【おっかなびっくり、リオの休日】
第6話)熱いぜ!マラカナァンスタジアム

《ブラジル旅行記|リオデジャネイロ・セントロ・コパカバーナ・ファベイラ・マラカナァン》

さて、今日はいよいよマラカナァンスタジアムでフラメンゴvsヴァスコ・ダ・ガマの試合だ。20万人を収容した世界最大のスタジアム、マラカナァンは一度は訪れなければならない聖地だ。しかしこのスタジアム、ロケーションがセントロ地区の北とまたまた治安のよろしくない所にある。しかも今日の試合は夜8時半キックオフと遅い。ここは迷わずサッカーツアーに参加することにした。このツアー、試合のチケットとホテルへの送迎がついて60ヘアウ(1ヘアウ=約33円)と便利なツアーだ。

ツアーバスは何ケ所かのホテルで観光客を拾いスタジアムへ向かう。陽気なガイドがブラジルサッカーやスタジアムの歴史を紹介する。そして、、、

ガイド:「さあ、皆さん。それではこれからトトカルチョをしましょう。一人5ヘアウ、今日の対戦成績を書いて、当った人がいたらその人で山分け。当りがいなかったら私が総取りデ~ス」

おいおい、いきなりトトカルチョか!ガイドは賭けの胴元に早変わりした。さすがブラジル。

僕は通ぶって2:2の引き分けに賭けてみた。引き分けに賭けたのは僕だけ。当たれば高配当が期待できるぞ、ふふふ。

もう陽はとっぷりと暮れている。バスがスタジアムに近付くにつれ、あたりは大渋滞しはじめた。何せリオの2大チームの対戦である。あちらこちらから人が湧いて出てきて、興奮しながらスタジアムめがけて駆け出している。パァン、パーンとどこかで早くも爆竹の音が響く。なんだか殺気が漂い始めているぞ。

僕らの席はヴァスコ側だった。反対側のフラメンゴ側の席は2階席まで超満員。巨大な赤と黒のフラメンゴの旗がはためく。一方のヴァスコ側は最近チーム成績が良くないせいか少し空席が目立つが、それでも応援の熱狂は負けていない。上品な日本のサッカー観戦と違い、ブラジリアンどもは上半身裸で酔っぱらってるサポーターも多い。

さあ、いよいよ試合が始まった。チャンスの度に凄まじい歓声があがり、ピンチにはウウッーと巨大なため息がこだまする。

熱いぜ!マラカナァンスタジアムa-リオ
熱いぜ!マラカナァンスタジアム

劣勢だったヴァスコが先制点を決めた。するとスタジアムのヴァスコ側は「ヴァ~スコォォ~♪、ヴァ~スコォォ~♪」の大合唱。前方の立見席ではさらに大変なことになった。ヴァスコファンが一斉にフラメンゴ側の席に向かって挑発のラインダンスをおっ始めたのだ。対照的にシュンと静まりかえるフラメンゴファン。ヴァスコファンのダンスはキックオフが再開されても終わろうとしない。いったいあんたらサッカー見に来とるんかいな?それとも踊りに来てるんかいな?

試合は2:1のヴァスコのリードで終盤を迎えていた。僕は2:2の引き分けに賭けているので、密かにフラメンゴを応援していた。終了真際フラメンゴ選手の鋭いシュートがヴァスコのゴールを襲いかかる。

  「入った!」

と思って僕は席を立ち上がった。すると隣の席のいかついヴァスコファン親父の目線が飛び込んできた。まっまずい、殺される~~。

しかし幸いなことに、ボールはポストをたたいてノーゴール。僕はあわてて「入らなくてよかった」といった様で胸をなで下ろす仕種を演じて見せる。ああ危なかったなぁぁぁ。

結局試合は2:1でヴァスコの勝利。ツアーの一行に当選者はなく、掛け金はガイドの総取り。ガイドがすこぶる機嫌が良かったのは言うまでもなかった。

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 08:16