【続・牛を巡る冒険/黒島牛祭り】
第3話)当たったのは夢の牛? それとも…

《沖縄旅行記|八重山|黒島|牛まつり|石垣島》

パラ パラ パラ、ザ ザ ザ ザ ザッーー

翌朝、強い雨音で目を覚ます。えっ、今日は牛まつりの本番なのに、雨!!

昨日からのぐずついた天気は、お祭り当日まで続いてしまった。ただ、明け方の強い降りは勢いが収まり、イベントが始まる頃には霧雨になってくれた。この程度であれば100均ショップで買ったちゃちなビニールガッパでも何とかしのげる。

地元中学生の舞いに続いてライブが始まった。イベント会場は港近くの多目的広場。石垣からの日帰り客もぞろぞろと集まってきた。

黒島牛まつり2017|イベント会場
黒島牛まつり2017:ゆるキャラの「くろちゃん」と「しまちゃん」

小雨のなかでのイベントは少々不快ではあるが、メリットもある。悪天候で祭りの参加を見合わせる日帰り客も多くいるはずだ。その分オイラが牛主になる確率も高まるというものだ。ウッシッシ。

メイン会場ではライブ音楽を中心にイベントが進行していくが、サブ会場でも様々な催し物が行われていた。牛の体重当てクイズ、蹄削りのデモや子牛のミルクあげ体験、スタンプラリー、牧草ロールペイント、etc.

黒島牛まつり2017|様々な催し物
蹄削りのデモ、子牛のミルクあげ体験、牧草ロールペイント、etc.

いくつかのイベントは有料参加であるが、島民が赤字で運営している牛まつりである。夢の牛がなくならないよう、観光客としては積極的にお金を落としてやろうではないか。

牛の鼻かんを使った輪投げに挑戦してみた。5個の鼻かんの内2個が的にかかればBBQ用の肉200g(冷凍)が当たるというものだが、何と、見事ゲットしてしまった。しかしこの景品にはちょっと困った。僕は今日の夕方に島を出る。冷凍肉だけ抱えてもどう処分して良いかわからない。

 「これ、皆で食べて」

昨晩、同宿し今日も連泊するという旅行客の一人に当選した肉の引換券をプレゼントした。オイラの狙いは牛一頭、たかが牛肉200g程度で運を使い果たしてなるものか。

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黒島牛まつり2017|具沢山の牛汁
具沢山の牛汁

「うわ、何このボリューム!!」

昼時、牛まつりにセットされた食事券で牛汁を頼んだ。東京辺りの屋外イベントで供される食事は、量が少なかったりと結構みみっちぃことが多い。なのであまり期待していなかったのだが、ここは違った。肉たっぷり、野菜もたっぷり、超具沢山の牛汁が目の前に。無論、味も最高だ。なるほど、これだけの逸品なら、夜中に盗みにくる輩が出ても不思議ではない。

昼過ぎになると、メイン会場では観客参加のイベントが始まった。牧草ロール転がしゲームやら、カップルによるリヤカーレースやら、地元の青年団を中心としたグループが熱戦を繰り広げる。沖縄角力(すもう)の決勝戦では本土から参加の柔道経験者が優勝。そして 牛1頭 vs 人間5人 の綱引き大会が行われたが、人間5人では全く歯が立たず、10人に増やしても牛一頭の圧勝であった、牛って凄い!!

黒島牛まつり2017|観客参加のイベント
観客参加のイベント:牧草ロール転がしゲームやら、リヤカーレースやら

そしていよいよ、お待ちかね。牛一頭の大抽選会がはじまった。MCが会場を煽る。

 「みんな、牛一頭、欲しいかー」

  オオオオオオーーーーー!!!!

抽選会はまず7等の泡盛当選者の番号が呼ばれた。この辺りの当選で喜んでいいのかは微妙なところである。

5等には意外な賞品がアナウンスされた。山羊である。

 「当選者は1666番の方です。」

惜しい、カスった。オイラは1690番だ。

にしても、山羊が5等? 因みに2等は那覇=石垣の往復航空券だった。航空券はせいぜい2~3万円程度の価値だろう。だとしたら山羊ってそれ以下の値段ということか。この辺りの山羊って意外に安いんだなぁ。

黒島牛まつり2017|1等賞品の牛ちゃん
1等賞品の牛ちゃん

そうこうするうちに、本日の主役・夢の牛が登場。賞品の牛ちゃんを乗せた台車がトラクターに引かれて舞台の前に現われると、観衆のボルテージは一気に沸騰した。

そして運命の番号札を、司会者が読み上げる。

 「当選者は・・・」

もったいぶる司会者

 「当選者は・・・」

あらら~、次の瞬間サッと熱が冷めていった。呼ばれたのは自分と全く関係のない番号であった。トホホ~。

しかし、ここから別の戦いが始まっていた。

抽選会が終わると、大多数を占める日帰り客が一斉に港に向かって民族大移動を開始したのであった。これだけの人数を一度に運べる船はない。当然ピストン輸送となるから港に着くのが遅れると、長時間次の船を待たねばならない。

黒島牛まつり2017|乗船を待つ長蛇の列
乗船を待つ長蛇の列

 げっ、何だ、この列は!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

時は既に遅かった。乗船から溢れた客が遥か駐車場まで列を為していた。更に困ったことに、夕方になってまた雨足が強くなってきた。かといってこの長蛇の列では雨風を凌ぐスペースなどない。

 「Dツアーの乗船券をお持ちのお客様、前にお進み下さい」

ここでA観光の船チケットを購入したことが裏目にでてしまった。A観光とYフェリーは共同運行をしており利便性が高い。そのため 、ほとんどの来島者がA観光かYフェリーのチケットを買っていた。少数派のDツアー組はそれが吉と出てさっさと船に乗れたのだが、オイラを含むA観光やYフェリーの乗船客は小一時間ほど雨風に晒されながら船を待つ羽目に陥ってしまった。寒いぞ、ブルブル~。

牛は当たらず、山羊がカスり、雨に大当たりだった今回の牛まつり。嗚呼 いつか当てたい、夢の牛。

(FIN)


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最終更新:2017年03月04日 23:16