【田舎のトルコ巡り】
第2話)怪しい雑居ビル

《トルコ旅行記|エルズレム|トラブゾン|イスタンブール》

女に「来ないか?」と声をかけられた。ちょっと不安はあったものの、相変わらず僕のノリは軽い。

 僕 :「じゃ、あんたのところに行ってみるよ。」

 女 :「あたしはね、ここで英語教室を開いているの。ここの生徒は本物の英語に接する
     機会が少ないので、ゲストで参加してくれない?」


 僕 :(そういうことなのか! しかし"本物の英語"とは参ったな。僕の英語なんて"駅前"
     仕込みに過ぎないのに、、、)

 僕 :「僕は日本人なんで、英語は母国語じゃないんだけど、いいの?」
 女 :(下手な英語を見抜いたのか、一瞬落胆の表情を見せて、)
    「でも、いいのよ、ここでは外国人自体が珍しいから。」

何だよ!単に珍しいから声かけたんかいな。男前の異邦人に惚れたんだろうと一瞬誤解した自分が情けない。と言うわけで、僕は彼女の英語教室のゲストとあいなった。

しか~し、まだ警戒心を解くのは早い。ここは田舎とはいえトルコである。

長閑なエルズレムの街a
長閑なエルズレムの街
長閑なエルズレムの街b

日本にいたころ、ニュースではトルコのいやな出来事ばかり耳にしていた。一ヶ月前には「バスの事故で日本人が死亡」、一週間前には「イスタンブールの高級ホテルをゲリラが占拠」等々。またガイドブックには睡眠薬強盗など手の込んだ詐欺が横行していると警告している。

安易に相手のペースにはまったらトンでもないことになる。この女はいいやつなのか、それとも新手の悪党か。僕はかなり警戒するつもりだった、、、が、女の前では緊張感が薄れてしまう、これは僕の数少ない欠点の一つである。

近くの雑居ビルの一室に招かれる。確かに英語教材のポスターがいっぱい張ってある。偽装にしては随分と手が込んでいる。

 女 :(タバコを差し出しながら)「生徒はまだこないから、一服してよ。」

もっ、もしかしたら、このタバコに睡眠薬が仕込んであって、これを吸うと身包みはがせれて、気づくと空き地に放り込まれているのかもしれない、一瞬不安がよぎる、、、が、ものを与えられると素直に従ってしまう、これも数少ない僕の欠点の一つである。

とりあえずタバコを一服くゆらせる。
   ・
   ・
   ・
何も変化は起きない。

さらにもう一服。
   ・
   ・
   ・
こんども何も起きない。どうやら普通のタバコのようだった。

しばらくすると生徒が三々五々、教室に現れ出した。みんな珍客に「??」って顔をして入ってくる。いったいどんな授業が始まるのだろう。

(続く)


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最終更新:2012年12月02日 18:33