- つまり、「個人が不死のまま永続するのか」、あるいは「世代交代をして血筋が永続するのか」の対立。
そのうち方格規矩四神鏡31面には神仙思想を濃厚に示す銘文が、
一方、超大型の内行花文鏡4面には「長宜子孫」(永久に子孫は続くであろう)を刻んだ銘文があった。
後者が日本で製作されたかどうかは確定していないが……。
- コノハナサクヤヒメとイワナガヒメの神話を、天皇が不老不死になり損ねた話と見た時、
思い起こされるのは『竹取物語』の結末、天皇が不死の薬を飲むことを拒否して焼いてしまうくだり。
かぐや姫の故郷であり、不死の薬の出所である月の都は中国神仙思想の仙境のイメージが強く打ち出されており、
しかし『竹取物語』作中で月の都はネガティブな描かれ方をしている。かぐや姫も帰郷に乗り気ではない。
そして中国神仙思想の最大の理想である不死の薬は、天皇によって拒絶されている。
どうも、イワナガヒメ的な「不老不死」には、一般的な「石とパン」の説話形の他に、
中国(神仙思想)的な価値観の代表(あるいは隠喩)といった意味づけがあったように思える。
参考文献
『日本神話の考古学』森浩一
最終更新:2013年09月04日 03:49