【タイ語でGO?-東北タイ・イサーンの旅】
第7話)挑戦!タイカラオケ
《タイ旅行記|ウドンターニー|ナコンパノム|ムクダーハーン|ウボンラーチャターニー》
散々苦労して辿り着いたパーテム壁画だったが、壁画そのものは子供の落書きのようであった。まぁ山奥の景色が素晴らしかったのでよしとしよう。
そして翌日はウボンの街を自転車で回ることにした。観光局で貸自転車屋のチラシを見つけてあったので、そこで自転車を借りる。徒歩では気づかなかったが、この街はあちらこちらに寺院が点在しており、自転車で回るにほどよい街だ。いくつもの寺院を気の向くまま風を切って巡るのはなかなか楽しい。
ところでここの貸自転車屋、本来の営業時間は夕方まだが、無理を言って夜まで貸してもらうことにした。ウボンは意外に大きい街なので夜も自転車が使えるとなにかと便利なのだ。
9時過に自転車を返しに店に向かう。すると昼間は気付かなかったのだが、自転車屋の向かいに変な雰囲気のお店を発見した。レストランのようではあるが、怪しげなネオンがキラキラ光る。いけないと知りつつ、僕は店の前の女の子に話し掛けていた。
僕 :「ここは何ですか?」
女の子:「カラオケよ。さあ、いらっしゃい」
カラオケ!僕は歌が大変下手である。日本で自ら進んでカラオケボックスに行くことなどめったにない。が、タイのカラオケってどうなっているのだろう?気づくと僕はもう店のテーブルに座っていた。
女の子:「あなた何か歌って?」
「歌って」と言われても、ここはタイカラオケ、タイの曲しかない。歌えるわけないだろ! だいたい僕は歌が下手なのだから。(←だったら店に入らなきゃいいだろ!)
店のモニターにはタイポップスのビデオが流れる。歌詞がテロップで流れるのは日本と同じだが、当然タイ文字、10倍ゆっくり流れてくれないと僕には読めない。しかし良く見ると、どういうわけか、タイ文字とともにローマ字でもテロップがが流れている。
僕が歌わないでいると女の子は「ドリンクを奢って」と迫ってくる。うっ、せっ、請求書が怖い。
女の子:「あなた歌わないの?」
歌えるわけないじゃん、タイの歌なんて知らないんだから、、
知らない?
いや待て、
一曲知ってるぞ。
カルチャーセンターのタイ語教室で習ったではないか!
ローマ字が出てくるから何とかなるだろう。早く歌ってこの「ドリンク奢って」攻撃をせき止めなければ大変なことになりそうだ。
僕は意を決して唯一知ってる曲をリクエストした。
やがて何度か聞き覚えのあるイントロが流れてきた。こうなったらやけっぱちだ。んっ!あら!店の女の子が全員、マイクを持った僕に注目している。はっ恥ずかしい~~~。
あぁぁぁ、出だしだ。もう頑張って歌うしかない!と覚悟を決めた瞬間、そんなはずではない!と驚愕してしまった。僕の選んだ曲にだけローマ字が出てこないのだ!! おーいどうなっているのだ。全部タイ文字じゃないか、そんなに早く読めないよ~。
しかし幸いなことに僕の優秀?なる頭脳は歌の出だしのフレーズを覚えていた。無難に導入部を歌いきると店内が拍手喝采である。パチパチパチ!う~んすごい!僕って今この店で一番モテてる。
曲の1番が終わるころには女の子が何人も「すごいすごい」と言って僕のテーブルに集まってきた。もう何かスター気分だ。へへへへへ。
しか~し、曲が2番になって困ったことが起きた。
2番は習っていないのだ。
2番に入るとアドリブでタイ文字の歌詞を追うこともできず、もうシドロモドロ。さっきまでやんややんやの女の子たちもスーっと引いていく。やがて曲が終わるころ、羽振りのよさそうな地元親父が店に入ってきた。女の子たちは吸い寄せられるように親父の元に駆け寄っていく。そして僕のまわりには誰もいなくなってしまった。
間もなく、曲が終わった。
ただ、僕のテーブルには何だか納得のいかない請求書だけが残されていた。。。
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最終更新:2016年08月26日 21:57