【国がまるごと博物館・キューバの旅】
第4話)トレインツアー

《キューバ旅行記|ハバナ|マタンサス|トリニダー|オルギン》

オルギンで丸1日を過ごしたあと、夜行バスで世界遺産の街トリニダーに向かった。バスは意外にも定刻通り7:30にトリニダーのバスターミナルに到着。予約していた民宿にもスムーズにチェックインできた。

キューバ旅行記|世界遺産の街トリニダー
世界遺産の街トリニダー

ここトリニダーには、郊外のロス・インヘニオス盆地(Valle de los Ingenios)を巡るSLツアーがあるという。その沿線はかつてキューバ製糖業の中心地で、無数の製糖工場が稼動していた。そこを100年以上前に造られた蒸気機関車が走っているなんて、鉄ちゃんでなくとも心踊る話ではないか。

しかし L○NELY PL△NET によると、ツアーの運行は不定期のようで、CUBATUR(現地旅行会社)に問い合わせよ、と書いてある。


朝食を済ませ、営業開始の9:00にCUBATURに飛び込むと、トレインツアーは開催されているという。ではチケットを買いたいと頼むと

  「駅で直接買え、出発は9:30だよ」

え"、時間がないじゃん。僕は慌てて街外れの駅に向かった。

おやっ、ポツリと小さなホームがあるだけだぞ、あれが駅なのか? でも観光客らしい人影が何人もいるから間違いないだろう。しかしチケットはどこで売っているのだ?

キューバ旅行記|ポツリと佇む小さなホーム
ポツリと佇む小さなホーム

ふとホームから道路を跨いだ先に小さな小屋を見つけた。「まさか、これが駅舎か」と半信半疑で扉を開けると、中にCUBATURの旗を掲げた小さなツアーデスクが設けられていた。 

  「そこで営業してるなら、表にノボリでも立てとけよ!」

と言いたくなるが、ともかくこうして出発ギリギリでツアーチケットを購入した。

オープンエアの古風な木造車を牽引するのは、残念ながらSLではなくディーゼル車であったが、まあよい。牛や馬が草を食む長閑な田園地帯をゆっくりと列車は進んで行く。乗りあわせたギター弾きが陽気なラテン音楽を奏で、気分は最高!

キューバ旅行記|陽気なトレインツアーが始まった
陽気なトレインツアーが始まった

やがて、列車はマナカ・イスナーガに到着、ランチタイムとなる。ここには、農園領主の邸宅が今はレストランとなって保存されている。

それ以上にここをを有名にしているのは、通称イスナーガの塔と呼ばれる、かつての奴隷見張り塔である。高さ45mにもなる塔を恐る恐る登る。

キューバ旅行記|イスナーガの塔
イスナーガの塔

そして、ふと思った。もし今地震がきたらどうなる。正直この塔、観光客で溢れ過ぎてると思う。その重みに地震の衝撃が加われば、こんな古い造りの塔がもつはずがない。頭のなかに数日前に起きたネパール地震で崩れ落ちる仏塔の映像がよぎった。

が、そんな一瞬の不安はすぐに吹き飛ぶほど、見張り塔からの眺めは素晴らしい。
キューバ旅行記|イスナーガの塔からの眺望
塔からの眺望

でもここ、余りにも眺めが良すぎやしないか? こんな遠くまで360度広範囲に見渡せたら、逃亡者を見つけても、ただただもう眺めることしかできなかったんじゃない?

などと、どうでもよいことに思いを馳せ気を抜いていたら、あれ~、風に煽られ帽子が飛んでいってしまった。

塔の下には土産物屋がズラリ。そしてオイラは、不注意な観光客を狙ったしたたかな帽子売りの餌食となってしまったのだった。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 16:46