【格安で行こう、マチュピチュの旅】
第10話)再びペルビアン航空
《ペルー旅行記|クスコ|マチュピチュ|ティポン|リマ|》
クスコ・マチュピチュで数日を過ごし、とうとうペルーを離れる日がやって来た。 国内線で朝リマに着き、夜の国際線に乗り継いでペルーを離れる。クスコからリマまではまたしてもあのペルビアン航空だ。
飛行機は定刻から15分程遅れて出発した。この程度の遅れはもう想定の範囲内である。滑走路に移動し、さあエンジン全開、飛び立つぞ、と思ったら、あれれ。
機内の電源が落ちた!
マジですか?
そして我がペルビアン航空は滑走路の真ん中で立往生。この異常事態に普通なら何らかのアナウンスがあるはずだが、 何の音沙汰もない。
乗客も「ま、ペルビアン航空だからしょうがない」と慣れたもので、騒ぎ出す者は誰もいない。
空調が止まって機内の空気が暑くなってきた。隣のペルー人のオバチャンが、機内安全のしおりをうちわがわりに手に取ってパタパタしだしたのだが、ふと手を止めマジマジとその説明文を読みだしたぞ。
おいおい、嫌だよそんな、機内脱出みたいな事態になったら。
ともかく飛行機よ、無事リマまで飛んでくれ。僕が怖れているのはフライトキャンセルだ。
リマ発国際線への接続時間には十分な余裕を持たせている。だが我がぺルビアン航空が欠航となると帰国便に乗継げなくなる可能性が大だ。
しばらくしてやっと機内アナウンスが流れた。だがスペイン語なので 何を言っているのかさっぱり分からない。なんとなく「明日(manana)」 というような単語が聞こえた気もする。
そしてアナウンスが終わると同時に一斉に機内から
ブッー!!
と乗客が非難の声を上げた。
まさかフライトキャンセルで明日に振替、とでも告げられたのでは? それは困る!! 予定通り帰国できないと、給与所得者としては由々しき事態に発展しかねない。
「フライトキャンセルじゃないですよね?」
隣のおばちゃんに聞いてみたら、流暢な英語をしゃべるので助かった。結局1時間遅れての出発だという。やれやれペルビアン航空よ、行きの便に続いて帰りもまた遅延ですか。
ともかく整備不良で墜落なんてことだけはないよう無事に飛んでくれよ。
飛び立った飛行機の窓から見える雄大なアンデスの光景に感嘆しつつ、僕は旅の安全をインカの神に祈ったのであった。
最終更新:2017年11月01日 00:13