【冬の八重山、島巡り旅】
第2話)私設・民俗資料館

《沖縄八重山諸島旅行記|小浜島|西表島|波照間島|石垣島》

小浜島は島の中央に集落が形成されている。10年程前この集落にある民宿をテーマに、某国営放送が朝の連続ドラマを放映し一大ブームを巻き起こしたという。だが、東京でサラリーマンを生業としている身に朝の連続ドラマを見るなどという贅沢が許される訳もなく、そのドラマのことも、ロケで使われた民家がこの島一番の観光名所になっていることもよく知らず、この島にやって来た。

こはぐら荘と小浜島の風景
島一番の観光名所の民家をはじめ、赤瓦の民家が点在する小浜島の集落

民宿で貰った手書きの観光マップを片手に辺りを散策する。ロケ地となった民家の前に観光バスのご一行様がドドっとなだれ込んでくる。その一瞬以外は、集落はひっそりと静まり佇んでいる。


村の中で他に観光スポットといえそうなものには「民俗資料館」があるようだ。とりあえず地図を頼りに探してみる。しかし何故か見つからない。小さな島のこじんまりとした集落の中にあって、迷いようがないはずなのにあるべき所にない。

あるのはどう見てもただの民家だ、んっ、あれれ、この民家が資料館? 目を凝らしてみると、そこの離れが入口になっていた。だが戸は閉まったままで電気も点いていない。もはや営業停止状態なのか。ともかく「やってますよ」感が希薄すぎる。

で、まさかと思いつつ試しに入口の引き戸を引いてみた、どうせ鍵が掛かってるんだろう、えっ、ホント? 開いた。

薄暗い館内の入口に机があり、その上にはノートと壺が置かれていた。見学者は自分でノートに記帳し、入館料200円(←300円からディスカウント中)を納めなさいということだ。

小浜民俗資料館
小浜民俗資料館、入館料は勝手に壺に納める

サイフをまさぐり小銭を探す。が、困ったことに小銭が足りない。どんなにかき集めても今は170円程度しかない。もちろん太っ腹な気持ちで千円札を出すという荒業もなくはないが、生まれつき器の小さいオイラは、手元のありったけの小銭170円を壺に納め、勝手にさらなるディスカウントをして中に入っていった。するとその時、

「あら、いらっしゃい。電気点けましょうね」

と年配女性の声がした。管理人さんが戻って来たのだ。

「ここはね、亡くなった主人が建てたのよ。公務員を定年退職して、その後、何かを残したいって、島の古い道具とかを集めたの…」

なんと、ここは私設の博物館だったのだ。そして資料館の管理人さん直々に展示物を説明していただく光栄に預かってしまった。

小浜民俗資料館の展示物
展示物はなかなか興味をそそるものが多い

展示されている品々は興味をそそるものが多い。だが、私設博物館の悲しさか、資金不足は隠しがたく、貴重な品々にも埃を被っているものもある。素材は良いのに見せ方に少々残念さが残る。

地方創生が叫ばれる昨今、このような篤志家の地道な活動に行政はもっと援助をしても良いのではないか、と声を大にして言いたい!!

だがその前に、200円の入館料(←300円から割引済)をさらに勝手にディスカウントして170円で済ませているお前!! まずはお前自身を何とかしろっ!! と言われると返すコトバはございませぬ。


(続く)


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最終更新:2016年08月24日 20:37