【海あり山ありエアコンなし-南インド・ケララの旅】
第3話)エアコンバス or NOT

《南インド ケララ 旅行記|トリヴァンドラム|アレッピー|クミリー・テッカディ|コーチン》

トリヴァンドラムに一泊した後は、水郷地帯のアレッピーに向かう予定を立てていた。翌日のアレッピー行きバスの出発時刻を調べるため、トリヴァンドラムのバスターミナルに行ってみると、

 「えっ、インドのバスってエアコンないの!」

ターミナルに停まっているバスを見て僕は失望した。近年目覚ましい経済発展をとげ、日本からの企業進出も激しいインドである。しかもここはインドで最も豊かな州とされるケララだ。その州のバスが、短距離の市内バスはともかく、中・長距離バスまでことごとくノーエアコンなのだ。

南インド・ケララ 旅行記|トリヴァンドラムのバスターミナル
トリヴァンドラムのバスターミナル

たが、僅かではあるがエアコンの効いたバスも見うけられる。アレッピーまでの車中は3時間以上かかる。ここはなんとかエアコンバスに乗りたいものだ。

 「明日のアレッビー行きのエアコンバスは何時発の便ですか?」

ターミナルの職員に問合せてみると、ある職員は「7:00と8:00と10:00のバスだ」と言い、またある職員は「6:40と9:40と10:45のバスだ」と言う。

 一体誰の言ってることが正しいのだ!

全く要領を得ないので、僕はターミナルに掲げらた時刻表をスマホで撮影し、「どのバスがエアコンバスか教えてくれ」とその撮影画面を見せながらインフォメーションの職員に詰め寄った。

すると、

 「エアコンバスはない」

ええ、無いのエアコンバスぅぅぅぅ(泣)

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翌朝、覚悟を決めてターミナルに向かった。するとヒンズーの神の思し召しか、ピカピカのバスが停まっている。おおエアコンバスではないか!

この時、僕は悟りを開いた。ここインドで事前に細かい計画を立てても無駄だということを。むしろ成り行きに身を任せてたほうが、良いことが転がり込んでくる、それを逃すなということを。

ともかくエアコンバスでアレッビーまで3時間半の快適な旅となったのだが、人間は居心地のよいものにはすぐ慣れ、更なる欲求が沸いてくるものだ。

 リクライニングシートが欲しい!

エアコンバスとはいえこのバス、日本だったら市バスの仕様だ。とても3時間を越える中・長距離向けバスの作りではない。

が、欲望を抑えきれない僕の傲慢な気持ちがヒンズーの神の怒りを買ってしまったのか。アレッピーまで後30分程の距離にある街のバスターミナルで、バスから降りるよう指示があった。トイレ休憩だろうかと思ったが、他の乗客は皆荷物を抱えて降りてしまう。

 「このバスは故障しました。ここで次のバスに乗り換えてください。」

 「アレッピー行きはあれです。」

と指示さたバスは、まるで囚人護送車のような、辛うじてバスと呼べるシロモノであった。

南インド・ケララ 旅行記|エアコンバスが故障し、乗り換えたノンエアコンバスは窓全開で疾走する。
エアコンバスが故障し、乗り換えたノンエアコンバスは窓全開で疾走する。

乗り心地の悪そうなオンボロバスにエアコンなど付いているはずがない。インドではバスに乗るのも修行なのであった。

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 10:57