【格安で行こう、マチュピチュの旅】
第7話)ルイスとの闘い
《ペルー旅行記|クスコ|マチュピチュ|ティポン|リマ|》
マチュピチュからの列車は終点オリャンタイタンボに到着した。ここからクスコまでは道路を利用する。乗合バスの料金を確認すると一人10ソル(約35円)と安い。
ここオリャンタイタンボにもインカ時代の遺跡がある。それを少し見物してからクスコに戻ろう。遺跡の方へ向かうとマチュピチュほどの規模ではないのが、丘の中腹にオリャンタの遺跡が見えてきた。もちろんこの遺跡の中に入ることも可能であるが、そのためには周辺の遺跡との共通チケット170ソル(約5950円)を買わなければならない。1つの遺跡に入るために6000円近い入場料は払えない。まあここは外から眺めるだけにしておこう。
遺跡を後にしようとすると
「アミーゴ、クスコまで150ソル(約5250円)だ。途中、モライ、マラス、チンチェイロに寄る。どうだ。」
とタクシー運転手が声をかけてきた。クスコからオリャンタイタンボにかけては聖なる谷と呼ばれ、ウルバンバ川の流域にインカ時代の遺跡が多数点在している。クスコからこれらの遺跡を巡るツアーは15ドル(約1725円)程度であるのだが、オリャンタイタンボ側からこのようなツアーはない。オリャンタ側から名所を巡ってクスコに戻るには、タクシーをチャーターするしかない。運転手はそのツアーに行かないかと誘っているのである。
150ソル(約5250円)という運賃も高いと思うが 何よりおいらは遺跡に入るチケットを買っていない。ただしマラスの塩田には行ってみたいと思っていた。ここはインカ時代から続く谷間にできた塩田で、4千枚もあると言われる棚田状の塩田は今も現役で塩を産出しており、ここのみ単独10ソル(約350円)で見学することができる。
「オリャンタイタンボとマラスの塩田との往復で80ソル(約2800円)でどうだ」
「わかった、俺の名はルイス。じゃあそれにしよう」
とオリャンタ=マラスの塩田、往復80ソルで交渉成立。しかしこのルイスという運転手ただものではない。ここからヤツのアミーゴ攻撃が始まった。
道の途中で外国人旅行客を見つけると「アミーゴ、途中でもう2人仲間を見つけたらクスコまで行っていいか?
その場合100ソル(約3500円)でいいぞ」だの
「アミーゴ、マラスの塩田の後はオリャンタに戻らず、ウルバンバの街でいいか」と、よりクスコに近い街に戻ることを求めたり、
「アミーゴ、一旦
オリャンタに戻ってまたクスコに行くなんてバカみたいだ。このままクスコまで行かないか?」と、あらゆる口実を並べ立て、なんとかクスコに連れて行こうとする。
まあそれも分からないでもない。大きな街クスコに比べたらオリャンタイタンボは単なる田舎の集落だ。客の数はたかが知れている。営業的にもクスコに戻って客を拾った方が商売になるのは明らかだ。
「100ソルならいいよ」
「アミーゴそれはないだろ120ソルでどうだ」
と、 交渉を進め結局110ソル(約3850円)で落ち着いた。おかげでインカ時代から続く大塩田マラスなど観光しつつクスコに戻ることができたが、タクシー代110ソルはペルーの物価を考えると結構な大金である。
おまけに今日は朝一で片道54ドル(約6210円)もの列車にも乗っている。クスコに戻るまで1万円近くの大金がかかってしまった。
痛い出費ではあるが、まあこんな1日があってもよいだろう。
最終更新:2017年11月01日 00:03