【泰緬鉄道の跡を追う? = タイ・ミャンマー陸路ノービザ国境越えの旅】
第5話)第二のゴールデンロック
《タイ・ミャンマー旅行記|カンチャナブリー|ダウェイ|モウラミャイン|ノアラボーパヤー》
ミャンマーで有名な観光地といえば、その一つはチャイティーヨーのゴールデンロックである。巨大な石が崖っぷちギリギリに落ちずに止まり、聖地と崇められている。金箔で覆われたその姿はガイドブックなどでお馴染みだ。
だが、ミャンマーに第二のゴールデンロックが存在していることはあまり知られていない。
ノアラボー・パヤーという寺院に鎮座する第二のロックは、今僕が滞在しているモーラミャインの街から約24km程離れた所にある。参道の入り口までは公共のバスで行くことも、バイクタクシーをチャーターして行くこともできる。
宿のスタッフに尋ねるとバイタクの相場は往復で7000チャット(約¥540)。これで行けば簡単な事は分かっているがミャンマーの路線バスという物にも乗ってみたい。そう思ってガイドブックに記載されているバス乗り場を探すのだが、それが中々見当たらない。地元民に尋ねてみても皆わかったふりをして適当なこと答え、要領を得ない。そして、なんとなく雑貨屋の集まる辺りに小型トラックが止まっていたので足を向けてみたら、なんとそれがバスであった。
トラックの荷台に乗客を載せる"バス"は、東南アジアでよくある事であるが、すっかり普通のバスが走っているものだと勝手に勘違いしていた。
荷台はあっという間に人で埋まり、数えたら25人が詰め込まれていた。それに乗り込み30分ほどすると「ここだ」と言われたところがノアラボー・パヤーへの入り口であった。
そこにはゴールデンロックへの山道を登る参拝客を載せるためのダンプカーが待機していた。
ダンプで乗客を山頂まで運ぶという発想は本家のチャイティーヨーと同じである。何年も前の話であるが、チャイティーヨーのダンプカーは運転が荒く、揺れに耐えきれなかった隣の乗客がゲロってたことを思い出し、緊張感が走った。
荷台に木の板を渡しただけの簡単なシートに、乗客が三々五々集まり満席になるとダンプカーはスタート。勢いよく坂道を駆け上がってゆく。このノリは本家チャイティーヨーの時と同じだ。要するに運転が荒い。急発進をしたり急ブレーキをかけたり、乗客たちはヒヤヒヤ・ドキドキ。もしかしたら、これはこれである種のエンターテイメントだが、スリルがマジすぎる。
しかし一見荒く見えるこのダンプだが、よく観察するとこれを運転するのは相当な技量が必要とされることが分かる。なぜなら、山頂へと続く山道は実はトラックの轍のぶんだけしか舗装されていないのだ。いわば平均台の上で演技をする体操選手のような繊細さを持ち合わせていないとこの道は運転出来ない。
「もし脱輪したらどうなる?」
そんなことを考えると恐ろしいので考えることをやめたが、ともかくミャンマーのダンプ野郎、タダ者ではない。
そうこうするうちに山頂へとたどり着く。境内は土足禁止。靴を脱ぎ、階段を登った先にその岩は現れた。本家チャイティーヨーと比べると大きさは随分小ぶりだが、なんと言ってもユニークなのはそのスタイル。
二段重ねなのだ!!
細長い岩の上にさらに細長い岩が乗っかって微妙なバランスを保っている。こんな「なんじゃこりゃ?」な現象が起きていいのか!!
一体どうやってこの2つの岩は出会い、重なり、長い年月の間微妙なバランスを取ったままここに鎮座しているのだろう? 全くもってこれはもう不思議としか言いようがない。
そしてこんな不思議を隠し持ってるミャンマーという国には、まだまだ未発見の不思議が潜んでいる気がしてならないのであった。
最終更新:2019年03月03日 10:14