- 紀元前2500年から紀元前1800年頃まで展開した、南アジア最古の文明。
インド北西部からパキスタンにかけて遺跡が広がる。
- 文明の分布する範囲は、東西1600km、南北1800kmにおよぶ。
ただしインダス文明の特徴を示す遺跡については近年、報告された遺跡数が大変多く、
また同地域の政治的事情の不安定により全体像を把握できるほどの考古学調査が難しく、
こうしたデータは今後大きく変わる可能性もある。
2013年時点で示された概説によると、発見されたインダス文明期の遺跡の数は約2600に上るという。
- インダス文明が展開された時期の気候について、およそ現在の気候と大きな変化はないと見られている。
一例として、アメリカのR.L.レイクスは1965年の論文で、インダス文明の遺跡の排水溝の排水処理能力を試算し、
その結果から現在と降雨量にさほど変わりがなかったと論じている。
- インダス文明に先行する、小規模村落が各地に点在していた時期から、土器などの文化が共通のものに統一される
インダス文明期への移行について、
ラフマーン・デーリ遺跡などの先行文化の拠点的集落が終焉するのに、
戦乱による破壊の痕跡が確認されていない事が知られている。
つまり、征服のような武力による統一によってインダス文明が生まれたのではない、と見られている。
- インダス文明の遺跡からは、メソポタミア文明の遺跡に見られるような神殿や王宮の遺構が見られない事が知られている。
また、王墓や記念碑といった遺物も見つかっていない。
- また、現在インダス文明の諸遺跡からは、絵画表現を持つ遺物が見つかっていない。
- メソポタミア文明の楔形文字による粘土板文書の中では、インダス文明期のこの地域を
「メルハ」と呼んでいたとする研究があり、メルハへの言及は相当数にのぼるという。
また、メルハからメソポタミアへの交易品として、金、銀、
ラピスラズリ、紅玉髄、青銅など、
さらに珍しい動物として
クジャクなどの名前もあがっているという。
また実際、メソポタミア文明の地域から、
インダス印章、インダす文明の錘、
南アジア原産でインダス文明地域で加工された事が明らかな貝の腕輪、紅玉髄などが出土している。
インダス文明の遺跡
その他
参考文献
『インダスの考古学』近藤英夫
最終更新:2014年08月01日 16:15