翠「ふんふん・・・ほー・・・」
翠星石が真剣に何かを読んでいる。
蒼「さっきから何を読んでるんだい?」
それが余りに真剣なので双子の妹の蒼星石が質問してみた。
翠「週刊誌ですよ。人目の無い早朝に回収に出てたのをゲットしてやりました。」
そう言えば翠星石の脇には雑誌の山があった。
蒼「週刊誌?どれ・・・。」
蒼星石も山から一冊手にとってぱらぱらとめくってみた。
蒼「・・・な、なんだいこれ!女の人の裸とか、その・・・ああいうシーンばっかじゃないか!!」
翠「ああ、いわゆる『エロ本』やら『エロゲー雑誌』とやらも持ってきてしまったみたいです。
気付いたのが遅かったので戻しに行けませんでしたが・・・人間のオスって奴はホント下劣ですね。」
蒼「まあ人それぞれだよ。マスターはこんなもの読まないみたいだし。」
翠「わかりませんよぉ?案外ベッドの下にでも置いといたら戻ってきてると驚いたりして・・・。」
翠星石がそんな冗談を言ってニヤニヤする。
蒼「やめなよね。それにしてもなんでまた週刊誌なんて読む気になったの?。」
翠「何かマスターとお話しするのに手頃な話題を仕入れられないかと思いましてね。」
蒼「別に普通に話せばいいんじゃない?今までだって仲良く接してられてるじゃない。」
翠「まあそうですがね、一応いろいろな話題をストックしておこうかと。
よその女に現を抜かされて見放されても困りますしね。女としての差をつけておかないと。」
蒼「まさか、マスターに見放されるだなんて・・・で、何か面白い話題はあったの?」
翠「ちょっとした心理テストなんてどうですかね?」
蒼「どんなの?」
翠「あのですね・・・」
蒼「ふむふむ・・・」
その晩のご飯は双子が用意した。
普段はマスターが作るが時折双子も作っている。
マスターの負担を減らすのと、自分達にも出来るんだというのを示すのが主な目的だ。
翠「うまいですか?」
マ「美味しいよ。ありがとうね。」
その言葉で双子の顔に笑みが浮かぶ。
蒼「良かった。」
翠「まあ当然ですがね。」
マ「この分なら二人にもっと任せちゃってもいいかもね。」
翠「ふっ、どーんと来いですっ!」
蒼「そうだね。いろいろと栄養にも気を配って、役に立てたらいいな。」
マ「ははっ、そんなに堅苦しく考えなくてもいいけどさ。」
蒼「ねえマスター、マスターはお風呂でどこから洗うの?」
マ「ほえ?うーんと、髪の毛かな。」
翠「ほう、髪の毛ですか。」
蒼「じゃあこれから僕らが料理する時にはワカメとかひじきを多めに出すように心がけるね。」
マ「なんで?」
蒼「あのね、お風呂で真っ先に洗うのがその人にとって一番の大事なものなんだって。」
翠「だから禿げたりしないようにケアしてやりますよ。」
マ「な、なんだってー!!」
蒼「だからさ、僕らもそれを守るのに協力するよ。」
翠「翠星石みたいな見事な髪を目指して頑張れです。」
蒼「いや、そりゃ長過ぎだよ。まあ・・・僕ぐらいが限度じゃない?」
マ「一番大事なもの・・・じゃあ最初に翠星石と蒼星石を洗わなきゃ!!」
翠「えぇっ!?」
蒼「どうして?」
マ「髪なんぞ無くなってもいいけど、翠星石と蒼星石は失いたくない!」
蒼「えーと、気持ちは嬉しいけどそういう事じゃないと思うんだ。」
翠「ちょっとズレてますよ。そこはどっちかというと翠星石達の心配りに感謝感激して・・・」
マ「よし!じゃあ早速だけど今夜は翠星石と蒼星石をお風呂で洗うぞ!!」
蒼「ええっ、本気なの!?」
翠「そ、そんなん出来るわきゃねえです!」
マ「錆びるとか?」
蒼「水を被ったくらいならレンピカ達も居るし平気だと思うけど・・・でも・・・。」
翠「そういう問題じゃなく、乙女に混浴を強いるなんて・・・やっぱマスターも下劣なんですか?」
マ「なるほど、乙女心には配慮せねば・・・そうだ!!」
蒼「なんか閃いたみたいだね。」
翠「碌でもなさそうな予感がしますよ。」
マ「準備できたよー、お願い。」
お風呂場の方からマスターの呼ぶ声。
双子が様子を見に行く。
蒼「本気みたいだね。」
翠「そのようですね。」
マスターは腰にタオルを巻いて、あとアイマスクをしている。
二人が恥ずかしくないようにとの配慮らしいが。
翠「まるで変質者のような出で立ちですね。」
蒼「マスターったらノリノリだね・・・で、どうする?」
翠「どうするって・・・。」
