【そして牛を巡る冒険/奄美群島の旅】
第6話)牛を巡る冒険 ② ― 闘牛の島

《旅行記|徳之島|闘牛|亀津|伊仙|奄美大島|名瀬|喜界島》

徳之島の闘牛熱は半端でない。なにしろ人口2万7千人の島に闘牛場が8ヶ所もある。

同じく闘牛の盛んな沖縄県には13の闘牛場があるが、県民は142万人。つまり沖縄は人口11万人あたりに1つ闘牛場があるのに対し、徳之島は人口3400人に1つ闘牛場があることになり、闘牛の身近さが突出して高いことがわかる。

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そんな徳之島を自転車で回っていたら、妙な道路標識を見かけた。

徳之島 旅行記|闘牛用黒牛 トレーニング中 注意」の標識
「闘牛用黒牛 トレーニング中 注意」の標識

「闘牛用黒牛 トレーニング中 注意」

牛に注意!! しかも闘牛用の牛!! こんな注意を呼び掛ける標識なんて、この島以外に存在するまい。

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「あっ、あれは何だ!! 牛の銅像が建っている。」

海岸沿いの道路脇に立派な神社が建立されていた。そして、そこには牛と牛主の銅像が建っている。

徳之島 旅行記|牛の銅像が建つ神社
牛の銅像が建つ神社!!

「あれは95歳で亡くなった牛好きのじいさんが建てたのさ。何千万円もかかったらしいよ」と、後で島のバス運転手が教えてくれた。

この島の闘牛にかける熱い思いは常軌を逸している。

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闘牛会場「なくさみ館」には資料室が併設されていた。

「 闘牛は牛と牛との力比べです。そして闘牛用の牛は、闘牛をするためだけに育てられます」 と資料室のお姉さんは力説する。

片手間で肉牛や乳牛を闘わせてみるという話ではないのだ。

「強くするため、様々な牛を掛け合わせます。岩手や新潟の牛はもちろん、スペインやアメリカの牛とも交配します。体の大きなホルスタインなんかも掛け合わせるから、パンダ模様の牛も産まれます。」

小さな南の島の娯楽と思っていたら、闘牛の牛はインターナショナルに品種改良を重ね、磨きをかけられていた!! 凄まじい情熱と途方もない資金が注ぎ混まれているのだった。

徳之島 旅行記|なくさみ館に併設の資料館
なくさみ館に併設の展示資料室

「牛主にも色々なタイプがあります。個人の方もいれば、会社所有の牛もいます。××建設○○号なんて名前は会社所有の牛ですね」

「地域組合で共同所有というケースもあります。集落で強い牛がいると周りの子供たちが皆で世話をするので、そりゃもう応援が盛り上がりますよ」

もう話を聞くだけでワクワクしてきた。

早く本物の対決を見たい!!  そして、その夢は今まさに現実になろうとしている。

さあ、いざ戦闘開始、対戦だぁ!!

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 20:58