【バルカン三国縦断記】
第1話)明細書をよこせ!!
《バルカン三国旅行記|セルビア|ボスニア・ヘルツェゴビナ|クロアチア|》
えっ、コーヒー1杯70ディナール(※約¥68) !! なんて安いのだ!!
(※1ディナール=約¥0.98 ほぼ日本円と等価)
予想をはるかに超えたお値打ち価格に嬉しさがこみ上げてきた。
ここは東欧セルビアの首都ベオグラード。東京からソウル・イスタンブールと飛行機を二回乗継ぎ、なんとかその日の夜遅くベオグラード中央駅にほど近いホテルにたどり着いた。
そして、そのままホテルの前にあるピッツェリアでピザとコーヒーを頼んでいた。ピザの方はどうというほどの味ではないが、コーヒーの方は粉を煮出して抽出する本格的なトルコ式で美味い。
食事を済ませ、ウェイターに1000ディナール札を手渡すと、
「700ディナールです」
と釣りを返された。ということは合計300ディナール。コーヒーが70ディナールだったから、ピザはたった230ディナール(約¥225) だったということだ。 おお、ベオグラード!! なんとお財布に優しい街よ!
あまり見所がないと言われるこの街たが、物価が安いということはそれだけで魅力的である。
店を出た後、レシートを確認した。あれれ、コーヒーは70ディナールとあるが、ピザの料金は130ディナールと書いてある。ということは合計200ディナール。
あっ、しまった!! 100ディナール(約¥98) ボラれた。
初日から早くも洗礼を受けてしまった。料金はちゃんと事前に確認しないといけない。そんな初歩的な事を忘れてしまった罰ではあるが、わずか100ディナールの授業料で旅の鉄則を再学習できたのだ。ボラれた悔しさは忘れよう。
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翌日、ベオグラードの旧市街をふらついてみる。すると、街のあちこちで、チェヴァプチチ(あらびき肉をソーセージ状にしたもの)やプリェスカヴィツァ(同じくあらびき肉をこちらはハンバーグ状にしたもの)を出す店に出くわす。
チェヴァプチチ(あらびき肉をソーセージ状にしたもの)
セルビアを始めとする旧ユーゴでは、こうした肉製品のグリル料理が一般的であると言われている。実際現地に来てみると確かにこの手の料理のブースはあちこちで見かける。と言うか他の料理のバリエーションがほとんどない。意識していないと、いつも肉ばかり食べていることになってしまう。
だがベオグラードはドナウ川とサヴァ川の合流地点に開けた川の街でもある。旧市街の対岸にあるゼムン地区には、川魚料理を食べさせる店がドナウ川添いに並んでいるというので、二日目の夜に訪れてみた。
岸辺には何軒もレストランが軒を連ねていた。そしてとある店のメニューを外から眺めていたら、鯉のステーキ790ディナール(約¥774)と興味をそそる一品を見つけたので、そのまま席に腰かけた。
「付合せは何になさいますか?」
とウェイターが尋ねる。適当に飲み物と付合せを頼み、メインデッシュの到来を待つ。
しかし鯉のステーキなんて初めて聞いたゾ。日本で鯉料理といえば、洗いとか鯉コクとかを思いだすが、ステーキにするという発想は肉食文化の発達したこの地ならではのものなのだろう。
そうこうするうち、主役が登場。あらら、想像以上に豪華な一品のお出ましではありませんか!!
ソテーした鯉の身は、ハーブを効かせたバターソースをまとい、なんとも上品な味わいに仕上がっていた。副菜の野菜のグリルもジューシーで、中々贅沢なディナーだ。これが790ディナール+αでいただけるなら、言うことなし!!
「お会計は 1730ディナールでございます」
食事を終えるとウェイターはそう告げてきた。えっ、いくら副菜などを頼んだからって、どうしてメンイデッシュの倍以上の値段になるのだ!!
明細書をよこせ!!
一瞬そう叫びたくもなったのだが、請求額は日本円に換算して約¥1,695。これで大人げない態度をとるわけにもいくまい。
昨夜に続いてまたも事前の料金確認を怠る失態。トホホ~、なんて学習能力がないのだ!!
でもまあ、この値段であれだけのごちそうが食べられたのだ、良しとするしかあるまい。
最終更新:2016年10月17日 12:33