アレクサンドロス大王

  • 正式にはアレクサンドロス3世。

   末裔であったとし、また本人もそう信じていたので、この二大英雄に張り合う気持ちがあったと記している。


   そのため大王はトロイアに立ち寄った際、「ヘルケイオス・ゼウス(家族を護るゼウス)」の祭壇に
   怒りをなだめるための犠牲を捧げた、という話がアッリアノス『アレクサンドロス大王東征記』第一巻にある。
   ネオプトレモスがヘルケイオス・ゼウスの祭壇に逃れたトロイア王プリアモスを引っ立てて殺したため。

  • また、大王はトロイアにて、アテネ・イリアス(トロイアのアテナ)にも生贄を捧げたほか、
   自分が着用している武具一式をその神殿に奉納し、一方トロイア戦争当時から伝来するという
   神殿所蔵の武具を取り下ろし、それを乞い受けたという。以降、遠征に当たっては
   専属の王側近である「楯持ち」が、アレクサンドロスの前方に常にこの武具を捧持したとか。


  • 有名な「ゴルディアスの荷車」は、プリュギアのゼウスの神殿に奉納されていたもので、
   内戦に苦しんでいたプリュギア人に「一台の荷車が彼らのために王を届け、その王が内戦を鎮めるだろう」
   という託宣が降り、そこにゴルディアスが息子のミダスを乗せた荷車を引いてきたため、ミダスを王としたところ
   内戦が鎮まった、そこで荷車をゼウス神殿に奉納したのだという。
   「ゴルディアスの結び目」はこの荷車の轅(ながえ)の結び目。(アッリアノス『アレクサンドロス大王東征記』巻二)

  • アッリアノスによれば、アレクサンドロス大王はこの結び目を剣で切り裂いたという説の他、
   この結び目を固定している留め釘の木片を引き抜いて、轅から軛をはずしたというアリストブロスの説も紹介している。



  • プリニウス『博物誌』第八巻に、諸動物の性質を知りたいと考えたアレクサンドロス大王は、
   アリストテレスにこの研究の遂行を委託し、全アシア、ギリシア中の数千人の人々に加え、
   狩猟、鳥打、漁労で生計を立てている人々、ウサギ飼育場、畜群、ミツバチ飼育場、養魚池、小鳥飼育場を
   管理している人々に、すべての動物についてアリストテレスが確実に報告を得られるよう、その指示に従えという
   命令を出していた話が載る。

  • またプリニウス『博物誌』第八巻は、インドへの途上にあったアレクサンドロス大王にアルバニア王から異常に大きな犬の
   贈り物があった話を記している。犬はクマやイノシシ、シカなどを放たせたが犬は身じろぎもせず、
   大王は怒ってこれを殺してしまおうとしたが、アルバニア王の勧めでライオン、ゾウと戦わせたところ
   雷のような吠え声とともに巧妙にこれを倒し、大王をおおいに喜ばせたとか。

  • プリニウス『博物誌』第十三巻では、香料を初めてヨーロッパ世界にもたらした功績をアレクサンドロス大王に帰している。
   ダレイオス3世の所有品の中にあった香料の箱ひとつがそうだとか。



  • ティルベリのゲルウァシウス『皇帝の閑暇』はヨセフス『ユダヤ古代誌』を引いていわく、
   アレクサンドロス大王がダリウス王を追跡していた際、神の意志によって、大王の軍の前で
   パンフィリアの海が二つに割れたという。


      参考文献

『アレクサンドロス大王東征記(上)』アッリアノス
『プリニウスの博物誌 Ⅱ』
『プリニウスの博物誌 Ⅲ』
『西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇』ティルベリのゲルウァシウス


最終更新:2016年11月20日 02:29