【日本一の村?を行く 沖縄・読谷/北谷ぶらり旅】
第1話)ありがとう女子高生
《沖縄本島中部西海岸旅行記|読谷|嘉手納|北谷|那覇》
「ようこそ、いらっしゃいませ。こちらはウェルカムドリンクでございます。」
部屋に案内されるなりボーイから南国フルーツ生絞りのドリンクが恭しく供される。グラスを彩るハイビスカスの紅い色彩が南国沖縄のムードを盛り上げ、旅の気分を嫌が上にも盛り上げる…
Hルトンだの、Sラトンだの、一流ホテルと呼ばれる世界では、客が到着するとこんなサービスがあるらしい。。。
しかし、
「遠いところ、よくいらっしゃいました。」
シャンカ シャンカ シャンカ シャンカ ♪~
民宿のスタッフはおもむろに三線を手にし、見事に一曲弾き終えた。
「うちはウェルカムドリンクはありませんが、換わりにウェルカムソングをご披露してます。」
オイラが泊まった民宿・琉球庵。ここに華やかなおもてなしは皆無だが、郷土色豊かなお出迎えが待っていた。
年の暮れも差し迫った12月、少し早目のプチバカンスで訪れた沖縄本島中部の読谷村、天気はあいにく小雨がちの曇りだが、何か面白そうなことが起こる予感を感じさせる。
自転車を借り、早速探検に出かける。村内は意外に起伏に富んでいて世界遺産の"座喜味城跡"に行くにともう息も絶え絶え。日頃の怠惰な生活を反省しつつ、座喜味城公園を回っているとスゴい看板を発見!
《犬の皆さんへ》
犬のひとり歩きはいけません
必ず飼い主を同伴しましょう。
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フンの始末も忘れずに!! 読谷村
こ、この村の犬は文字が読めるのかぁ!!
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その後、幾つかのスポットを巡り、パンパンに張った足を引きずって宿に戻る。
シャワーを浴び、さて今日の夕食はどこに食べに行こうか? と思案し始めたそのときである。
「夕飯、食べてけば、バイキングでセルフサービスだけど」
と宿のお母さんから思いがけないオファーが。あれれ、この宿は素泊まりのハズだけど、何で夕飯が付いているのだ?
「今日は"民泊"だから夕飯用意してるの、全くの家庭料理だけどね。」
「"民泊"って何ですか」
「ああ、修学旅行生を地域で受け入れているのよ。この辺りで100軒くらい参加してるかしら。あそこの埼玉の女子高生4人組がそうよ。」
近年沖縄では地域ぐるみで修学旅行を誘致しているという話は聞いたことがある。各家庭でその地域ならではの普段の生活を体験させるのがウケているということだが、その一貫で修学旅行生にふるまわれる家庭料理のお裾分けにちゃっかり乗れてしまったというわけだ。
チャンプルー、モズク入りのかき揚げ、紅芋の炊き込みご飯…。食卓には美味しそうな沖縄家庭料理がズラリとならぶ。
しかし、一抹の不安が無いわけでもない。「夕飯食べてけば」と誘われたものの、肝心の「お代はタダよ」の一声は一度も聞いていない。
「さあ、最後にケーキをどうぞ」 たまたま女子高生の一人が誕生日だったので、お母さん特製の手作りケーキまでいただいてしまった。
うう~ん、こんなにご馳走になっていいのか。いや待て、チェックアウト時にしっかり食事代を請求されてもこれは文句いえないなぁ。
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翌日、宿を後にする際、恐る恐る部屋の鍵を差し出しスタッフの様子を伺った。
「ありがとうございました。また来てください。」
ああ、素晴らしい。追加請求の影すらない。昨日の夕食も、そしてちゃっかりとその日の朝飯も、みんなみんな本来修学旅行生のために用意された食事をわけてもらった。よ~く考えると、この食事代ってそもそも女子高生の旅行費用から捻出されているものではないか。ということは、いい大人が女子高生にたかっていたという構図が成り立つのだが。。。
まあ、良い。
取りあえずこの場を借りて女子高生に感謝の意を表し、免罪符としてもらおう。
最終更新:2016年08月24日 20:17