【泰緬鉄道の跡を追う? = タイ・ミャンマー陸路ノービザ国境越えの旅】
第6話)ミャンマー夜行バスの必需品
《タイ・ミャンマー旅行記|カンチャナブリー|ダウェイ|モウラミャイン|ノアラボーパヤー》
モーラミャインは、チベットを源流とする東南アジアの大河・サルウィン川の河口に開けた街だ。市内を見下ろす丘の上には荘厳な仏教寺院が建立されている。経済的には貧しいミャンマーであるが仏教寺院だけは恐ろしく立派で、人々の信仰の深さが見て取れる。
短い旅行期間のため、この街にもあまり長居をすることができない。ここからヤンゴンまで夜行バスで移動することにした。無論ヤンゴンまで鉄道を使うという選択肢もあるが、恐ろしく時間がかかるうえ遅延が多いと言う。多少時間がかかるぐらいなら許容できるが、半日とか1日とかの大幅な遅れは困る。というのもヤンゴンに着いたその日の夜、僕はもう日本に帰らねばならないのだ。
しかしそうなると、泰緬鉄道の跡を追うという旅のテーマを掲げながらミャンマー側では一度も列車に乗っていないことになる。が、そんなことより今気になるのは、ヤンゴン行きのバスだ。今回もバスチケットは宿で手配してもらった。宿にあったパンフには豪華な大型バスの写真が載っていたからだ。
当然この手のデラックスバスに乗れるものと期待はしているが、何せここはミャンマー。景品表示法なんてあるわけがない。あったとしても「写真はイメージです」とミャンマー語で書かれているのかもしれない。ともかく、またまさかのミニバンということもありえるのだ。頼むから夜行でスシ詰めのミニバンは勘弁してほしい。
祈る思いでバイクタクシーに乗り込み、バスステーションに向かう。到着するとバイタクの運ちゃんにミャンマー語で印刷されたチケットを見せ、そのバス会社の事務所前まで案内してもらった。
やった!!
事務所前に停まっていたのはパンフの写真と同じ大型バスであった。しかし、たかが普通のバスを見ただけで、こんなに喜びを感じるなんて、全く想像もしていなかったゾ!!
2時間ほど走るとパスはドライブインに停まった。近代的な造りの施設でミャンマーにもこんなところができたのだなぁと時代の流れを感じてしまう。
さらにもう3時間程走るとまたドライブインに停まった。するとここで予想外の出来事が起こった。
客がぞろぞろとバスを降りてしまうのだ。なんだろう? 嫌な予感がする。ともかく運転手に恐る恐る尋ねてみる。
「故障ですか? 別のバスに乗り換えるのですか?」
「ノー、ここはヤンゴンだよ」
え"っ、もう着いちゃったの!!
ガイドブックその他の情報をから到着は朝7時頃と読んでいた。だが今は夜中の3時。こんなに早く着いてもらっても困るんだけどぉ。
ただモーラミャインとヤンゴンの距離約290kmを考えれば、普通の国ならこのくらいの時間について当然である。ミャンマーもう少しずつ普通国に近づいているようだ。
それはともかくこの後どうしよう。仕方があるまい。朝までベンチで寝ているか。僕はバッグの中からエアークッションを取り出し空気を吹き込み、枕にして横になった。熱帯の国ミャンマーとはいえ、夜中のこの時間はさほど暑くない。ともかく半袖短パンのままターミナルのベンチで朝まで一眠り。
コケコッコー!!
夜があけると、あちこちから鶏が時を告げ、目覚まし時計不要で起こされる。
爽やかな朝だ、今日も一日頑張ろうと思った矢先、体に違和感を感じた。
足が痒いぃぃぃ~!!!!
オープンエアのバスステーションのベンチはヤブ蚊天国であった。おいらの足は見事に蚊のやつらにチューチュー血を吸われまくっていたのだ。こんな敵が潜んでいたなんて(泣)。
ミャンマー夜行バスの旅には蚊取り線香が欠かせないことを学んだオイラであった。
最終更新:2019年03月03日 11:04