【そして牛を巡る冒険/奄美群島の旅】
第3話)奇跡の市場
《旅行記|徳之島|闘牛|亀津|伊仙|奄美大島|名瀬|喜界島》
喜界島から船で奄美大島・名瀬港に戻る。喜界島から見ると奄美の中心地・名瀬は何もかもが巨大に写る。本土資本のチェーン店も沢山進出しており、喜界島の100倍くらいの経済的パワーを感じてしまう。
名瀬の街中を探索してみると中心部の商店街を形成していた辺りが更地になっていた。こんな所にも都会並みに再開発の波が押し寄せているのだろうか?
そんな古い物が消えつつある名瀬の街で恐ろしくレトロな一角を発見した。
「なになに"末広市場"、そして隣は"永田橋市場"。 むむむ、なんだこの朽ちかけた建物は…」
見かけは廃墟にしか見えない市場と名の付く隣り合わせの二軒の建物。ところがドッコイ、この二軒は生きている。
勇気を出して中に入ってみると、外見とは裏腹に小洒落たカフェや気のいい食堂がテナントに入って、ちょっとした賑わいを見せているのだ。
「ワンコインでランチ食べられるよ、寄ってけば」
そう声を掛けてきたのは、お店の人ではなく、地元民のお客さんであった。
カウンター席の反対側に設えた小さなテーブル席は、隣の客と足がぶつかりそうになるくらい狭い。が、その分妙な一体感を醸しだす幸せ空間を造り出していた。
そして気づくとワンコインに200円を奮発して、タカサゴの塩焼き定食を味わう自分がそこにいた。
「お茶は自分で、そこのポットから注いでね」
自分が店員なのか客なのか、渾然一体となってよく分からなくなるのも心地よい。
そんな不思議空間の 「永田橋市場 & 末広市場」にあって最大の驚きは、この超レトロ空間に放送局が入居していることだ。
奄美FM・ディ!ウェイヴの公開放送所が市場の一角にあり、昼時の生放送が流れる中、ガラス越しにそのオンエア光景を眺めることができる。これにはFM東京の渋谷パルコ・スタジオも真っ青だ!!
奄美FM・ディ!ウェイヴ末広市場放送所、駄菓子屋も兼業
さらに奄美FMがスゴいのは、放送所のすぐ隣で駄菓子屋も兼業していることだ。ラジオのDJがそのまま店員となって駄菓子を売る。こんな地域密着見たことない!!
地元民からの電話リクエストにDJが応えるなか、放送所に掲げられたレトロなホーロー看板が目に留まった。そこには某栄養ドリンク・オ■ナミン●をパロったこの放送局のスローガンがこう掲げられていた。
「電波 ハツラツ!」
確かに、飛びきりイキのよい電波と地元愛がこの市場の片隅から発信されていた。
最終更新:2016年08月24日 20:55