沖縄本島より台湾の方が近い与那国島。かつては密貿易で栄え今はカジキ漁の盛んなこの孤島で、旅の最後に神のお告げ?を聞くことになるとは…||与那国島旅行記|久部良|祖納|比川|那覇||

【神のお告げを聞け-与那国島旅行記】
第5話)カジキマグロの港

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人口1,580人の与那国島は、戦後の米軍統治時代に密貿易で大変賑わったという。沖縄本島から500キロ離れたこの孤島、実はたった100キロ先が台湾と、そちらの方が近いのだ。

米軍の目が行き届かない終戦直後、軍放出品や鉄くず(沖縄戦では大量の弾薬/弾丸が投下され、皮肉にもそれが資源となっていた!!)と台湾の農産物との交易が盛んになり、その最前線であった与那国には当時2万人もの人がひしめいていたという。

今は小さな漁村に過ぎない久部良(くぶら)にも、当時は映画館や賭博場、そして歓楽街まであったと言う。

そんな昔がウソのように今の久部良はひっそりとしている。

与那国島旅行記|久部良の港
久部良の港

だがこの久部良の港、日本有数のカジキマグロの揚がる漁港として今もどっこい生きている。数日前の与那国漁協のブログ(今は漁協ですらブログをやる時代だ!!)にも、

  「カジキの水揚げが止まりません!
   毎日毎日、バンバン揚がります!
   身も油が乗って最高です!」

と興奮を隠せない。

僕が久部良に泊まったのも、早朝のカジキの水揚げが見たいがためだ。その水揚げを見られる確率はかなり高い。なにせ天下のT大生が「全国でカジキを釣るならここ」と決めて今まさに合宿しているくらいなのだから。

巨大なカジキがクレーンに吊りあげられる雄大な様を夢想しつつ、島の居酒屋で、与那国でしか味わえないハラゴ(カジキのトロ)の刺身に舌鼓を打ち、床についた。しかし、、、

与那国島旅行記|与那国だけの味、ハラゴ(カジキのトロ)の刺身。歯ごたえがあるのに、トロリととろける。「うまっ!」
与那国だけの味、ハラゴ(カジキのトロ)の刺身。 歯ごたえがあるのに、トロリととろける。「うまっ!」

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朝、目覚めてなにげに時計に目をやる。

  え゙っ 8時!

   しまった、寝坊したぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

慌てて漁港に駆け寄る。漁協の皆さんはせわしなく働いているが肝心のカジキはどこだ。あらら、あの「与那国町漁協協同組合」と印刷された、大きくて細長いダンボールの箱はなんだ!! ああ、もう梱包済みではないか。クレーンに吊られたカジキの雄姿はどこに行ったのだぁ。

まったくこんなときに限って寝坊するとは情けない。

与那国島旅行記|カジキは既に箱詰めされていた!!
カジキは既に箱詰めされていた!!

漁港では、島内消費の分であろう、カジキを切り身にすべくおばちゃんの包丁でせっせと解体作業が進められていた。加工所の床には切り落とされたカジキの頭だけが虚しく散っている。

与那国島旅行記|虚しく散るカジキの頭
虚しく散るカジキの頭

すべては祭りの後だった。

(続く)


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最終更新:2016年08月24日 19:59