【2時間で行ける欧州・極東ロシアの旅】
第3話)4日ぶりの訪問客

《シベリア・サハリン旅行記||ウラジオストク|ハバロフスク|ユジノサハリンスク》

ウラジオストクで二泊した後、国内線でサハリン(カラフト)に飛ぶ。1時間ちょっとでユジノサハリンスクの空港に降り立つと、カラフトの空は濁った灰色の雲でどんよりと覆われていた。真夏の8月だというのに、気温はたったの19度と肌寒い。

極東ロシア・サハリン旅行記|ユジノサハリンスク空港
どんよりとしたカラフトの空

観光客もそれほど多くないようで、ウラジオストクやハバロフスクにあるような800ルーブル(約2,400円)程度で泊まれる安宿がユジノサハリンスクにはない。最も安かったのが駅前のユーラシアホテルだが、それでも一泊2,000ルーブル(約6,000円)もする。オイラ的には高価格帯ホテルだが、他に選択肢がなかった。

このホテル、駅前という立地が幸いして、サハリン鉄道の列車が間近で見られる。鉄道マニアの旅行者には人気があるらしいのだが、"鉄"分の薄い僕にはあまり関係がない話だ。

それでも、ホテルの近く、すなわち駅周辺にサハリン鉄道博物館なるものがあると言うので行ってみた。

極東ロシア・サハリン旅行記|鉄道博物館
これが鉄道博物館??

2階建ての建物の一室が博物館になっているようだが、ロシア語の表記しかないので、ここがその博物館なのかどうかすら分からない。

まっ、いいか、と恐る恐る扉を開いて中に入ってみる。で、一応中に入れたものの、なんか博物館やってます感が希薄だ。なにしろ自分の他に来館者なる者がいないのだからネ。う~ん、このまま入場料も払わず勝手に見物してて良いのだろうか、と思っていると、

 「жъщйэяфщй эяюфжъэяф!!」

あわわ、いきなり親父にロシア語でまくし立てられた。なんと言ってるか解らないが、どうやらこの親父が館長のようだ。そして何やら歓迎されてはいるようだ。

ゲストブックに記帳しろと言っているようなので、日付と名前を記入する。うむむ、僕の前の来館者って4日前に1人来てるだけではないか!!

どうやらこの館長さん、4日ぶりの来客に話がしたくてウズウズしてようで、直々に様々な展示物について説明をしてくれる。それは有難いのだが、いかんせん全てロシア語だ。ロシア語のロの字も分からん僕には「йэяфщй」と言われても「??」なのだけどネ。

さらに、オイラのことを日本からやって来た鉄道マニアと勘違いしたようで、「こっちに来い」と事務室に通されてしまった。そしてそこのPCを立ち上げると貴重なサハリン鉄道の画像ファイルを次々と開き始めた。

 「ほら、これが日本時代のサハリンのトンネル工事の現場写真だ」

とでも言っているのだろう。丁寧に一枚一枚の写真について説明してくれるのだが、相変わらずロシア語オンリーなので、こちらは段々と眠くなってくる。

極東ロシア・サハリン旅行記|鉄道博物館
サハリンの鉄道を熱く語る館長

いつしか気づくと、館長はUSBケーブルでPCと僕のデジカメをつなぎ、画像ファイルを僕のカメラのSDカードに次々とコピペしていた。

あのー、それって、博物館所蔵画像を僕が持ち出すことになるんですけど、いいんすか?

こうして知らぬ間にサハリン鉄道博物館所有の貴重なデータがオイラのものとなってしまった。そのデータの重要性がいかほどなのかオイラには全く見当が付かぬが、ともかく館長さんのホスビタリティに、とりあえず礼を言っておこう、スパシーバ。

極東ロシア・サハリン旅行記|鉄道博物館
博物館所有の貴重なデータの数々??

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 08:47