【2時間で行ける欧州・極東ロシアの旅】
第1話)PM8時発のエアポートエクスプレスに乗れ!!

《シベリア・サハリン旅行記||ウラジオストク|ハバロフスク|ユジノサハリンスク》

東京=ウラジオストク間のフライトは僅か2時間と短い。にもかかわらずオイラのシベリア航空便は1時間遅れで成田を出発。この程度の遅れなど取るに足りない話ではないかと普通は思うものだが、この日の僕にはそうも行かない事情があった。

極東ロシア・サハリン旅行記|シベリア航空
シベリア航空便は1時間遅れで成田を出発

PM6時30分にウラジオストク空港着の予定が1時間遅れると、新しい到着はPM7時30分。この時刻での到着は、僕に多大な経済的不利益をもたらす恐れがあったのだ。

ウラジオストク市内と空港とは約50km離れている。街中までは料金200ルーブル(約600円)と手頃なエアポートエクスプレスに乗ろうと考えていた。ところがこのエアポートエクスプレス、なんとPM8時00分空港駅発の列車がもう最終電車なのだ!!

これを逃すと後はタクシーを使うしか方法がない。街中までのタクシー代の相場は1,500ルーブル(約4,500円)だというが、払えるか、そんな大金!!

かくして飛行機が到着したら出来るだけ急いで入国審査を済ませ、現地通貨を手に入れ、電車の切符を購入。そして、なんとしてもPM8時00分の特急に乗り込む、という複合ワザを僅か30分の間に完遂せねばならなくなった。

 「当機は間もなく着陸体制に入ります」

とアナウンスが流れる。僕はスッチーに入国カードを配るよう頼むと、「ありません」と冷たい返事が。うわわ、予め機内で記入しておけば時間が節約できたのに、入国カードが配られないなんて困ったな。

さらに不運は重なってしまう。当日僕の座席は最後列の27Cだった。当然機内から出るのも最後となり、入国審査の列にも結局最後尾に並ぶこととなってしまった。ああ時刻はもうPM7時40分だ、間に合うのか!!

ジリジリとした気持ちで入国審査を済ませ、ターンテープルで荷物をピックアップ。

すかさずATMを見つけ、現地通貨を引き出す。この時点で時刻はPM7時50分。どうやらPM8時の電車には間に合いそうだ。ホッ、と思ったのもつかの間、ルーブル札が出てこない!!

極東ロシア・サハリン旅行記|ウラジオストク空港ATM
ATMから現地通貨が引き出せない!!

何故だ、ATMの表示メッセージ通りにボタン操作しているのに、なんで1万ルーブル(約3万円)ごときが出てこないのだ。

 おかしい!!と焦りつつ、何度か操作するうちに気がついた。

このATM、一度に引き出せる金額が僅か7000ルーブル(約21,000円)に設定されていた。それに気づいたのがPM7時55分。ヤバイ時間がない。

やっとのことで現金を手に入れ、到着ロビーをダッシュで駆け抜け、真新しいエアポートエクスプレスの乗場に滑り込んだ。ああ、ギリギリセーフ、間に合ったぁ。

極東ロシア・サハリン旅行記|ウラジオストクのエアポートエクスプレス
真新しいエアポートエクスプレス

こうしてなんとかPM8時00分発の電車に乗ることが出来た。でも、そもそも公共交通の主役である空港特急の最終がPM8時00分とはどういう了見だ。極東ロシアの夏は日が長い。PM8時なんてまだまだ十分明るいじゃないか。

それにもましてエアポートエクスプレスが1日わずか8本しか運行されていないとはユルイ話だ。鉄道事業より濡れ煎餅販売で有名な千葉県の銚子電鉄だって1日8本以上は運行しているゾ。鉄道事業者としてのヤル気を見せろ、ウラジオストクのエアポートエクスプレスよ!!

と小さな憤りを感じる一方、無駄なタクシー代を払わずに済んで良かった、と大きく胸をなでおろし、極東ロシアの旅が始まった。

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 08:45