【バルカン三国縦断記】
第2話)朝食か? 保存鉄道か?

《バルカン三国旅行記|セルビア|ボスニア・ヘルツェゴビナ|クロアチア|》

旧ユーゴスラビアの首都であったベオグラードだが、主な見所はコンパクトにまとまっており、市内を巡回するトラムの2番でほぼ見て回れる。

バルカン三国旅行記|ペオグラード聖サヴァ教会
ペオグラードの見どころの一つ - 聖サヴァ教会

一通りの市内見物に1日を費やし、翌日はボスニア国境近くの町・ウジツェに向かう予定を立てていた。ウジツェは街そのものに何か特別に有名な史跡などがあるわけではない。そこからさらにバスで1時間ほど先のモクラ・ゴラにある保存鉄道や周辺の山岳リゾート訪問の拠点となっている街である。

ベオグラードからモクラ・ゴラへは朝7:00発のバスなら12:20に到着する。これなら毎日13:00発の保存鉄道に乗ることができる。しかし、朝かなり早く宿を発たねぱならないのが難点だ。

一方ウジツェまでだけなら10:00発のバスでも昼過ぎには余裕で到着するが、当日の保存鉄道乗車は断念せざるをえない。日程の都合上、ウジツェには一泊だけしてすぐボスニアのサラエヴォに向かわねばならないので、翌日に保存鉄道に立ち寄る時間はない。

貴重な保存鉄道を体験するなら朝7:00発のバスに乗るしかないのだが、それだと、ホテルでしっかり朝食をとることができない。

バルカン三国旅行記|ペオグラード中央駅近くの中級ホテル
ペオグラード中央駅近くの中級ホテルは朝食付き

ここで少し補足をすると、僕は普段朝食付きのホテルに泊まることは滅多にない。今回はたまたま某宿泊サイトのポイントが貯まっていたので、それを利用して朝食付きにアップグレードしたのであった。せっかくタダでついてる朝食なのに、無駄にしてしまうのは悔しい。

 朝食か? それとも貴重な保存鉄道を体験するか? 

はるばるセルビアまでやって来たのだから、朝食より観光名所の鉄道をとるのが普通の感覚であろう。だが、「モッタイナイ」精神が異様に発達している僕はタダの朝食を放棄するという勇気が持てない。

 ああ、どうしよう?

踏ん切りのつかないまま就寝時間を迎えた。僕はもうこの問題を自分の本能に任せることにした。すなわち早起きできたら朝7:00発のバスに乗ろう、一応それに合わせて目覚ましをセットしておこう。

こうして僕は眠りについた。


 チュンチュン


朝、鳥の鳴き声で目が覚める。そして辺りを見回しカーテンを開くと、明るい陽光が飛び込んできた。

そしておもむろに時計を見ると、7:00はもうとっくに過ぎていた。傍らには見事にアラームがリセットされた携帯が…

オイラの本能は、貴重な観光鉄道よりタダの朝食をチョイスしていた。自分の知的好奇心が食欲に負けてしまったことに多少の情けなさを感じるが…

でも、よく考えたらオイラはそもそも鉄道ファンでもなんでもない。鉄分よりも養分だ。

バルカン三国旅行記|バイキング形式の朝食をたらふくいただく
バイキング形式の朝食をたらふくいただく

バイキング形式の朝食をたらふくいただき、ついでにテーブルにあるパンやらケーキやらをバスの車内用おやつとしてそっとビニール袋に忍ばせ、僕は中央バスターミナルに向かったのであった。

(続く)


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最終更新:2016年11月06日 18:39