二人ともそれなりに長い付き合いだから分かっていた。
言い出したらマスターは聞かない。
断っても無駄か、落ち込むだけだ。
翠「今日のところは仕方ありませんよね。」
ふぅ、とため息混じりに翠星石が胸のリボンをほどく。
蒼「そうだね。」
蒼星石もそれに従った。
視界の利かないマスターが双子に手を引かれてお風呂場に入る。
マ「いやーありがとう。」
蒼「足元に気をつけてね。」
翠「こんなんですっころんでくたばりでもしたら末代までの恥ですよ。」
マ「はっはっは、僕が死んだらそれで末代だから別に平気だよ。」
翠「平気じゃありません!!」
蒼「そんな縁起でもない事を言わないでよね。」
マ「はーい。じゃあ早速・・・あっ!!!」
翠「どうしましたか?」
蒼「何か問題でも?」
マ「どうしよう・・・どっちを先に洗えばいいんだ・・・。
二人同時に洗うのも無理があるし、どちらが大事かを決めるなんて出来ないし・・・うむむ。」
マスターが頭を抱えて悩みだした。
翠星石と蒼星石は呆れた感じで顔を見合わせる。
翠「本当にどうしますか?」
蒼「どうするって・・・どっちが先かって事だよね?」
翠「はい。」
向き合ったまま二人とも黙ってしまった。
蒼「どうするっていってもねえ・・・。」
翠「ええ・・・。」
どちらが先に洗われるのか、翠星石も蒼星石も嫌ではないのだろうが尻込みしていた。
マ「・・・よし!」
悩む双子よりも先にマスターの方が結論を出したようだ。
蒼「僕らが悩まずとも決めてくれたみたいだね。」
翠「ただ、いやに自信ありげなのが気になりますが。」
マ「二人同時に洗うしかない!」
翠「・・・やっぱりですぅ。」
蒼「それは流石に無理なんじゃないかと。」
マ「でも!二人のどっちがより大事かなんて決められるだろうか、いやない!!」
蒼「反語で言わなくっても。」
翠「反論しても無駄みたいですね。」
マ「じゃあまずは髪洗うから正面に来て♪」
促されて二人が移動した。
マ「えーと、悪いけどシャワー取って。」
蒼「どうぞ。」
マ「お湯出して。」
蒼「はい。」
マ「なんかさ、手術してるお医者さんと看護婦さんみたいだね。」
翠「のんきな事を言ってないで早くするです。」
マ「はーい・・・あっ!!!」
翠「どうしたんですか?」
蒼「まさかシャワーを熱くし過ぎた?火傷しちゃった?」
二人が不安そうな表情をする。
マ「どっちに先にお湯をかけよう・・・。」
翠「もういいから早くしてくださいよ。」
蒼「お湯がもったいないよ。」
マ「じゃあ今日はお手伝いしてくれた蒼星石が先で、この次に交代で翠星石を先にしよう。」
翠「だったら最初からそうすれば良かったんですよ。」
蒼「そうだよね・・・って、なんだかもう一回お風呂に入るのは平気になってたね。」
翠「そういや・・・すっかりと流されてました。」
マ「え、まだ流してないよ?じゃあまずはさっと流すから二人とも目をつぶって。」
そう言って一拍おいてからお湯をかける。
手で簡単に髪を梳いて埃等を流す。
マ「じゃあ一旦お湯を止めて。二人ともシャンプーとかつけて平気?」
蒼「薬品はちょっと・・・。」
翠「キューティクルとかは無いからこれで十分だと思いますよ。」
マ「じゃあ何もつけないでちょっとわしわしとしておこう。
一度には無理だからまずは蒼星石からね。かゆい所があったら言ってね。」
蒼「大丈夫だよ。」
翠「どこの美容師ですか。」
マ「さらさらだー♪」
蒼「そう?髪なんてあまりほめられる機会ないけど・・・そう言ってくれるとうれしいな。」
マ「せっかくのきれいな髪なんだからちゃーんと隅々まできれいにしようね。」
蒼「ふふっ、ありがとう。」
マ「じゃあお次は翠星石の番だ。」
翠「はい。・・・翠星石の髪はどうですか?」
マ「やっぱりさらさらだー♪そして見事に長々だー!」
翠「まあ一応は自慢の髪ですからね。」
マ「これはすごい。こうして目隠ししてるとどこまでも続くようだ。」
翠「触っていてどんな感じですか?」
マ「うーむ、未知の体験だけど、中華麺を自分で作るとこんな感じなのかな。」
翠「・・・怒りますよ。」
マ「ちゃーんと隅々まできれいにするから許してね。」
翠「やれやれ、多いかもしれませんが手を抜かないでくださいね。」
そして一通り洗ってから再びお湯で流す。
マ「じゃあ次は体ね。これなら二人いっぺんに洗えそうだ。」
