直するまでの数時間以内に遺棄されたと推測できるという。     朝日06-9-30

・連れ去られた直後の約1時間後に殺害され、この間に車で移動できる範囲内に殺害現場がある可能性が高い・・・・・・司法解剖で、昼の給食は、腸に残っていたことがわかった。事件発生直後は、連れ去られたという極度の緊張感で消化が遅れる場合もあるとみて、殺害時間は、「2日朝までの間」と幅をもってみていたが、消化状態などから、約1時間と推定した   読売 07-12-2
(★これも注意が必要だ。殺害時刻の推定の理由が抜けている。今度は、「給食は、腸に残っていたことが」拉致後1時間で殺害の理由だというのだ)


■(コメント)
最初の2つの文章からわかるとおり、読売は「2日朝に殺害」にかなり後々までこだわっていた。しかもスレ上の議論でわかったことだが、読売は、下野新聞が抜け駆けで2日朝刊に「有希ちゃん不明」を報じたことが、殺害のトリガーを引いたのだ、と思っていたフシがある。現場の血痕の「新鮮さ」と、胃などの内容物の状態が、朝殺害の理由とされた。いずれも笑わせる話だ。読売の記者の程度とは、何度も言うが驚いたことに揃ってそのようなレベルなのだ。

読売とはやや違って、毎日は05-12-9では死体硬直中心に目を向けての死亡時刻推定となっている。冬季の低温と小さな女児だったことを考慮したためか、読売より死後時間を数時間長く推定し、死亡時刻は2日AM3時頃としている。読売よりはましだとしても、これも不確かだ。

朝日06-9-30は一連の報道の中では比較的筋が通っているように見える。「遺体は、遺棄現場の山林の斜面の形に沿うように死後硬直した跡が残っていた。」遺体が現場に置かれて後、強く死後硬直したことを示すものとされる。死後硬直は「2時間で硬直が発現→10~12時間で最高」ということだから、冬で低体温になっていたことを考えると、死後硬直という生体の「化学反応」は普通よりやや遅れ、死亡時刻は警察が現場に入ったであろう午後3時頃の十数時間前の時点以前、となる。そういう流れで「拉致後10時間以内」という時点が目安として出て来たのだろう。時刻で言えば2日のAM1時頃。以後の死体硬化時間を約14時間以上と見ていることになる。
で、AM1時頃「以前に」殺害されたことになり、それから数時間以内に遺棄。この記事からは殺害時刻は確定しない。
読売07-12-2などを加えると、殺害時刻の範囲は、1日PM4時~2日AM1時くらいとなる。区間は大きいままだ。

(参考)「死体現象」 より
http://www3.kmu.ac.jp/legalmed/lect/sitai.html

死後硬直 postmortem rigidity 原理:収縮弛緩のエネルギー源のATPが欠乏。
 →アクチン・ミオシンの結合が解けなくなる。
 →腐敗 (蛋白分解) で緩解。
死後弛緩→2時間で硬直が発現→10~12時間で最高→48時間で緩解開始
死後5、6時間では人為的に硬直をとっても再硬直する。
発現(消失)の順:下行性 (通常):顎→上肢→下肢。
         上行性 (CO中毒、衰弱死体等、まれ)



(21)洗われたのか

・遺体の状況などから、捜査本部は、犯人は有希ちゃんを殺害後、流れ出した血液をふき取ったか水などで洗い流した可能性が強いとの見方を強めている。    茨城新聞05-12-6

・遺体の表面を何らかの方法でふき取ったような形跡もみられることから  下野06-1-31

・遺体に付着していた血液が少量で、犯人が犯行後に水で遺体を洗い流すなどした可能性があることも判明した。
・・・遺体を水で洗い流すなどしたため、傷口から再び流出した血液の量が少なくなったとの見方も捜査本部内に出ている。 下野06-5-31

・遺体が遺棄前に水で洗われた形跡があることなどから 下野06-6-1

・遺体内に残っていた血液は少量で、ふき取った形跡もないことも分かった。 読売06-6-1

・「遺体は妖精のように白かった。本来は多量の血液が残されているはずで、殺害後洗われたのではないか」(捜査幹部)  毎日(茨城)06-11-25
(★「本来は多量の血液が残されているはずで、」という文は、「遺体の表面」に多量の血液が残されているはずで、という意味になる。)

・遺体の血はきれいに洗い流されていた。・・・遺体は血を洗い流され、性的ないたずらの跡はなかった。 産経06-11-30

・「遺体を洗ったのではないか」との見立てもある。だが、水道水の成分が検出されたわけでもなく、「洗わなくても繊維が残らないこともある」という。   読売・追跡 今市事件(06年11月30日~12月29日)(10)物証
(★最後は必ず否定をかまし、内容を曖昧化して流すのが読売クオリティー)


■(コメント)
茨城新聞の「ふき取ったか水などで洗い流した可能性」の報道が群を抜いて早いのが目につく。

遺体が洗われた・拭かれたなどということは、確定報道されてはいないように見えるが、遺体に付着した血痕状態を実際に見ればから直ちにわかるレベルのことだろう。要するに、実情は、遺体に付着していた血痕が明らかに少な過ぎたのだろう。だから疑問が出た。遺体から血が抜けた状態で、次に遺体を洗い流せば、遺体は以後左をした体勢で梱包・運搬されたようだから(「メモ・▼林道上の血痕についてのあれこれ▲」参照)、遺体の比較的左よりに位置する傷口からしか出血しない。たとえば、背中に一つある傷口からの出血はなかっただろう。(だから、遺体発見者は1、2mの至近距離に近づくまで、遺体をマネキンと思っていたのだろう。)

そういう文脈からは、最後の読売の記事の意味内容は不毛だ。たとえ洗われても水道水の成分が残らないこともあるだろうし、洗っても傷口に繊維が残ることもあるだろう。

着衣ありで刺されても、その着衣をとるときにさえ体は血で汚れる。着衣なしでは殺害時、飛沫が体表に散るだろうし、流血で大量の血が体表面に溢れるだろう。遺体をうつ伏せにして放置すれば、さらに胸などにはべっとりと血が広がるかもしれない。
そういうものがない、というのだから、何らかの処理をされたと考えない方がおかしい。「見ればわかる」レベルの、当たり前の話だ。
殺害後しばらく遺体を放置し、ほとんど血が抜けた頃に遺体を洗い流した、というのが単純・明快な想定だと思う。
遺体に残った水分はふき取られたのかもしれない。

ただそうすると、(14)体表遺留物 が問題になる。体表遺留物が実際どういうものであったのかははっきりしないが、それは洗浄後・ふき取り後のついたものらしい、ということになる。

最終更新:2009年06月28日 18:39