【桂林(クイリン)・陽朔(ヤンシュオ)、山と川と田んぼの旅】
第6話)AAA級トイレとは
《中国旅行記|桂林|龍脊|陽朔|漓江》
ボートツアーの終着点である陽朔(ヤンシュオ)の街は、スタバやマクドもある、そこそこの規模の街であった。ただ桂林(クイリン)程巨大ではなく、山水画状の山々に囲まれ、自然感溢れる居心地の良いところだ。
周辺はさほど起伏もないので、漓江(リーチャン)やその支流に点在する村や名所へは、自転車で見て回るのに調度良い。
泊まった宿で自転車を借りる。すると宿のオバチャンから、
「 ティートゥーを持ってけ」
と言われた。ティートゥー?、あっ地図のことだ。おお、結構詳細な地図ではないか。これがあると助かる。オバチャン、どうも謝謝。と渡された地図に手にして出かけようとしたら。
「5元(¥約85)だよ」
え、有料だったのね、その地図。さすが中国人、商売に抜け目はない。
しかしその地図は役に立った。何せ中国ではグーグルマップが使えない。それに日本のガイドブックの地図では範囲が限られている。
自ずと購入した地図に頼らざるを得ないのであるが、脇道のサイクリングに適したコースが記されているなど、細かい所までよくできている。そのような道では庶民のありのままの生活を垣間見ることができる。川をせき止めた一角でお婆さんが洗濯をしている光景に出くわすと、上流から桃が流れて来るのではと思わず錯覚してしまうほどだ。
山と河に囲まれた陽朔(ヤンシュオ)周辺は、洞窟や奇岩などの自然景観スポットが幾つもある。
その中のひとつ、月亮山(ユエリャンシャン)までチャリンコを飛ばして行ってみた。今日は天気もよく、山水画世界の山々に囲まれた道中の景色を眺めるだけでも気分は爽快、ペダルを漕ぐ足も自然と軽くなる。その時であった。
ブゥゥゥゥゥ~ン
おや、何だ? 上空からエンジン音がする。うわ、動力付きのハンググライダーだ。こんな贅沢な遊びをしている人民もいるのか!! 。
おや、この広場は何だ、え、ヘリコプター乗り場。あらら遊覧飛行もできるのか!さすが日本を抜いて経済大国No.2になっただけある。人民はゴージャスなレジャーを楽しんでいるなぁ。
程なくして名所の月亮山(ユエリャンシャン)の入り口に着いた。月亮山(ユエリャンシャン)は、中腹に巨大な穴が空いている奇妙な山である。入り口付近でもその奇怪な穴を拝めることはできるが、ちょっとした山道があり、入場料を払って登るともっと近くから拝めるようだ。
で、息を切らして登っては見たのだが、頂上から見ても麓から見ても、月亮山(ユエリャンシャン)の穴の大きさは同じようにしか見えなかった。なんか体力を使って損したと後悔しながら山道をくだり、ついでに洗面所に立ち寄ろうとしたその時であった。
「AAA級トイレ」
と、トイレの建物に 記されていた。
何、AAAクラスのトイレだと。 上等じゃないか。経済大国第2位の トリプルAのトイレ、見せてもらおうではないか。
一体どんなに凄いのか、 国家の威信をかけたトイレとは。想像もつかない 特殊機能が満載されたウォシュレットでもあるというのか?
期待に胸を膨らませてトイレの扉を開ける。
うん確かに中国の一般的なトイレに比べたら恐ろしく清掃が行き届いており、ほのかに線香香りが漂い、悪臭は一切しない。
男性用の小さい方の部屋は木目調のインテリアで統一され、ホテルのような落ち着きがある。それでは大きい方の個室はどうだろう。
えっ、これがトリプルA
そこにあったのは、クラウチングスタイル用のフラットなただの便器。
ああまだまだ日本は中国に負けていないな。
妙なところで 国家の安泰を感じた僕であった。
最終更新:2017年05月28日 20:05