【タイ語でGO?-東北タイ・イサーンの旅】
第2話)僕は文明度が低いのか?

《タイ旅行記|ウドンターニー|ナコンパノム|ムクダーハーン|ウボンラーチャターニー》

タイ東北地方の街、ウドンターニーに着いた。季節は乾期、外は容赦なく暑い!そのくせ冷房の効いたタクシーなんて気の効いた乗物などこのあたりにはない。あるのはトゥクトゥクと呼ばれる小型自動三輪タクシーだ。バンコクではめっきり少なくなったこのトゥクトゥクだが、ここらあたりでは人力タイプまでまだまだ現役。とてもバンコクと同じ国の街とは思えない長閑さだ。

ウドンターニーの主役はトゥクトゥク
ウドンターニーの主役はトゥクトゥク

バンコクと違うといえば、ここらあたりでは旅行者が極端に少ない。僅かに西洋人バックパッカーを見かけるのみで、今回の旅で僕は日本人旅行者とは一人も出会わなかった。

そんな外国人とは無縁の街なので、「ハローフレンド!」と駆け寄ってくる怪しい輩が皆無に近いのはありがたい。

さて、郊外にバーンチアムという遺跡があるので、行ってみることにした。バーンチアムへは、街の東にあるタイ・イサーン市場からソンテウに乗って行く。ソンテウとはダンプカーの荷台に幌をかけただけのトラックバスのことだ。

はたしてソンテウ乗り場には何台もトラックバスが並んでいた。「バーンチアム行きはどれだろう」と捜してみる。実は荷台にちゃーんと行き先がタイ文字でペイントされているのだが、残念ながら僕のタイ語は、瞬時にそれを識別できる力を持ち合わせていない。一文字一文字追って「ああそうだ、これは●●行きだぁ」とや~っと理解できる程度なのだ。

ソンテウ(トラックバス)
ソンテウ(トラックバス)

少し専門的になるが、タイ語は表音文字である。本来読み方の法則に従えば読めることになっているのだ。しかし、地名や人名などの固有名詞はサンスクリット語に由来するものが多い。その名残のせいで、発音しないのに綴りには文字だけが残る場合が多い。要するに人名や地名はと~ても読むのが難しいのだ。いわば固有名詞は全てが「鏑木」(かぶらぎ)さんや「服部」(はっとり)さん状態と言っても過言ではない。

こうしてソンテウ乗り場をウロウロしていると一人の親父が声をかけてきた。

 親父:「どこへ行く?」

えっ、日本語! 僕は驚いた。こんな田舎街で日本語を話す親父がいるとは! でも僕はタイ語修行(?)に来たのである。無理してタイ語を使ってみよう。

 僕 :「バーンチアムに行きのソンテウはどれ?」

すると「おまえのタイ語はへたくそ過ぎて聞いてられん」と感じたのか、「それだよ。十時半出発ね」と日本語で返してくる。あぁ、僕の小さなプライドはズタズタだぁ。でもやはり日本語だと安心するなぁ。

 僕 :「どうしてそんなに日本語上手いの?」
 親父:「だって俺、3年前、日本住んでた。。」

 僕 :「そうか、だからそんなに上手いんだ。」
 親父:「長野と新潟、5年間住んでた。」

5年間!そんなに長く住んだら、違法滞在ではないか?

 親父:「日本また行きたいね。でももうビザだめね、へへへへ(笑)」

案の上である。親父は日本に出稼ぎに行って、不法滞在で強制送還されたのであろう。最近没落しはじめたわが日本であるが、アジアの田舎の庶民にとってはまだまだ夢の国なのだなぁ。

 親父:「ところで、おまえビデオカメラ持ってるか?」
 僕 :「えっ?」

 親父:「ビデオカメラだよ。持ってないの?」
 僕 :「もっ、持ってないよ。」

 親父:「なんだ、おまえ持ってないのか。俺は持ってるよ。日本で買ったんだぜ。ふふふふ(笑)」

親父は僕にビデオカメラを買った話を得意げに自慢する。どうやら僕はタイの田舎親父より、低い文明生活を送っていることが証明されてしまった。トホホ~。

(続く)


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最終更新:2016年08月26日 21:47