【ふるさと納税で行く、台湾ちょこっと旅】
第4話)牡蠣の呪い
《台湾旅行記|台北|石門金剛宮|観光工場|猫空》
うっ、何だかお腹が疼く。
台湾ちょこっと旅二日目の夜、オイラの胃腸が不調を訴えた。
ゴロゴロゴロ、ドッカーン
ほとんど水だけの雲古が、まるで雷雨のよう激しく噴出した。思い当たるフシはある。昨晩食べた牡蠣オムレツが原因だろう。しかし、今までの人生を振り返って、これほど激しい下痢を経験したことはない。
一回用を足しても 30分もしないうちにまたもや次の噴火の予兆を感じてしまうのだ。こうして、一晩の内に何度も化粧室のお世話になった。
翌朝もお腹の調子は最悪。食欲なんて微塵もない。台湾旅の楽しみといえば食べることといっても過言ではない。安くて旨い料理天国で、それが全く楽しめないなんて(泣)
最終日の今日は、台北近郊の温泉に寄って夜の便で帰国しようと考えていた。だが温泉まで小一時間のバス旅が危ない。この体調では、その移動の間に噴火してしまう。いつでも化粧室に行ける場所へのプチトリップに予定を変更せざるを得ない。そこで地下鉄沿線沿いの猫空(マオコン)に行先を変更することにした。地下鉄なら駅に化粧室があるので、噴火の予兆を感じても駆け込みやすい。
猫空(マオコン)=台北近郊、お茶の栽培が盛んで眺めが良い所
猫空(マオコン)は、台北近郊の丘陵地帯。お茶の栽培が盛んで眺めが良い所である。 地下鉄の終点・動物園駅からロープウェイに乗り換え猫空(マオコン)を目指すのだが、予想通りその途中で何度か化粧室にお世話になった。いったい今日一日で何度用を足しているというのだ。
猫空(マオコン)のロープウェイ乗場に行くと何やら張り紙をしてあった。
「本日運休」
あ、今日は月曜日だった。 観光客の少ない月曜、ロープウェイは運休だという。そこで代替バスで猫空(マオコン)に向う。山頂に着くが観光客はまばらだった。開いているお店も限られており、そこだけ人が混んでいる。とある眺めの良いカフェでゆっくりお茶を飲みつつ、体力が回復するのをじっと待つしか術がなかった。
眺めの良いカフェでゆっくりお茶を飲みつつ、体力が回復するのを待つ
こうして体調を整えつつ ダラダラと過ごし、夕方 空港へと向かった。
今日1日で10回近く化粧室に駆け込んだが、夕方にはだいぶ調子は良くなってきた。とはいえ、これから最大の試練を迎える。日本までの4時間のフライトで、噴射漏れを起こさず無事に帰国できるかということだ。
その鍵は何と言っても座席にある。どんなことがあっても トイレに近い通路側の席を確保しなくてはならない。
が、ここで大きな問題が立ちはだかった。LCCのシートは座席指定ができないのだ。チェックインしたとき自動的にコンピューターが選んでしまう。
無論予約時に有料で座席指定をすることは可能であったが、その時はまさかこのような事態になるとは夢にも思っていなかったので、座席指定なしで航空券を購入していた。
これはもうチェックインの時に係員に何とかしてもらうしかない。
「通路側をお願いします」
「コンピューターは窓側の席を指定しました」
やっぱりそうか。ではもう窮状を訴えるしかない。
「お腹の調子が悪いのです。トイレに行きやすい通路側にしてください」
出来うる限り最大限に、苦しげな表情をこしらえてアピールすると、係員は上司に相談すると言って席を立った。むろんこの時点で追加料金を払うことも覚悟した。
「今回は特別です、通路側の席ですよ。でも次回からは指定料金が発生しますからね」
なんとラッキーな 。無料で席を替えてもらえた。これで4時間のフライトも安心だ 。
でもよく考えたら、LCC側としても乗客が噴射漏れしてもらっては困る。まさか機内を臭豆腐の匂いで充満させるわけにもいかないからね。
こうして無事帰国便の席を確保した。お腹の調子は少しずつ治りつつあるも、相変わらず食欲は全くない。LCCは機内食が出ない。だが今日の僕にとっては、それが最高のサービスとなっている。なんという皮肉だ。
こうして全く閉まらない話で、オイラの台湾ちょこっと旅は閉幕となったのであった。
最終更新:2018年02月11日 17:42