【2時間で行ける欧州・極東ロシアの旅】
第7話)ウラジオストクを空中散歩
《シベリア・サハリン旅行記||ウラジオストク|ハバロフスク|ユジノサハリンスク》
ハバロフスクからウラジオストクまで夜行列車で戻った。広大なロシアは国内でも時差があり、極東ロシアはモスクワより7時間早い。ところがロシア国鉄の時刻表はすぺてモスクワ時刻で表記されるから、ウラジオストク01:00着とあっても、現地時刻では08:00着だったりするからややこしい。
朝、安宿に荷物を下ろし、ウラジオストク中央広場に行ってみる。広場には商品を満載した自家用車が集まり市場を形成していた。八百屋、果物屋、パン屋、肉屋、魚屋、そしてなぜか数が多いハチミツ屋。活気に溢れ、眺めているただけで楽しい空間だ。
ウラジオストク中央広場に立つ市場 ― 開催は毎週金曜日のみ
そんな中央広場はおろか、ウラジオストクの街全体を一望出来るのが「黄金橋」である。金角湾を跨ぐ全長約800mもの壮麗な大橋は2年前に出来たばかり。地上の遥か上を車が行き交っている。
あの橋を歩いて渡れたらさぞかし気分が良いだろうと思うのだが、ガイドブックによれば、完成当日のみ市民に開放して橋を歩くことができたそうだが、今は禁止されているらしい。
ああ、勿体ない。この橋を渡れたらまるで空を飛ぶ鳥の目線で大パノラマが楽しめるというのに。
ウラジオストクの黄金橋 ― 歩いて渡ってみたい!!
徒歩で渡れないなら、せめてウラジオストク市街とは逆側から橋を眺めてみたい、そう考えた僕は62番のバスに乗って金角湾を半周し、市街地と反対側の橋の入口に降り立った。
おや、何か歩道のような通路が橋に向かって繋がっている。どれどれ辿ってみるか。
途中ロシア語の看板があった。もしかしたら「歩行者立入禁止、関係者専用」とでも書かれていたのかも知れない。でも目の前に立派な歩行者レーンが設けられているのを見て、引き返す分けにも行かない。ええい渡ってしまえ、怒られたらその時よ。外国人だから注意書に何て書いてあったかわかりませんでしたとシラを切るしかない。
そう割りきって橋を渡る。うわっ何だこの眺めの良さ。街がまるで模型のジオラマのようにみえる。パラグライダーに乗って空を飛んでるような感覚だ。
僕はもう興奮を抑え切れなかった。そして思った。
「上から目線の眺めって気持ちイイ!」
と有頂天になって橋の真ん中まで到達したそのころである。前方に人影を発見。それはどうやら警備員のようだ。ヤバイ!!、この橋、一般歩行者が通っていいのか未確認なのだ。
「お前、何をやっておる、逮捕だ!!」
などと言うことになったらどうしよう。そうだ、ほくはガイジンなのだから、事情がよく分からなかったと主張し続けろ。いや何を聞かれてもロシア語が分からない振りをしろ。いや振りをするまでもなく、そもそもロシア語は分からん、大丈夫だ。落ち着け!!
と警戒した警備員だったが、何のおとがめもなくその前を通過することが出来た、ホッ。
ということはこの黄金橋、正々堂々歩いて渡れる橋と言うことではないか。これだけの素晴らしい眺めがタダで拝めるなんて感激だ。
新たなウラジオストク一番の観光名所、それはこの歩く黄金橋に決定だ。
最終更新:2016年08月24日 08:52