【太陽がいっぱい過ぎ-夏のチュニジア】
第1話)やたらとでかい数字

《チュニジア旅行記|チュニス|カイルアン|トザール|タメルザ|スファックス|シディ=ブ=サイード》

「チュニジアはいいところですよ。特に内陸部の砂漠地帯は幻想的ですばらしい。」

チュニジアブルーの世界
典型的なチュニジアブルーの世界

少し早めの夏休みにチュニジアを選んだ僕は、過去にこの国を訪れたことのある知人に、この国の見所を尋ねると、彼らは異口同音にこう語った。

 「そうか、内陸が魅力的なのかぁ。」
 「でも、まさか真夏に行くわけじゃないよね。夏は暑すぎて大変だよ。」

 「いや、その"まさか"なのですが、、、」

僕は世界の天気が調べられるサイトでこの時期のチュニジアの気温を調べてみた。なるほどカイルアンやトザールと言った内陸部の最高気温は40度近い。これは少々腰が引ける。

とはいえチュニジア行きの航空券はすでに手配してしまった。「魅力的」とされる内陸部に向かうべきか?はたまた、灼熱の砂漠地帯を避け、海辺周辺でお茶を濁すのか、結局細かい予定が決めきれないまま、出発の日を向かえてしまった。ええい、ルートは現地に着いた時の気分で決めてしまおう。

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そうこうするうち、僕は深夜のチュニス空港に降り立っていた。

空港に着くとすぐ、ATMでお金を下ろす。ATMから引き出せるお金というのは大抵が紙幣で、ここチュニジアのATMから出てくるのも、大半が20ディナール札、もしくは10ディナール札であった。

1ディナールは約75円。まさか買い物の最小単位が1ディナールというわけはあるまい。きっと補助単位があるはずだし、そういう感覚にもすぐに慣れるというものだ。

初日は日本から予約していた宿に直行した。翌朝すぐ地方に向かうため、今夜ひたすら寝るためだけに3000円近い出費がかかったが、それもまあ仕方ない。

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チュニジア初日の早朝、目覚めるとすぐ、小銭を調達すべく、ホテル近くのカフェでコーヒーを頼み、お釣でそれを調達しようとした。

チュニスのカフェ
チュニスのカフェ

 「アン・カフェ、シルブプレ!(コーヒー一杯ください)」

因みにチュニジアは旧仏植民地だったので、国語のアラビア語の次に通用するのは仏語である。そして、人に自慢出来ることがほとんどない僕のささやかな"特技"の一つが、仏語で1から100まで数えられることである(←その程度は、世間一般では特技とみなされないが、、、)。

で、その自慢(?)の仏語で、さっそくコーヒー一杯の値段を聞いてみた。

 「コンビヤン?(幾ら)」

 「クアトロ・ソン(400だよ)」

よっ、400。いきなりおいらの仏語限界値を超える数字が出てきた!それに400ってどういうこと? コーヒー一杯が400ディナール(3万円)もするはずが無い!!。

待てよ、きっと「1ディナール=100何とか(補助単位)」というお約束になってるのではないか。つまりこの「400」は「4ディナール」のことだろう、と僕はとっさに推測した。

つまりは、コーヒー一杯が300円ということだ。なんか東京並みの値段だなぁ。

意外に高いチュニジアの物価にがっかりしつつ、僕は20ディナール札をカフェの親父にさしだした。

 「小銭は持っていないのか?」

 「それしかない」

と答えると「ちょっと待て」とカフェの親父。どうやら、他の客が払うお金が溜まるまでお釣を待てということだ。20ディナールは使いでのある金額だ。

しばらくするとお釣銭が返ってきた。僕はその場で金額を確かめる。16ディナールあるはずだが、どれどれ。おや!

 19ディナール+「100」と書かれたコインx6枚。

 これはどういうことだ、得しちゃったのかな。えへへ、


僕は隣の客に「これは何?」と「100」と書かれたコインを示して、聞いてみた。

 「ソン・ミリウーム(100ミリウームさ)」

な、なんだ「ミリウーム」って。僕は改めてガイドブックを開いてみる。すると1ディナールは、その千分の一を単位とする「ミリウーム」なる補助単位があるということだ。つまり、「1ディナール=1000ミリウーム」

で、どうやら、チュニジアでは、「●ディナール▲百ミリウーム」なんてめんどーくさい言い方はせず、「●千▲百」と単位を省略して言うようだ。

ならば400(ミリウーム)というコーヒーの値段は、日本円にしたらわずか30円! おおビバ!チュニジア!!

しかし、その後もカフェやレストランで、「コーヒー…500」だとか、「定食…6000」といった、見た目だけはやたら大きい数字に頻繁に出くわすことになり、これには少々マイッた。だって僕の仏語の能力値は「1から100まで」しかないのだから、、、、

夏のチュニジア。そこは猛暑ばかりでなく、おいらの言語脳を超越した過酷な脳トレという試練でも、僕を待ち構えていた。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 09:58