ウェルギリウス

  • 古代ローマの詩人。叙事詩『アエネイス』の作者として著名。

  • 正式な名前は、プーブリウス・ウェルギリウス・マロー。



  • ティルベリのゲルウァシウス『皇帝の閑暇』は、ウェルギリウスの埋葬地をナポリ近郊の山中だったと記している。
   シチリアルッジェロ王の頃(1130年~1154年)、英国籍を持つ学者が
   この墓を発見、墓の中には「巫術」(ars notoria)が記された書物があった。
   結局町の住民の反対により遺骨は町から持ち出されず、「海の城」と呼ばれる建物内に鉄格子越しに展示され、
   英国学者は書物のみ持ち帰ったという。
   ゲルウァシウスも、その書籍の抜粋を閲覧したことがあるとしている。


  • ティルベリのゲルウァシウス『皇帝の閑暇』に、ウェルギリウスが魔術を用いてナポリに青銅の蠅の像を建て、
   その効果により街中には蠅が一匹たりと入ってこない、
   また肉市場の壁に「強力な力を具備した一片の肉片」を挟んだところ、この市場の囲壁内の肉は
   どれほど古びても腐らない、
   さらにナポリからノーラの方向に向けて開いた門の入口にはウェルギリウスが魔法で敷いた石畳があり、
   その下にありとあらゆる種類の毒蛇をバケツに詰め込んで埋めたため、この街には一匹たりとも毒蛇が這い出て来る事が無い、という。

  • 同書に、ナポリ近郊の「聖処女らの山」とされる山の山腹に、ウェルギリウスがあらゆる種類の草を植えた庭を作ったと言い、
   そこで、触れることで盲目の仔羊に視力を授ける「ルキウスの草」(光草)が発見されたという記事もある。
   その庭にはラッパを加えた青銅製の像があり、この像は近くの山から流れて来る灼熱の南風を吹き払うことで
   農産物を守る役割をしていたとする。

  • ティルベリのゲルウァシウス『皇帝の閑暇』に、ナポリ近郊の街ポッツオーリにウェルギリウスが開設した浴場があり、
   体内外のあらゆる病を癒す目的で、それぞれどの浴槽が何の患いに効くかを記した碑が備えられていたという。
   しかし後に、サレルノで医学研究が発展した際、サレルノの人々が医師としてのもうけを維持するために
   この浴槽の碑銘を毀損してしまったとか。
(zsphereコメント:まるで空海の温泉開削伝説である。よもや西欧にもあったとは)


      参考文献
『アエネーイス(下)』ウェルギリウス
『西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇』ティルベリのゲルウァシウス


最終更新:2016年11月19日 04:35