B・W・イエイツ(詩文)

疲れ果てた時の、疲れた心よ、
善・悪の網をきっぱりと切って、来い、
再び笑え、心よ、灰色の薄明のなかで。
お前のアイレは、いつまでも若い、
露はいつも輝いて、薄明は灰色だ、
中傷の火に焼かれながら、
希望はなく、相も失われていくけれど。
来い、心よ、丘が丘に重なるところへ、
そこには、虚ろな森と、丘をなす森の、
神秘的な兄弟たちがいる、
そこでは変わっていく月がその意思を遂げ、
神は佇んで寂しい角笛を吹き、
「時」と「この世」とはいつも飛びさり、
愛よりも灰色の薄明が優しく、
希望よりも朝の露が親しいところなのだ。
          ――W・B・イエイツ『ケルトの薄明』
最終更新:2016年08月10日 00:43