【そして牛を巡る冒険/奄美群島の旅】
第2話)よんよ~り喜界島

《旅行記|徳之島|闘牛|亀津|伊仙|奄美大島|名瀬|喜界島》

喜界島。ここは5月の連休だというのに観光客の姿をあまり見ない。コンビニやファストフードなど全国展開のチェーン店もない(一軒だけ某弁当チェーンがあるのを除く)。

「日本で最も美しい村」連合に加盟するこの島は、「村連合」の基本理念である、独自の景観を守ることや地域文化の継承に力を入れ、安直な開発を拒んでいる。

そのせいか、喜界島にはゆった~りとした空気が流れている。

そんな島の魅力を堪能する素晴らしい方法を発見した。「よんよ~り喜界島」という住民ボランティアによるガイドサービスだ。

喜界島 旅行記|よんよ~り喜界島
よんよ~り喜界島の案内冊子

喜界島6つの集落を、それぞれの出身者である年配ガイドが案内してくれ、しかも1コースの料金が500円というから嬉しい限りだ。

事前に観光物産協会を通じ「湾(ワン)コース」と「荒木(アラチ)コース」のガイドを頼んでおいた。

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初日の朝、スーパーの駐車場で湾コース担当のご婦人ガイドT島さんと落ち合う。

「昔、このあたりはこんなだったのよ」と古い集落の写真を取り出し、現在の様子と対比しながらガイドをしてくれるのが面白い。

大勢の人が渡し船に乗り込み、沖に向かう一枚の写真を見せてくれた。まるで難民船のようなその光景は何かと思ったら、

「私が子供のころ、港が浅くて大きな船は接岸できなかったの。だから沖合いの大型船まで渡し船で渡ったんだけど、これが揺れて揺れて危険なのよ。」

鹿児島や奄美大島に出かけるのには、今にも沈没しそうな渡し船に乗らなければならなかった、そんな時代が一昔前まで普通だったことを思うと、昨日のフェリーのなんと快適なことよ。

喜界島 旅行記|湾(ワン)港
今は大型船も接岸できる湾(ワン)港

「この島の人は誰も家の鍵かけないの。だって泥棒なんかしたら小さな島だから犯人がすぐ分かっちゃうじゃない。」

おお、そりゃそうだ。なんとも平和な島である。

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午前中小一時間ほど湾コースを案内してもらった後、昼過ぎは荒木コースをガイドしてもらうため、旧・小学校前で担当のM岡さんと落ち合う。

さっそく集落の探索に向かい、とある民家の庭先に立ち止まると、そこには小さな木造の高倉があった。

「喜界島は珊瑚礁が隆起して出来た島です。なので木が育ちません。この高倉は、奄美大島から木材を運んで組み立てたものなのです。」

予備知識がないと見過ごしてしまう小さな倉だが、 ガイドの解説で深い意味を持つことが理解できる。

喜界島 旅行記|オオゴマダラという美しい蝶
オオゴマダラという美しい蝶

また、この島はまたオオゴマダラという美しい蝶も有名だ。

 「人が近づいても逃げないから」

蝶の幼虫の食草が植えられた一角ではオオゴマダラが目の前でのんびりと羽を休めていた。たしかにM岡さんの言うとおり、近づいても逃げない。

喜界島 旅行記|漁港に現れた大きな海亀
漁港に現れた大きな海亀

「おっ、亀だ、亀だ。」

と、M岡さんが指を差す。小さな荒木漁港の埠頭の前で、大きな海亀がのんびりと泳ぎを楽しんでいた。

観光客の姿は薄いが、自然は濃い。豊かな喜界島を堪能した1日であった。

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 20:54