【2時間で行ける欧州・極東ロシアの旅】
第4話)極東ロシアの市場を探検

《シベリア・サハリン旅行記||ウラジオストク|ハバロフスク|ユジノサハリンスク》

今回、事前に旅の裏テーマを決めていた。ウラジオストクにしろサハリンにしろ、ちょっと考えればそこは日本海やオホーツク海といった漁場が近い。ならば豊富な海の幸が安く出回っているはずだ。よし今回の裏テーマは海鮮グルメの旅だ、と。

しかし、意外にも新鮮な海の幸と出会うことが難しかった。

港町ウラジオストクにはビーチ沿いにレストランの立ち並ぶ一角がある。ここがもし欧米なら「SEAFOOD」、東アジアなら「海鮮」と掲げた店が無数に立ち並ぶに違いない。

極東ロシア・サハリン旅行記|ウラジオストクのビーチ
ウラジオストクのビーチ、なのにシーフードは見当たらない

ところがここでは、海辺であっても、なぜか売ってるのはシシカバブやケバブなどの焼肉系の料理ばかり。シーフードを売ってるのは僅かに一軒のみ。それも料理としてではなく、素材として冷凍エビやタラバガニを売っているだけで、そんなの買っても家に持ち帰って調理するしかない。海辺で新鮮な海鮮に舌鼓を打つという発想がロシア人の脳みそにはないようだ。

ではサハリンではどうだろう。一応サハリンは島だしその昔は日本領だったから、ウラジオストクよりは魚食文化が根付いていそうな気がする。で、市場に出かけてみると、なるほど魚介類を扱う店はたくさんある。しかしそのほとんどが冷凍もので、鮮魚を扱う店は例外的といっていいほど少ない。

極東ロシア・サハリン旅行記|ユジノサハリンスクの市場
ユジノサハリンスクの市場、鮮魚の扱いは僅かだった

これはいったいどういうことなのだ。世界有数の漁場を持ちながら、ほぼ冷凍魚しか流通していないとは。

そんな疑問を抱きつつ、極東ロシアの市場をいろいろ探索していると、他国ではあまり見かけない店が多いことに気が付く。

 ハチミツ屋が異様に多いのだ。

極東ロシアでは、都市のすぐ近くに大自然があるので様々なハチミツが採れるようだ。濃い飴色の滑らかなミツから乳白色のザラツキ感のあるモノまで、なんともたくさんの種類があるものだ。瓶詰めにされたミツは、それぞれの店がディスプレイに工夫を凝らし、見ていて飽きない。中には蜂の巣そのものをミツづけにして売っている店もある。

極東ロシア・サハリン旅行記|ハチミツ屋
種類豊富なハチミツ屋

この、甘いもの好きのせいないだろう。ロシアでは足の長が~いバレリーナ体型の少女を至るところで見かけるが、そのウツクシスカヤちゃんも、年を取るとあっという間にドスコイ体型のオデブスキーおばさんになってしまう。これはきっとハチミツの過剰摂取のもたらす結果に違いない。ま、一年のほとんどが雪で閉ざされた寒い国では脂肪を蓄えないと生きていけないんだろうな…

などと考えを巡らせているうち、ふと、鮮魚を扱う店がほとんどない謎が解けた!! 極東ロシアでは夏の一時期をのぞいて、一年の大部分が0℃以下の世界だ。そこで凍らせず魚介類を流通させるということは、冷蔵庫や冷凍車とは逆に、温暖施設や暖房車が必要だということだが、それは随分とコストのかかる話である。

もともと獲った魚をその辺に放っとけば勝手に凍ってくれる世界では、鮮魚を食べる文化が発達しなかったに違いない。

かくして、海鮮グルメの旅という裏テーマは全く成立しえなかった。今回の旅で食した唯一のシーフードは帰国便の機内食で出たのサーモンの切れ端のみだった、トホホ。

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 08:49