【おっかなびっくり、リオの休日】
第4話)ファベイラツアー
《ブラジル旅行記|リオデジャネイロ・セントロ・コパカバーナ・ファベイラ・マラカナァン》
観光パンフレットには出てこないのだが、リオには赤レンガ造りの粗末な家が密集した地区が至るところに見うけられる。それはファベイラと呼ばれる貧民街。
リオは小高い無数の丘に囲まれた街であるが、ちょっとした裏山の斜面には必ずと言ってよいほどファベイラがびっしりと張り付いている。ここでの犯罪発生率は大変高いそうだ。麻薬やドラッグも蔓延していると聞く。
そんなファベイラを巡るNGO主催のツアーがある。某■ンリープラネットでも「とてもお勧め」とされていたのを記憶していたので、参加してみることにした。
ツアーバンはいくつかのホテルでツーリストをピックアップし、とある裏山のファベイラに向かう。ガイドはアルフレッドという地元のブラジル人だ。
アルフレッド:「みなさん、ファベイラツアーへようこそ。ファベイラは犯罪発生率の高い危険なところですが、必ずしもそれだけではないことを皆さんに理解していただきたいと思います。麻薬やドラッグに溺れる人もいますが、それは全部ではありません。大抵はピースフルな人たちなのです。」
陽気なアルフレッドは一行をファベイラのいろいろな所に連れて行ってくれた。パイ工房、手工芸センター、はたまたパソコン教室。どれも粗末なレンガ住宅の小さな一室であるが、そこにいるファベイラの住民の笑顔は明るい。
貧しいファベイラの人たちだが、近年は努力して大学に進む人たちが何人も出始めているそうだ。
ファベイラは貧富が同居するブラジルの象徴だ。高級住宅街の裏山にびっしりがファベイラが形成されていることも少なくない。ただ、ファベイラは丘の斜面に建てられるので見晴らしが大変に良い。最も貧しい人たちが最高の眺望を楽しんでるのも何か不思議だ。
才能と努力で大金持ちになったファベイラ出身者たちもいる。その筆頭はブラジルのスポーツ大臣にもなったペレである。そしてロナウド、リバウド、ロマーリオ。世界を代表するブラジルのサッカー選手の多くもファベイラ出身だ。
ファベイラの街中で特徴的なのは夥しい数の電線である。むろん全て盗電であるが、ともかく電化生活はちゃんとおくれている。
アルフレッドによるとリオにはファベイラが200ケ所あまりもあり、固有の自治組織を形成しているという。独自の新聞やラジオ、ケーブルテレビ局まである。つまり日韓W杯もちゃんとテレビで見れたわけだ。
2002年の6月30日、ブラジル優勝のその瞬間、リオ中の裏山が歓喜の雄叫びに包まれたことであろう。そしてこの日だけは、日本人の誰よりもこのファベイラの人たちのほうが幸せだったに違いない。
ファベイラの様々な面を紹介して半日の有意義なツアーは終わった。残念ながらこのツアー、日本人の参加者は今までほとんどいないという。今度リオに行く方がいたら僕もぜひお勧めしたい。値段も55ヘアルとお手ごろ(1ヘアル=約33円)。ホテルで頼めば手配してくれますよ。
最終更新:2016年08月24日 08:13