【2時間で行ける欧州・極東ロシアの旅】
第2話)キッザニアx旭山=要塞博物館??

《シベリア・サハリン旅行記||ウラジオストク|ハバロフスク|ユジノサハリンスク》

石造りの建物が立ち並ぶウラジオストク、その重厚な佇まいは正に本物のヨーロッパだ。鷹の巣展望台から金角湾に架かるゴールデンブリッジを眺め、花壇の美しい噴水通りを散策する。こうしたお決まりの観光コースをプラプラしていると中国人観光客とあちこちで出くわす。ウラジオストクには陸続きで行けることもあり、中国からの旅行者が多い。

極東ロシア・サハリン旅行記||ウラジオストク、噴水通り
ウラジオストク、噴水通り

そんなウラジオストクの海岸沿いの高台に、興味深い施設を発見した。その名も要塞博物館。

一見、年代物の高射砲が丘の上に放置されているだけのように見える。だが、これらの旧式武器はただ黙ってそこに並べられているわけではなかった。

極東ロシア・サハリン旅行記||要塞博物館
要塞博物館-武器が放置されてるだけのように見えるが…

この要塞博物館の特徴は、見て、触って、武器を操作できる点にある。

 キコ、キコ、キコ~

実際子供たちは高射砲のハンドルを回し、砲弾の向きを変え、嬉々として兵隊ごっこを楽しんでいる。

いやー、これはロシア当局考えたものだ!

使い物にならなくなった兵器を並べただけだから施設のコストはほぼゼロ。その上で入場料を取り、子供にちょっとした"兵士体験"を提供している。この"職業体験"を子供にさせて金を稼ぐ点なんて、まるでキッザニア東京のビジネスモデルではないか!!

また、近年日本では北海道の旭山動物園が大人気であるが、その人気の秘密は"行動展示"と呼ばれる"動物本来の動き"を生き生きと見せたことにあるとされている。ここウラジオの要塞博物館も"武器本来の動き"が実際に触って体感できる、これすなわち"行動展示"その精神ではないか。

つまり、

 キッザニア東京x旭山動物園=ウラジオストク要塞博物館

というテーマパーク最強方程式を、建設コストほぼゼロでロシア当局は編み出したワケだ。

興味津々で武器に触れる子供

しかも、要塞博物館を訪れた子供たちは自分で武器を動かすことに感動し、軍事に関する興味が沸く。中にはホントに軍人への道を目指す者も出てくるであろう。そんなリクルート効果まで備えているのだ。

未来のロシア軍人に愛国心を植えつつ、お金まで徴収して儲けてしまうなんて、さすがKGBの国。ロシア当局恐るべし。


だが、そんな当局の思惑とは裏腹に足元では想定外の変化も起こっているようだった。

展示してある武器のハンドルを、目を輝かせ回しているのはなにもロシアの子供だけとは限らなかった。急増している中国人観光客の子供たちもまた興味津々で武器に触れている。どうやらこの要塞博物館、他国の子供の愛国心も呼び覚ましてしまっていた。

想定外のこの事態に、ロシア当局はどう対処するのであろうか。


(続く)


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最終更新:2016年08月24日 08:46