【タナトラジャ犠牲祭+αの旅】
第1話)寝台バスに乗る

《インドネシア旅行記|タナトラジャ|ランテパオ|マカッサル|ジョグジャカルタ》

インドネシアのスラウェシ島。この島の中央部トラジャ地方には、生きるより死ぬ事にお金がかかる人たちが住んでいる。それは一体どういうことかというと、葬式に莫大なお金をかける暮らしなのだ。

生きているうちに十分なお金が貯まらなかったら、亡くなった後、遺族に十分なお金が貯まってから葬儀が実行される。

ではそんな高価な葬式とはどういうものなのか?

彼らの価値観は葬儀にどれだけ多くの生贄を提供したかによって決まる。すなわちセレモニーの日は何十頭もの家畜が屠られる日なのだ。

なんとも奇妙なこの風習を、怖いもの見たさに体感してみたいと思いインドネシアのスラウェシ島に飛んだ。

インドネシア旅行記|インドネシア、スラウェシ島・トラジャ地方
インドネシア、スラウェシ島・トラジャ地方

ジャカルタからライオン航空というLCCで、スラウェシ島の州都マッカサルの空港に午後3時前に到着。ここからは夜9時発の夜行バスでトラジャ地方の中心地ランテパオへ向かう。

マッカサル空港は街の東約40kmのところにある。そしてランテパオ行きのバスターミナルは街と空港との間だ。では空港からバスターミナルまでどうやって行くのか?

空港の観光案内所で尋ねてみようとブースの前に来てみると係員がいない。

 「ハローミスター、タナトラジャ?」

すると怪しげな男が声をかけてきた。

 「俺はタナトラジャの出身だ。どこを回るんだ。」

いつのまに寄ってきた男は僕の前で地図を広げトラジャ地方の見どころを指しながら、頼みもしないのに勝手にツアープランを組みだしたが、よく見るとその男はツアーカウンターの職員だった。ここでこの男にプライベート・ガイドを付けた旅行プランなど組まれたらとんでもない金額になるのは目に見えている。

 「悪いけどオイラはランテパオ行きのバスだけを買いたいんだ」

 「オー、バスね。わかった、問題ない。俺が手配してやる。寝台バス往復で70ドルだ。」

バスの手配はありがたいが70ドルとはこちらが事前に調べた金額とかなり開きがある。

 「随分高くないか?」

 「そんなことはない。俺はこれからお前とタクシーに乗ってバスターミナルに行く。そこでチケットを買って、俺は空港に戻らねばいけない。往復のタクシー代がかかるから70ドルになるんだよ」

おいおい、何でバスチケットを買ってもらうためにお前のタクシー代を俺が払わなきゃいけないんだ!!

 「空港からバスターミナルまで公共のバスなどない。タクシーしか方法がないんだ。」

そんなことはないだろう。僕は男を無視しエアポートバス乗場に向かった。係員に尋ねると、エアポートバスはちゃんとバスターミナルのあるダヤ地区にも停まると言う。

インドネシア旅行記|寝台バスを運行しているビンタンプリマ社のオフィス
上:ビンタンプリマ社のオフィス、下:ダヤ・バスターミナル
インドネシア旅行記|ダヤ・バスターミナル

で、ダヤ・バスターミナルにたどり着くと複数のバス会社のオフィスがあった。

そのなかのビンタンプリマ社が寝台バスを運行しているという。写真を見るとフルフラットの個室になっているので25万ルピア(約¥2,025)を払ってチケットを購入。

夕方9時の出発まで一旦街中に出てプラプラしてからバスターミナルに戻る。

そして、いよいよ寝台バスに乗り込んだのだが、、、おかしい。あてがわれたのは個室寝台ではなく、リクライニングシート席であった。フラットに近いくらいリクライニングの効く座席ではあるが、写真の個室と全然違うではないか。このリクライニングでも十分に快適ではあったが、何か腑に落ちない。

インドネシア旅行記|ビンタンプリマの寝台バス
上:行きはリクライニングシート=25万ルピア、下:帰りは個室寝台=21万ルピア
インドネシア旅行記|ビンタンプリマの寝台バス

因みにその数日後、ランテパオからマカッサルに戻るバスも同じビンタンプリマ社の夜行バスを利用したが、そのときはちゃんと個室寝台だったが、そのチケット代は21万ルピア(約¥1,700)。帰りの方が個室で値段が安いとはどういうことだ!!

ま、その辺りのいい加減なところがインドネシアなのであろう。

(続く)


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最終更新:2018年09月09日 22:03