【冬の八重山、島巡り旅】
第4話)(株)由布島 が仕掛けたワナ

《沖縄八重山諸島旅行記|小浜島|西表島|波照間島|石垣島》

西表島の上原地区から、宿のある大原地区に向かってバスで戻る。その途中、水牛車観光で有名な由布島の亜熱帯植物楽園に寄った。

由布島は、西表島本島の目の前にある周囲2キロ程の小さな島だ。

50年程前には学校があるくらい賑わった島であったが、台風で壊滅状態となり、住民は西表本島に移住、ほぼ無人島となってしまった。だがその島を、とあるおじい夫婦がこつこつとヤシの木を植え、少しずつ見事な植物園にしていったのだという。

そのあたりのおじい夫婦の奮闘ぶりは「楽園をつくった男(著・森本和子)」に詳しいが、よくもまあ、台風で根こそぎ何もなくなってしまった小島を「ハワイのような楽園」を夢見てここまで創りあげたものだと関心する。

由布島の水牛車
由布島の水牛車

そして何よりものビッグアイデアは、水牛車を島への交通手段としたことだ。水牛車に乗って降りた先が植物園になっているのだ。

この水牛たちの集客力は絶大で、オフシーズンにもかかわらず今日も水牛車乗り場に観光バスが押し寄せ、水牛たちはせっせせっせと由布島に人を運んでいく。

島は植物園のほか、非番の水牛のお休み処やら、蝶々の館やらと、亜熱帯の自然をモチーフにしたテーマパークとなっていた。そして意外なほどそこで働いている人の数が多い。

由布島亜熱帯植物楽園
由布島は亜熱帯の自然をモチーフにしたテーマパーク

ふと、僕は島の入場券を見てみる。すると「株式会社由布島」と印刷されていた。ひょっとして(株)由布島は、西表で最大の雇用を生んでる企業なのではないか。

となると、この繁栄の礎を築いたおじい夫婦と観光客を引き付ける水牛たちは島一番の功労者ということになる。

そんな由布島だが、島に渡るには絶対に水牛を使わねばならないというわけではない。心の広い(株)由布島の経営者は、徒歩での島渡りも認めている。

その場合、水牛車で渡るより入場料は半額程度に安く設定されているのだが、この徒歩での島渡り、浅瀬とはいえ、潮の流れに抗うことの他にも、大きな試練が待ち受けている。

西表と由布島を結ぶ狭い砂州は、何頭もの水牛が1日に何往復もする道だ。つまり、水牛というエンジンの排出する有機な排気物がいたるところにゴロゴロと転がっている。

徒歩でのチャレンジには、(株)由布島が仕掛けたバイオ兵器がウヨウヨの地雷原を突破しなければならないので、お気をつけあれ。

由布島への道
バイオ兵器がウヨウヨの地雷原?


(続く)


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最終更新:2016年08月24日 20:40