【田舎のトルコ巡り】
第5話)スユメラ修道院

《トルコ旅行記|エルズレム|トラブゾン|イスタンブール》

さて、化け物女に腕を捕まれた翌日、トラブゾン近郊最大の見所、スユメラ修道院へ行くこととした。スユメラ修道院は昔この地に住んでいたキリスト教徒がイスラム勢力に追われ、信仰を続けるため、断崖絶壁の岩山の上につくった修道院だという。トラブゾンの街から50kmほど離れた山奥にあるため、バスか乗合タクシーで行くしか方法がない。

トラブゾンのタクシー乗り場
トラブゾンのタクシー乗り場

ここで僕は迷った。1日2本しかないバスなら600,000トルコリラ(もうひと桁、多かったかも?)、乗合タクシーはひと桁多い7,500,000トルコリラ(TRL)である。

〈注:トルコのお金はゼロがやたら多いのでびっくりするが1,000,000TRL(百万トルコリラ)でわずか約118円なのだ。〉

現地価格ではだいぶ高いけど、まあ日本円にしたらたいした値段でもないので、時間の早そうな乗合タクシーを選んだのだったが、、、、 乗合タクシーは4人そろわないと出発しない。

昨日タクシーの親父は「明日9時に3人くるから、お前も9時に来い」と言ったのだが、その3人はいつまでたっても現れない。

 僕  :「あの~、他の3人は~?」
 運転手:「う~ん、まあ茶でも飲んで待ってろ」

と運転手はチャイを驕ってくれた。でも3人は現れない。

 僕  :「あの~、?」
 運転手:「おお、まあたばこでもどうだ」 

今度はたばこを差し出した。でも3人は現れない。

はたして一時間経っても他の客はやってこなかった。もうバスも行ってしまった。

 運転手:「あのさ、4人分払えば出発してもいいんだけどなぁ」(ニヤリと薄笑い)
 僕  :「つまり30,000,000TRLかい?」
 運転手:「そうだよ。」

しまった。これはやられた。最初から他の3人なんてくるはずもなかったんだ。お茶だのなんだので、競合しているバスが出発するまで時間稼ぎされてしまった。もはや他に方法はない。しぶしぶ承諾すると運転手の薄笑いは満面の笑みに変っていた。

結果として、今回の旅行中もっとも高い料金を払って、タクシーをチャーターするはめになってしまった。ちなみに30,000,000TRLがどれだけ高価であるかは、これが僕の3日分の宿泊費に相当するといえばご理解いただけよう。(トルコでは、トイレシャワー付の部屋が1泊10,000,000TRL(約1,180円)で泊まれてしまうのだよ。安いね!)

車は山に向かって進んでいく。途中から霧雨が降り出した。最初は快適だった舗装道路も、やがて曲がりくねった山道へと変わっていった。いくつものカーブを曲がり、やがて渓谷のなかのチェックポイントに辿りついた。ここで管理料2,000,000TRLを支払い、さらに林道を登っていく。

ものすごい急勾配であるが、車なので楽勝。やがて渓谷の切れ目から、はるか上方の断崖に修道院が見えた。信じられないような絶壁に修道院はへばりついていた。車は修道院に向けて狭い林道を登って行く。

スユメラ修道院b
絶壁にへばりつく修道院

すると、突然車がストップした。「なんだろう」と思うと、、、 林道が崖崩れでふさがっているのだった!! ここまで来て修道院に行けないのか? 僕は愕然とした。

すると運転手はおもむろに車を傍らに停車させ「こっちに降りて来い」という。どうする気だ。

山深い渓谷には、渓流の音が響き渡る。あたりに人家はひとつとしてない。その渓流にむかって運転手と僕は歩いていった。しばらくすると、小さな橋が見えてきた。その先には獣道ていどの登山道がみえる。はるか上空の修道院に向かって、ここから山登りがはじまった。

霧が時折小雨と変わるなか、僕らは修道院をめざす。30分ほど登っただろうか。突然目の前に荘厳な修道院が現れた。急峻な断崖に、ひっそりとたたずむ修道院は感動的ですらあった。

運転手は息をハーハー切らしている。まぁこれだけ付き合ってもらったなら30,000,000TRLも高くはないなと自分を納得させつつ、修道院をあとにした。

スユメラ修道院a
スユメラ修道院

(続く)


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最終更新:2012年12月02日 18:34