【壱岐→対馬→釜山=島伝い国境越えの旅】
第5話)対馬の姉妹島・影島(ヨンド)を行く

《壱岐・対馬・釜山 旅行記|郷ノ浦|勝本|厳原|日田勝|影島・ヨンド》

新築された釜山フェリーターミナルはまるで空港のように巨大でピカピカだった。

その港を後にし、繁華街・南浦洞(ナンポドン)にあるゲストハウスに転がり込む。昨今この手の安宿も小奇麗なところが多く、泊まったFゲストハウスの共有リビングルームなどは、洒落たレストランのようであった。

壱岐・対馬・釜山 旅行記|FunStay Inn Guesthouse
ゲストハウスの共有リビングルームは洒落たレストランのよう

さて、今回の短い釜山滞在ではテーマを絞り、対馬の姉妹島となっている影島(ヨンド)を訪れることにした。影島(ヨンド)は島ではあるものの、南浦洞(ナンポドン)から橋一つを渡った目と鼻の先にある。つまりは大都会・プサンの一部であり、大きな高層ビルが島の斜面を埋め尽くしている。人口規模で言ったら対馬の100倍は軽く超えているだろう。対馬とは隋分と格差のある"姉妹"である。


そんな日本と縁のある影島(ヨンド)であるが、ガイドブックには、突端に位置する太宗台(テジョンデ)公園以外、ほとんど紹介されていない。だが釜山市の中で影島区という一つの区を形成する程の島である。名所が公園一つというわけが無い。

で、調べてみると、釜山には、韓国かまぼこ=オムクの老舗・サムジンという有名店があり、影島(ヨンド)はそのサムジン・オムク発生の地なのだという。今でもその創業地に店があり、できたてのオムクが楽しめるという。

南浦洞(ナンポドン)からバスで5分ほど走った市街地にその店はあった。まるでベーカリーのような洒落た店内には、エゴマの葉入りやら唐辛子入りやら、様々な練り物が並べられ、それをトングでピックアップしてレジで清算するという、まさにべーカリーと同じシステム。それもそのはずで、この店の英語名は FISH CAKE BAKERY だった。

壱岐・対馬・釜山 旅行記|サムジンオムク影島店
まるでベーカリーのようなサムジンオムク影島店

伝統に新しいスタイルを融合させた店には客足が絶えない。お店で買った商品は隣のイートインコーナーですぐ食べられるのも嬉しい。

さらに店の二階は 博物館が併設されていた。練り物の博物館なんて僕が知る限り世界でもココだけだ。今は市街地だが、創業時この辺りは全くの漁村で、その当時の貴重な写真やら、昔の製法を模したジオラマやら、珍しい展示が興味をそそる。

 おや、奥にあるガラス張りの部屋は何だ!

見ると博物館の奥には調理台が ズラりと 並びキッチンスタジアムを形成していた。

ここではオムク作りの体験コーナーまであるのだった。生憎、予約がないと体験はできないが、傍らのモニターではオムク作りのビデオが流され、何となくの様子は分かる。

壱岐・対馬・釜山 旅行記|サムジンオムク影島店
二階は、博物館と体験教室用のキッチンスタジアム

伝統をベースに、次々と新しいスタイルを積み重ねていく。老舗のチャレンジする姿が、この店の人気の秘密のようであった。

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 19:17