翠「いっぺんにですか。」
マ「なんとかなるって。石鹸ちょうだい。」
蒼「はい。あとタオルも。」
マ「あ、タオルはいいよ。」
蒼「えっ?」
マ「手で洗うよ。二人の柔肌を傷つけても困るし、関節の隙間とかもきれいにしたいからさ。」
翠「手で、ですか?」
マ「じゃあきれいにしましょうねー♪」
マスターがうれしそうに両手で石鹸をこする。
そんな様子に双子が小声で話を交わす。
蒼「まあ仕方ないよ。マスターは純粋に洗ってくれるつもりみたいだしさ。
こちらばかりが変に意識して構えてても仕方ないよ。」
翠「そうですね、しばらくはされるがままになっておきましょうか。」
マ「じゃあいきまーす。これなら二人同時で大丈夫そうだ。」
泡を塗りたくった手で二人の肩をこする。
翠「なんかむずむずしますね。」
蒼「こんな風に触らないものね。」
マスターの手が球体間接の隙間に進入した。
翠「ひゃっ!!」
マ「うっわ!!」
蒼「危ない!!」
翠星石が身じろぎするのとほぼ同時にマスターが手を引いた。
危うくそのまま後ろに倒れそうになるのを蒼星石が支えた。
蒼「二人とも大丈夫?」
翠「私はくすぐったかっただけですけど・・・マスターはどうしたんですか?」
マ「ああごめん、関節の隙間に指が挟まれそうになって。」
蒼「えっ!怪我は無い?」
マ「なんとか。見えなかったから分からないけど爪とかは大丈夫なはず。
ただアイマスクで目隠ししていたから危なく転びそうになっちゃった。」
翠「すみません。くすぐったくてもじっとしてるようにしますね。」
蒼「僕も暴れた弾みで押したりしないよう気をつけるよ。」
マ「じゃあ再開しまーす。」
肩を洗い、だんだんと体の下の方へと手が移動していく。
そして・・・
マ「お、なんかゴミがついてる。」
翠「ひぃ!?」
マ「ありゃ?蒼星石にもだ。」
蒼「ぁ・・・そ、それはゴミじゃなくって・・・」
二人ともさっきの事があってか動かないようにしているようだ。
マ「取れないや・・・引っ掻いちゃえ。」
翠「痛!!」
蒼「つ、爪は・・・やめ・・・」
マ「あ、ごめん。肌に傷つけちゃうところだったね。」
マスターが指の腹でそっとこすってみる。
蒼「だ、だから、それはぁ・・・」
マ「それは?」
翠「な、なんでもないから早く終わりにするですっ!!」
マ「はーい、つまんだら取れないかな?」
蒼「と、取れたら困るよ・・・あぁ・・・。」
翠「だ、だめですってば・・・ふぁ・・・。」
マ「んー・・・これってひょっとしてねじ穴みたいにドールには普通についてるもの?」
翠「そんな感じですよ!」
蒼「わ、わかったら早く・・・。」
マ「はーい。」
その後は特にアクシデントも無く洗い進んだ。
全身に塗りたくられた泡をシャワーで丁寧に流す。
マ「きれいになった?きれいになった?」
蒼「ええ、まあ。」
翠「・・・ですね。」
マ「あれ、なんか二人ともテンション低くない?・・・迷惑だった?」
蒼「違うけどさ、なんというか・・・。」
翠「鈍くってかなわんって事ですよ。」
マ「えー、だったらはっきりと言ってよ。」
蒼「えーと、言葉で説明するのはちょっと・・・。」
翠「ふん、自分でやられてみりゃ分かりますよ。」
蒼「やられてみればって・・・ふむ、なるほど。」
翠「え?・・・確かにいいかもしれませんね。」
双子が顔を向き合わせる。
と、ほぼ同時ににやりと笑う。
翠「・・・そう、やられてみれば・・・」
蒼「そうだよね、それが手っ取り早いよね。」
マ「じゃあさ、自分の体洗うからタオル貸して。」
そんな二人の様子の見えないマスターがのんきにそう言った。
翠「いえいえ、その前にさっきの説明をさせてもらいます。」
蒼「そうそう。・・・ただ、身を以って体験してもらっちゃうけどね。」
マ「え、どういう事?」
マスターはいまだ訳も分からずにニコニコとしていた。
[スレ住人の大半には関心の無いもの]
( 0T0) おばあちゃんが言っていた、『あまり長々と続けると読む側がだれるから適当に切っておきなさい』ってな!
そんな訳で天の道に従って以下次回
三( 0X0) つまりこの後の場面は長いんだな?俺はクロックアップで先に行ってるぞ!
(0T0) お前が加速しても体感の待ち時間は増えるだけだぞバカガミ・・・だがッ!『ハイパークロックアップ!!』
最終更新:2007年07月06日 01:55